演説の中で、チン首相は、ASEANの海域が現在、気候変動や海面上昇、生物多様性の喪失、海洋汚染、水産資源の過剰利用、地政学的緊張など、深刻な課題に直面していると強調しました。こうした課題に対応するため、チン首相はASEAN各国が共有する4つの優先方針を示しました。すなわち、海や海洋を常に平和・協力・共同責任の空間として守ること、グローバルなアプローチと地域的取り組みの融合を通じた海洋ガバナンスを推進すること、海洋を繁栄をもたらす主要な原動力として位置づけること、SDGs目標14の達成に向けて、協調に基づいた国際的な海洋ガバナンスの強化を加速させること、の4点です。また、チン首相はASEANとして、1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)およびその実施協定の価値を重視し、すべての海洋活動を規律する包括的な法的枠組みとして引き続き支持していく立場を改めて表明しました。
続いて、ベトナムを代表して演説を行ったチン首相は、青い海の保全と持続可能な利用に向け、各国、各地域、そして国際社会全体が一丸となって、より迅速に、より強力に、より断固とした行動を取る必要があると訴えました。
チン首相は、持続可能な海洋開発に向けて、次の6つの重点的な方向性を提案しました。1つ目は、政策策定において科学的根拠と伝統的知識を結びつけること、2つ目は、科学・技術・イノベーション・デジタルトランスフォーメーションを推進し、持続可能な海洋経済の新たな原動力とすること、3つ目は、資源の動員と有効活用により、海洋経済の発展を支えること、4つ目は、海洋・海域の管理において統合的かつ多分野横断的なアプローチを採ること、5つ目は、地域・国家・大陸間の連携を促進し、グローバルかつ地域的な海洋経済拠点ネットワークを構築すること、6つ目は、海洋の持続可能な発展と保全に向けて、国際的な連帯と協力を重視すること、です。
さらに、チン首相は、ベトナムがSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の実現に向けて、あらゆるレベルで包括的かつ力強い行動を展開しており、次の「3つの積極的な取り組み」を進めていると述べました。
それらは、ブルーエコノミーの発展や海洋生態系の回復に向けた政策・プログラムの積極的な実施、各国、国際機関、関係者との知識共有・技術移転を中心とした協力・連携の推進、国家、地域、国際レベルでのイニシアティブの提案と積極的な参加、の3点です。ベトナムは、海洋・海域ガバナンスに関するさまざまな分野で15の自主的なコミットメントを登録したことも明らかにしました。
演説の最後に、チン首相は「私たちは団結し、責任を持って、積極的かつ創造的に行動し、海を平和・協力・発展・繁栄の空間として、今も未来も守り抜いていきましょう」とのメッセージを国際社会に向けて発信しました。