1.APECがダナン宣言を発表
2017年11月6日から11日まで行われたAPECアジア太平洋経済協力会議の首脳ウィークで、「新たなダイナミズムの創出と共通の未来の促進」と題する「ダナン宣言」が採択されました。
宣言は、持続的で革新的かつ包摂的な成長、地域経済統合、中小・零細企業の潜在力の発揮、食糧安全保障と持続可能な農業発展の促進を目指すと明記しています。
2.TPPをCPTPPに改名
アメリカがTPP=環太平洋経済連携協定から離脱したにも関わらず、アメリカ以外のTPP加盟11カ国が新協定の大筋合意を達成し、新協定の正式名称をCPTPP=「包括的かつ先進的TPP協定」と しました。新協定はTPPの内容を維持しますが、それぞれの加盟国の発展レベルを配慮し、幾つかの項目の履行を延期させるということです。
3.第19回中国共産党大会
10月に行われた中国共産党第19回全国代表大会で、習近平氏が総書記に再選されました。また、「中国共産党規約の修正案」に、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」を党の『行動指針』として明記することが決定されました。この思想は、2050年には中国を世界第一の社会主義的強国にするという目標を掲げています。
4.「アメリカ第一」促進
「アメリカ第一」を掲げているトランプ政権の指導の下、アメリカ経済は着実に回復しています。
経済成長率は、2016年の2倍となっており、失業率はこの17年間最低となっています。対外政策では、TPP環太平洋経済連携協定からの離脱や、気候変動のパリ協定からの離脱、ユネスコからの脱退、エルサレムの首都認定など著しい政策変更を示しています。そして、アメリカの新たなアジア戦略とみなされているインド太平洋戦略を提示しています。
5.緊張続く朝鮮半島
朝鮮民主主義人民共和国は国際社会の反発を無視し、核実験とミサイル発射を繰り返しました。その中で、11月末、アメリカ本土への到達能力があるとされる大陸間弾道ミサイルを発射しました。国連安全保障理事会は多くの対朝鮮制裁をとっていますが、効果は上がっていないようです。
6.ASEANと中国 行動規範枠組み承認
ASEAN東南アジア諸国連合と中国は、ベトナム東部海域(南シナ海)でのCOC行動規範の基盤となる「枠組み」を承認しました。「枠組み」は、ASEANと中国が南シナ海で行動のルールを持ち、「紛争の平和的解決に好ましい環境をつくる」ことや、海洋安全保障、航行の自由の確保などを目的に設定されたものです。この枠組みから本格的なCOCまでは長い道のりですが、枠組みの承認は、海上問題の解決に対するASEANと中国の決意を示していると評されています。
7.ヨーロッパの政治 複雑に推移
2017年は、EU欧州連合の将来に大きな影響を与えるとされる多くの選挙が行われた年です。その中で、フランスの大統領選とドイツの総選挙は、イギリスのEU離脱によるEUの亀裂危機の回避に貢献してきましたが、スペインのカタルーニャ独立運動や、イタリアのロンバルディア州の自治権問題などはヨーロッパ各国の統一を脅かしています。
8.ISがシリアとイラクから追放
ロシアの支援を受けたシリアの政府軍は、過激派組織ISイスラム国家の武装勢力をほぼ完全にシリアから追放しました。
また、イラク政府も、ISに対する最終的な勝利を宣言しました。ISがイラク国土の約3分の1を制圧してから3年を経て、イラク軍が最後のIS要員を国内から追放し、シリア国境地帯を奪還したとしています。
しかし、ISによるテロ攻撃はたまにヨーロッパで起きているほか、ISが東南アジアにもネットワークを広げているという現状です。
9.気候変動 深刻化
2017年、世界各国で多くの自然災害が発生しました。アメリカとカリブを襲った台風や、ペルーやスリランカでの土砂崩れ、メキシコの地震、インドネシアの噴火など、自然災害による被害総額は3000憶ドルに上っていると推定されています。
10.パラダイス文書 公表
2016年のパナマ文書に続き、2017年の11月に、パラダイス文書が公表されました。パラダイス文書はタックス・ヘイヴン(租税回避地)取引に関する約1340万件の電子文書群です。この文書は、世界各国の政治家や実業家、そして、アップルやナイキなどの大手企業の脱税方法を明らかにしています。
ソース:VOV