昔、毎年春と旧正月が来る度に、バインチュン、生姜ジャム、スカッシュジャム、メロンの赤種のような伝統的なもの以外に、ハノイの人々はガク(GAC)ケーキも用意していた。GACケーキはトマトの形と同じなのでトマトケーキとも呼ばれる。(GACは学名がMomordica cochinchinensisで、ベトナムに主に見られる植物であり、それの果実が食品や医薬品によく使用されている。)
赤いGACケーキはデザートで、通常、芳しいお茶と一緒に食べる。正月の時に、新年の料理を食べた後、皆は集まって赤いGACケーキを食べて新年の幸運を受け取るという習慣になった。なぜかというと、ハノイの人々をはじめ、ベトナム人の考えでは赤色が幸運と好況を表すものである。特に正月新年の時にベトナム人は赤色の料理を作ったり、赤色でものを装飾したりすることが慣わしである。
熟した赤いGACの実はハノイの有名な伝統的なケーキを作った主な材料である。
若い職人のグエン・フォン・ハイはGACケーキの伝統的な作り方の指導をしている。 |
また赤いGACケーキについて話しますが、このケーキの作り方は面倒というより、非常に難しいと言ったほうがよい。よって、普通は、業者または料理がうまい熟練された人しか作れない。それはこの有名なケーキが普及されなく、徐々に忘れ去られてしまう原因の一つであると思われる。今日、GACケーキが作れるハノイ人があまり残っていない。最近、故郷の伝統的な料理への愛を持っている若い料理職人グエン・フォン・ハイ氏は色々工夫して忘れられたハノイの伝統的な料理を研究・復活させてきた。その中に赤いGACケーキがあった。
この有名なケーキの材料と作り方については基本的に次のような概要的なイメージである。GACケーキの材料は熟したGACはもちろん、加えては「ネップ・カイ・ホア・バン」もち米の粉(ネップ・カイ・ホア・バンが非常に美味しい米で、ベトナムの北部でよく栽培され、丸粒と香りがよいので、もち米ご飯やケーキや醸造酒などによく使われている。この米の花粉が他の品種と違って白ではなくて黄色なのでこういう名前が出た)、緑豆(皮を取った後で炒めて噴霧粉にする)、こすり落としたココナッツ肉、脂肪、スカッシュジャム、「マン・コン」の葉っぱ、グレープフルーツの花、バニラ、白糖等である。それらの材料をすべて揃えてから、多くステップで処理してケーキのクラストと中身(詰め物)を作る。最も重要なステップはトマトのような形にすることである。最後に蒸し器に入れて蒸す。蒸したGACケーキは熟したトマトのようなベリーレッド色になり、とても美しく見える。赤いGACケーキを若い緑バナナの葉に乗せると人目を引くような奇妙な映画になる。
赤いベリーのGACケーキは元日に多くの幸運をもたらすようである。 |
GACケーキは見た目も美しく、ビタミンAも豊富なケーキで、幸運と好況をもたらすと考えられているので、テトの時にハノイにおける多くの伝統的な家族にとって人気なものである。
テトの時に、家族の先祖の壇上では、ワインボトル、ジャムボックス、五果物のトレイ、キンマの葉とビンロウの実のお皿、桃の枝という一般的なアイテム以外、赤いGACケーキも一緒に乗せると、新年を祝う空気の暖かさと豪華さも高めるだろう。
文:ビン・フン
撮影:チャン・タン・ジャン
文:ビン・フン 撮影:チャン・タン・ジャン