国連開発計画(UNDP)のHaoliang Xu事務局長代理は、干ばつや洪水、熱波、大気汚染が頻発し深刻化する中で、「最も過酷な影響を受けているのは最も貧しい人々だ」と述べました。また、11月にブラジルで開かれるCOP30は、気候変動対策を貧困対策として位置づける好機になると強調しました。
UNDPとオックスフォード貧困・人間開発イニシアチブの年次調査によりますと、分析対象109カ国の11億人が、教育や衛生、電気へのアクセスなど複数の要素で不利を抱える「急性多次元的貧困」にあります。その半数は未成年です。
報告書は、サハラ以南のアフリカと南アジアが特に深刻であり、気候変動の影響にも非常に脆弱だと指摘しています。貧困世帯の多くは農業や非正規労働に依存しているため、気候ショックを受けやすく、災害が重なると困窮が一層深刻になるとしています。
その結果、貧困層の79%にあたる約8億8700万人が、猛暑や洪水、公害、干ばつといった少なくとも1つの環境リスクにさらされています。さらに、約6億5000万人が2つ以上のリスクに、約3億人が3つまたは4つのリスクに直面しています。
報告書は「貧困と気候災害の同時発生は世界的な問題であり、異常気象の増加は開発の進展を脅かす」と警鐘を鳴らしています。南アジアは貧困削減で前進しましたが、貧困人口の99%以上が少なくとも1つの気候災害にさらされています。
専門家は、地球温暖化がさらに進めば、最貧国が最も強い影響を受けると警告しています。報告書は「重なり合うリスクに対応するには、人間と地球の双方を優先し、認識から迅速な行動へ移行する必要がある」と結論づけています。(アラブニュース)
(VOVWORLD)