ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)は22日、途上国が気候変動の影響を軽減するための「適応」資金を2035年までに3倍に拡大する努力を促す内容などを盛り込んだ、「グローバル・ムチラン」と題する成果文書を採択し、閉幕しました。焦点となっていた化石燃料からの脱却に向けたロードマップ(行程表)は盛り込まれませんでした。
「ムチラン」は「共同作業」の精神を意味するブラジル先住民の言葉です。成果文書では、世界の気温上昇を産業革命前から1・5度に抑える「決意」を改めて示し、一時的に上回った場合も速やかに抑制に戻す努力を追求する姿勢を強調しました。また、2030年までに世界の森林破壊を止め、回復へと向かわせる重要性も指摘しています。
適応資金については、先進国側の抵抗により、目標年が当初案の2030年から5年先送りされました。
議長国ブラジルが提案した脱化石燃料のロードマップには、欧州連合(EU)諸国や島しょ国など80カ国以上が賛同しましたが、産油国サウジアラビアなどの反対で明記は見送られました。代わりにブラジルがCOPの枠外に国際的な議論の場を設け、2026年にトルコで開かれるCOP31で報告する方針です。
COP30では、中国に次ぐ世界2位の温室効果ガス排出国であるアメリカが、トランプ大統領の意向により政府代表団を派遣しませんでした。これを念頭に、同条約のスティル事務局長は閉幕式で「今回のCOPが政治的な荒波の中で開かれることは分かっていた。だが、気候変動に関する協力は健在で、気温上昇を1・5度に抑える確固たる決意が保たれていることを示した」と述べました。(毎日新聞)
(VOVWORLD)







