東京大学は8日、急性すい炎や体のさまざまな部位に血栓ができる病気の治療に使われてきた薬「フサン」、一般名「ナファモスタット」を新型コロナウイルスに感染した肺炎の患者に投与する臨床研究を始めたと発表しました。
臨床研究は、東京大学附属病院など国内の6か所の医療施設で患者160人を対象に行われ、インフルエンザの治療薬「アビガン」とともに「フサン」を投与するグループと、「アビガン」だけを投与するグループに分けて、安全性と有効性を確かめるということです。
東京大学は新型コロナウイルスを使った実験から、「フサン」にウイルスの増殖を抑える効果が期待できることが示されたとしています。
また、患者の一部では、血栓ができることが症状の悪化につながっているとする報告もあることから、研究グループは、血液が固まるのを防ぐ作用がある「フサン」の効果が期待できるとしています。
効果がある可能性を示した東京大学の井上純一郎特命教授は「成果の発表から最速で臨床研究に入れたと思っている。多くの患者に薬が届くよう結果に期待したい」と話しています。(NHK)