国連のグテレス事務総長は安全保障理事会で、「ガザの状況はまさに惨劇だ」と述べ、「人道支援体制が本来の機能を果たすための条件が失われている」と警告しました。
イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争が続くパレスチナ自治区ガザで、飢餓の深刻化が続いています。22日には、生後6週間の乳児を含む少なくとも15人が餓死したことが確認され、医療関係者は、ここ数か月続いていた食料不足が、いよいよ飢餓という現実に発展していると警告しています。
この日に餓死が確認された15人のうち3人は子どもで、生後6週間の乳児について、親族は「粉ミルクがどうしても手に入らなかった」と話しています。
ガザ地区の保健当局の報道官によりますと、現地では医療機関が搬送される負傷者の数に対応しきれない状況で、さらに食料と医薬品が深刻に不足しているため、飢餓の症状を訴える人々に必要な支援を提供することが困難になっているということです。
同報道官によりますと、ガザ地区ではおよそ60万人が栄養失調の状態にあり、このうち少なくとも6万人は妊婦とされています。支援団体や医師によりますと、支援物資の中でも特に粉ミルクが著しく不足していると報告されています。
22日も紛争は続き、ガザ地区の保健当局によりますと、過去24時間でイスラエル軍の攻撃により少なくとも72人が死亡したということです。
国連のグテレス事務総長は安全保障理事会で、「ガザの状況はまさに惨劇だ」と述べ、「人道支援体制が本来の機能を果たすための条件が失われている」と警告しました。
また、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、支援物資の配給拠点で民間人が殺害されていることについて「耐え難い」と述べ、イスラエルに対し、状況を改善するよう強く求めました。
一方、イスラエル軍の発表によりますと、1日平均146台の支援物資を積んだトラックがガザ地区に搬入されているとしています。しかし、アメリカは最低でも1日600台の支援物資の搬入が必要だと推計しています。
アメリカのホワイトハウス当局者は、こうした状況について「ハマスに責任がある」としてイスラエルの立場を擁護し、アメリカはイスラエルが支援する「ガザ人道財団(GHF)」の活動を支持していると述べました。
(VOVWORLD)