歴史上、最良の日越関係を迎えた今、さらなる友好協力関係の促進を 日越外交関係樹立35周年記念(1973年9月21日-
2008年9月21日)に当たり、『ベトナムフォトジャーナル』誌は、坂場三男在ベトナム日本国特命全権大使に「日越友好協力関係の促進」について、特別インタビューを行った。nbsp;
nbsp;Q1.
日越外交関係樹立35周年を迎えた本年、両国関係についてどのような評価をされていますか?
大使:1973年に日本とベトナムは外交関係を樹立し、この間、着実に両国の関係は発展してきました。今、日本とベトナムの関係は歴史上最も良い状況になっていると思います。それは、様々な意味で言えることですが、まず第一に、両国の首脳レベルでの交流が深まっていることです。両国首相レベルの相互訪問やチエット国家主席が国賓として訪日したことなど高い政治レベルで信頼関係が構築されています。第2に、経済関係で貿易、投資、ODAすべてについて、日本がベトナムの最大のパートナーとなってきていることです。そして第3に、人の交流、特に相互に訪問する機会が増えて、政府レベルや経済界関係者だけの両国関係ではなく、国民同士が触れ合えるような関係に発展してきたことが成果ではないでしょうか。
Q2.
現在まで日本はベトナムに対する最大の援助国でしたが、今後、日本の援助政策に変化はありますか? また、
日本はどのような分野への投資を優先しますか?
大使:日本のベトナムに対するこれまでのODAは、特に重点分野として橋や港湾、空港などの交通インフラや電力の整備、あるいは人材育成などの協力を行ってきました。これからの日本のODAは、やはり交通インフラが主要な部分を占め続けると思いますが、経済発展に伴う貧富の格差を少なくするための貧困対策、例えば、中小企業に対する支援、農業分野への支援も重要になってきます。さらに、これからは地球環境を守ること、あるいは生活環境を良くすることが重要な課題であり、廃棄物処理や上下水道処理などの水環境といった分野についても、日本のベトナムに対するODA援助を進めていくことになるでしょ。
Q3.
現在、ベトナム経済は困難に直面していますが、対ベトナム投資を考える日本の投資家に対してご意見、アドバイスはございますか?
大使:ベトナムの経済は、これまで非常に順調に発展してきたと思いますし、これからも経済発展を続けていくでしょう。しかしながら、確かに過去1年くらいをみると、ベトナム経済はインフレの問題、貿易赤字など様々な困難を抱えており、現在、ベトナム政府はこれらの問題に対して大きな努力を払っています。そこで私が日本の投資家の方々に申し上げたいことは、ベトナムとの関係を短期的な視点で考えてはいけないということです。やはり、ベトナムへの投資、協力関係を結ぶということは、長期的な視点で考えなければなりません。もし短期的に利益を上げようとすると、どうしても発展途上の経済ですから様々な問題が起こりうるわけで、損失を被ることもあるでしょう。ベトナムとの関係をあくまで長期的に捉えて、そこで良いビジネスをするということですね。つまり、ベトナムの経済も発展し、同時に日本の企業も利益を上げるという相互に利益をもたらすような長期的なビジネスを考えていただきたいと考えます。
Q4.日越共同声明「アジアの平和と繁栄のための戦略的パートナーシップに向けて」との政策の下、日越関係をさらに促進するために何が必要であるとお考えですか?
大使:今後、戦略的なパートナーシップ関係の構築のために、大切なポイントが2つあると思います。当然、貿易や投資、ODAといった分野は重要ですが、まず、これから考えなければいけないことは政策対話(ポリシーダイアローグ)を深めていくということです。メコン地域、アセアン地域、東アジア地域、場合によっては世界的な問題について、日本とベトナムが意見を交わし、お互いに協力し合うということが、今後ますます重要となってくるでしょう。政策対話を行うことにより、戦略的なパートナーシップ関係が築いていけると思います。特に来年2009年は、ベトナムは国連安全保障理事会のメンバーとなります。日本もまもなく選挙に立候補し、もし当選すれば日本もベトナム同様、国連安全保障理事会のメンバーの一員です。そのようになれば、日本とベトナムはアジアの代表として国連安全保障理事会に参加することになりますので、ますます世界の政治的な問題、平和・安定といった問題に対してより一層、両国の政策対話が重要となってくるわけです。
次に、先にも触れましたが人の交流をさらに深めなければなりません。昨年(2007年)、日本とベトナム間の人々の往来は45万人でした。この内訳は、42万人が日本からベトナム、3万人がベトナムから日本です。このように、現時点ではベトナムから日本へ訪れる人々が未だ少ないため、ぜひ、ベトナムの若い人たち、次の世代を担う人たちに、もっと日本へ来ていただきたいと思います。また、42万人という日本からベトナムへ訪れる観光客数も、決して多くはありません。私はさらに多くの日本の人々がベトナムを訪れて、発展しつつあるベトナムの実際の姿を直接見るということが大切だと思います。戦略的なパートナーシップ関係構築には、国民レベルの関係に発展させることが必要なのです。nbsp;
Q5.最後になりましたが、『ベトナムフォトジャーナル』誌の読者にメッセージをお願いできますか?
大使:日本の人々はベトナムのことが大好きです。ベトナムの人々も日本のことが大好きだと思います。日本とベトナムの人々がそれぞれ親近感を抱いているという関係は、非常に大切なことです。私はベトナムの人々が日本に対して良い感情を抱いていることを日本の人々にいつも強調していますし、心と心が通い合う関係というものを大事に育てたいですね。
聞き手:お忙しい中、ありがとうございました。
聞き手:グエン・トゥアン・ロン(Nguyen Tuan
Long)nbsp; 写真:アン・タイン・ダット(An Thanh
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