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ニュース

トー・ラム書記長・国家主席の訪日についての日本人教授へのインタビュー

トー・ラム書記長兼国家主席は妻およびベトナム高官代表団とともに、2026年11月8日から11日まで日本を公式訪問する予定です。この機会に、ベトナム通信社の在日記者が、東京大学の西沢利郎 教授と意見交換を行った。

記者:この時期にトー・ラム共産党書記長・国家主席が日本を訪問することは、ベトナムと日本の外交政策におけるどのような戦略的優先事項を反映しているのでしょうか。

西沢利郎 教授:今回の訪問は、ベトナムと日本それぞれの戦略的優先事項を反映しています。日本にとっては、信頼できるパートナーであるベトナムと経済安全保障を具体的に進めることが優先事項でしょう。ベトナムにとっては、来年のAPEC議長国を控え、実質的なパートナーを多角化するという大きな戦略なのだと思います。日本は、エネルギー安全保障や重要鉱物などの分野で、官民がリスクを分担する実践的な経済安全保障モデルへと舵を切っています。一方ベトナムは、日本との関係を強化しつつ、中国との安定した関係も維持していて、これは自主的でバランスの取れたベトナムの一貫した外交姿勢の成果です。

また、訪問のタイミングは非常に良く計算されています。APECやASEAN関連会合の直前に訪問することで、両国はサプライチェーン、エネルギー転換、非伝統的安全保障といった議論のなかで、二国間の協力をアピールすることができます。日本は、ギソン製油所支援や重要鉱物分野での協力を、経済安全保障モデルとして示したい、一方ベトナムは、日本から質の高い投資と技術を呼び込みつつ、多角化戦略が安定的で非対立的であることを示したいのだと思います。

記者:近年のベトナムと日本の関係の発展は、今回のトー・ラム共産党書記長・国家主席の訪日に向けて、どのような基盤を築いてきたのでしょうか。

西沢利郎 教授:ここ数年、両国関係は大きく発展してきました。それが今回の訪問を可能にした背景です。岸田政権のもとで、両国は関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしました。これによって、経済安全保障、半導体、レアアース、エネルギー転換、海洋安全、より高度なODA協力などへの道が拓かれました。

石破政権は岸田政権の姿勢を引き継ぎ、ベトナムの産業高度化支援やサプライチェーンの強靱化に取り組み、デジタル・科学分野へと協力を拡大しました。首脳間の対話と協議が相互信頼を高めました。

両国関係にはすでに成熟した政治・経済・安全保障の枠組みが整っています。今回の訪問は単発の出来事ではなく、将来を見据えた長期的なパートナーシップのなかに位置づけられます。

記者: デジタル化、グリーン転換、先端技術、半導体、高度人材育成といった新たな協力分野のうち、今回の訪問を契機に、どの分野が両国関係の発展をけん引する新たな原動力となる可能性が最も高いとお考えですか。また、その理由は何でしょうか。

西沢利郎 教授:デジタル化、グリーン転換、先端技術、半導体、高度人材育成といった新たな協力分野はすべて相互につながっています。そのなかで、両国関係の発展をけん引する可能性が最も高い原動力を一つ挙げるなら、「先端技術」だと思います。

グリーン転換はすでに協力の基盤が整っています。AZECやJCMといった政策枠組みがあり、ベトナムのネットゼロへの取り組みは、日本の高効率機器や送電網技術への需要を生みます。アンモニア、バイオマス、水素、循環型経済のプロジェクトをASEAN 全体に拡大することも視野に入ります。

半導体やデジタル化にも可能性があります。日本は先端技術と規制が強みで、ベトナムは急速に拡大する設計拠点とデジタル人材を持っています。半導体協力は、共同設計、パッケージング・テスト、材料生産、長期的な技術者育成など、現場レベルで進むと期待しています。

デジタル化は、エンジニアリングサービスなどの分野で加速する可能性があります。

プロジェクトの分散や高度技術者の不足といった課題はありますが、両国政府が、民間の主体性を尊重しつつ、ロードマップと共同のフラッグシッププロジェクトに長期的にコミットすれば、課題への対処は可能でしょう。

記者:今回の訪問は、地域・国際的な枠組みにおける両国の連携強化をどのように後押しし、アジア太平洋地域の平和、安定、持続可能な発展へのさらなる貢献につながるとお考えですか。

西沢利郎 教授:今回の訪問は、両国がAPEC、ASEAN関連会合、その他の国際的な枠組みを通じて、アジア太平洋の平和、安定、持続可能な発展に貢献するための基盤を強化するものだと思います。

ベトナムは、アジア太平洋地域の安定を志向する外交姿勢を堅持しつつ、日本とのより広範なパートナーシップを求めています。日本はそれに応えることができるパートナーの一つのはずです。 さらに二国間だけでなく、地域と国際的な枠組みを通じて「アジアと世界と繁栄のためのにおける平和包括的戦略的パートナーシップ」を、より具体的な連携に発展させることを期待しています。

グエン・トゥエン・ブイハー・スアン・ザオ


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