30/10/2017 17:53 GMT+7 Email Print Like 0

日本、2017年APEC議長を務めるベトナムの役割を高く評価する

ダナン市にて、11月5日から11日にかけてAPEC首脳会議(APECリーダーズウィーク)を控え、在日ベトナム通信社の記者にベトナムでのAPECSOM1=第1回APEC高級実務者会合に参加する日本代表団の団長を務める日本外務省経済局の小泉勉参事官は2017年APECに関する問題、その中、保護主義とAPECに対してのベトナムの役割についてインタビューを受けた。
記者:APECは,アジア太平洋地域及び世界における多数国間の経済協力メカニズムの牽引役の一つと言われているが,世界が保護主義の傾向を強める中,APECの役割に関するご意見はいかがであるか。

小泉勉参事官: 世論では「保護主義的な傾向」の強まりについて論じられているが,本当にこのような傾向が強まっているのかについては,個人的には疑問に感じている。

APECは,1989年の創設以来,アジア太平洋地域の経済統合を始めとした様々な分野で大きな成果を挙げてきた。現在,APECは,世界全体のGDPの6割(44.3兆ドル),世界全体の貿易量の約5割(17.8兆ドル),世界人口の約4割(28.4億人,2.84 billion)を占める。APECの継続した取組が,このようなアジア太平洋地域の発展に貢献してきた。



ベトナムでのAPECSOM1=第1回APEC高級実務者会合に参加する日本代表団の団長を務める
日本外務省経済局の小泉勉参事官

APECの創設者のひとりとして,日本は,APECを一貫して重視。伝統的なモノの貿易に加えて,サービスやデジタル貿易を始めとしたビジネス環境の変化,また,昨今の保護主義的な世論の高まりを背景に,APECとして更なる貿易・投資の自由化・円滑化を進める意義は高まっている。

APECの特徴のひとつは,「APECビジネス諮問委員会(ABAC)」というビジネス界の声を聞く仕組みがビルト・インされていること。APECとしては,引き続きこうした声に耳を傾けつつ,今後の貿易・投資のルールを作り上げていくべき。日本は自由貿易の旗手として,自由で公正な市場をアジア太平洋地域に広げていくことに貢献していく考え。


記者:2017年のAPECは,持続可能,革新的,包摂的な成長の促進,地域的な経済統合の深化,デジタル時代におけるSMEの競争力と革新の強化,気候変動に対応した食料安全保障と持続可能な農業の強化などを優先課題として焦点を当てている。これらの優先課題を解決する上で,世界経済における複雑な問題に立ち向かうAPECの機会(可能性)と課題についてどう考えるか。

本年,議長としてのベトナムの役割は非常に大きく,そのリーダーシップに期待。日本として本年APECの議論に,引き続き,積極的に貢献する考え。」
小泉勉参事官: APECは,「開かれた地域協力」,「協調的・自主的な行動」を原則とし,これまでも世界の新たな課題に率先して取り組んできた。WTOにおける環境物品協定などAPECにおける議論を基礎として発展してきたのもその一例。

また,ビジネスの課題等をヒアリングするため,多くのビジネス関係者を招待した官民対話の開催,また,APEC首脳とAPECビジネス諮問委員会(ABAC)と対話に代表されるように,ビジネスの生の声を聴取し,これを政策立案に活かすシステムが内包されていることも大きな特徴。

こうした特徴は,APECが国際的な枠組みとして引き続き優位性を発揮しつづける上で有効。

一方で,APECは,まもなく創設から約30年を迎え,オブザーバーに関する問題も含めて,組織としてのAPECの「あり方」について議論が行われている。また,2020年までに,アジア太平洋地域で貿易・投資の自由化・円滑化を達成するという「ボゴール目標」の達成年を3年後に控え,中長期的なビジョンの検討と同時に,現在,関連する取組を加速化させることが必要。このようにサブスタンスの観点も,組織としても,今後のAPECの方向性について議論を深めていく必要。

このような中,本年,議長としてのベトナムの役割は非常に大きく,そのリーダーシップに期待。日本として本年APECの議論に,引き続き,積極的に貢献する考え。


記者:APECに加盟してからのベトナムによるAPECへの貢献について,どう考えるか。また,2017年APEC議長を務めるベトナムの役割の意味について,どう考えるか。

小泉勉参事官: ベトナムは,1998年にAPECに参加した後,2006年に初めてAPECの議長を務め, 本年2度目の議長を務めている。このような,国際的な議論をリードしようとするベトナムの姿勢を高く評価。

本年,高級実務者として,既に2回ベトナムを訪問し,高級実務者会合(Senior Official Meeting)や貿易担当大臣会合(Minister Responsible for Trade)に参加しているが,いずれの滞在も非常に心地よいものであり,サブスタンス面でも大きな成果があったと考えている。

ベトナムは,現在のAPECの主要課題の基礎となる多くの分野をリード。例えば,「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」は,2006年ベトナムAPEC首脳会議においてその萌芽とも言える構想が提案された。

本年,ベトナムは,電子商取引,人材育成,経済的・財政的・社会的包摂性に関するイニシアティブを提案している。また,2020年のボゴール目標に向けた議論もリードしている。

地域経済統合に関する情勢を俯瞰すると,本年はAPECメンバーであるカナダとEUとの間で,EU-Canada Comprehensive Economic and Trade Agreement (CETA )が本年9月頃に発効予定と承知しており,また,日本とEUとの間の経済連携協定については,7月6日に大枠合意に至った。

ベトナムが,成長著しいアジアの新興国として,先見の明のある提案をすることは重要。このように地域経済統合に関する大きな動きがある中で,日本としても,本年11月のAPEC首脳会議の成功に向けて,引き続き,全面的に最大限協力及び支援していく考え。

記者:ご回答、ありがとうございます。
 
文、撮影:グエン・トゥエン-タイン・フウ (ベトナム通信社/ベトナムフォトジャーナル)