22/02/2021 15:43 GMT+7 Email Print Like 0

人形劇のステージでキエウ伝を語る

「キエウの宿命」(著者レ・チュック、作家グエン・ヒュウ、監督グエン・ティエン・ズン人民芸術家により上演)の劇は、詩人グエン・ズー(阮攸)による古典的な作品「キエウ伝」から脚色されています。詩人グエン・ズー(阮攸)の小説の登場人物キエウの詩的なキャラクターが、人形劇(人形と人間)によって読み解かれたのはこれが初めてです。
演劇を成功させるには、脚本から監督、キャスト、音楽、照明、アートデザインまで、チーム一体となった取り組みが必要です。しかし、人形劇のジャンルでは、各人物に合った人形を作ることが非常に重要であり、この仕事を担当するアーティストは劇の本質を作り出すこととなります。「キエウの宿命」の劇ではレー・ディン・グエン画家が人形作りの重責を担っています。


演技は主にマスクした人形であり、人物のキャラクターはそれらのマスクを通して表現される。



演技の前にメイクをする人形遣い。



登場人物ホアン・トゥーのために小道具を準備するアーティストたち。


キエウ伝の登場人物の性格をはっきりと表している枯渇した人形のイメージ。


レー・ディン・グエン画家の芸術的才能により、魂のこもった人形はドラマ全体に多くのニュアンスをもたらした。

 
「キエウの宿命」は、観客がキエウの人生の浮き沈みを理解するに足る粗筋のカットによって演じられました。「キエウの宿命」のすべての細部やシーンは演技や人形劇だけでなく、新しい試みとして抽象的な光や現代と組み合わせた伝統音楽の空間を作り出すことによって表現され、その間に辛口のユーモラスな部分が混ざり合って、時代の息吹がもたらされます。これらの要素により、古典的な文学作品がステージ上で見やすく、魅力的になりました。
この劇は2019年国際実験劇場フェスティバルで最優秀演劇賞、優秀監督賞、優秀ビジュアルアーティスト賞、最優秀俳優賞など多くの高い評価の賞を獲得した。

監督はキエウ物語の年代順ではなく、トゥイ・キエウの人生におけるいくつかのクライマックス部分のみを取り上げています。絹売りの災いによる冤罪から始まって、ヴオン・オンの家族は悲惨な状況に陥りました。トゥイ・キエウは金のために二回も身を売るという、15年間の悲惨な旅をしなければなりませんでした

トゥイ・キエウの両親が逮捕されるシーン。


トゥイ・キエウが父親のために自分の身を売るシーン。



マー・ザム・シンとトゥー・バが値段をかけ合うシーン。



キエウとトゥ・ハイの出会いのシーン。



トゥ・ハイがかつてトゥイ・キエウの命を狙った悪党に判決を言い渡すシーン。



トゥ・ハイがホー・トン・ヒエンに会うシーン。


トゥイ・キエウがトゥ・ハイに朝廷の軍門に下るよう勧めるシーン。



トゥ・ハイがホ・トン・ヒエン軍に騙されて殺されるシーン。



ステージで再現されるホアン・トゥが嫉妬で打ち殺すシーン。

 

さらに二人の重要な登場人物であるグエン・ズー(毛筆の人形)とダム・ティエン(ティ・バ楽器)という架空の人形を配したのは、ドラマの構成において光り輝く新しい試みでした。 そのシーンによって観客の感情はより深まっていきます。

演じるのは主に仮面をつけた人形で、登場人物のキャラクターはそれらの仮面を通して表現されます。これらの人形のデザインの後ろに隠されているのは人形遣いの巧みな手です。レー・ディン・グエン画家の芸術的才能により、魂のこもった人形は劇全体に多くのニュアンスをもたらしました

俳優のタイン・トゥンが才能あふれるジャグリングパフォーマンスで演じた絹売りの悪意ある鋤の刃の顔は、ステージ上で悪の典型的なイメージを描写しました。黒い蝶の形をした布を背景にして巨大な赤い唇が浮かんでいるだけの娼館の女将のキャラクターは、客を呼び込む狡猾な舌を最も凝縮して描いています。

登場人物ホ・トン・ヒエンも顔が頑固で、威圧的で、黒い衣服の真ん中の赤い腫れた顔の上に白い筋だけで黒目がなく、邪悪で卑劣なホ・トン・ヒエンを描いている優れた出来栄えの人形です。

さらにより見事な人物作りは、豚の顔、豚の口をしたトゥー・バ、チュー・バット・ゾイの腹と2つの胸の前にぶら下がる2つの瓢箪です。トゥ・バのショッキングな顔を見ただけで、そいつが赤線地区で忌み嫌われる売春の生業とする意地悪で貪欲の典型と分かるように造られています。また、登場人物である両面人形のソ・カインと逆さまの顔のトゥック・シンの様に、人物の典型的なキャラクターを完全に描写するために、人形では余分なものを捨て去り、特徴だけを非常に明確に描き出すというアーティストの深い意図が伺えます。

グエン・ティエン・ズン人民芸術家は、音楽家のグエン・ビン・ティエンとチャン・ドゥック・ミンに作曲を依頼し、人形劇に新しい音楽をもたらしました。これらはキエウの運命に対する哀れみに満ちた疼くような曲です。

ベトナム人形劇「キエウの宿命」は古い物語に基づいていますが、現在の社会では非難に値するような問題、古いが非常に新しく、新しいが社会や過去・現在の様々な問題への干渉を未だ受け入れられていないことに言及しています。

文、撮影:コン・ダット