2016年12月1月、ベトナムに伝わる伝統信仰「マウタムフー」(Mau Tam Phu=母三府、の儀礼がユネスコ無形文化遺産に登録された。長い歴史を持つマウタムフーの崇拝は、ベトナムに広く伝わる信仰で、「三府聖母道信仰」などとも呼ばれる。慈悲と寛容の象徴である三府(3人の聖母)を敬う聖母崇拝が、先史時代からの自然崇拝や聖道教、仏教や少数民族のもつ宗教などと混ざって形成された。ベトナム人の健康や希望などについての考え方、幸福観などの精神性が色濃く反映されており、ベトナム人の心のよりどころとなっている。特に、「三府聖母道信仰」の最も重要な儀式である謎のハウドン(候童)は信念、願望を表わし、今も存在する。