18/06/2021 15:16 GMT+7 Email Print Like 0

ハノイの料理:村から街へ

何世代にもわたって、キン族の伝統的な料理村は魅力的な料理を生み出し、ベトナム料理の生態系を広め形成してきました。料理はもはや職業村から街に伝わっただけでなく、国際的な料理の一つとなっています。ハノイの料理は世界中から来た観光客の心に深く浸透し、ベトナム人の平和で幸せな生活への願いと希望をもたらしています。
職業村は首都ハノイ料理の「ゆりかご」

首都ハノイには長い歴史を持つ有名な料理村がたくさんあります。各料理にはそれぞれ村の名前が付いています。例えば、タイン・チ村のバイン・クオン、フー・トォン村のおこわ、ラン・ヴォン村のコム・トム、フー・ド村のブン・ガン、ロー・ケ村のバイン・チュン、ウォック・レ村のゾー・チャなどです。料理の村は常に村の各家族で構成されています。祖父、父、息子の世代から孫へと伝統的な職業が伝えられ、それぞれの家の特徴を出すための料理法は秘伝の門外不出となっています。

私達はゾー・チャ(豚肉のソーセージ)のタイン・オアイ県ウォック・レ村を訪問し、有名な工芸村の雰囲気を体験しました。ウォック・レ村のゾー・チャを作る職業は約500年前から存在しています。封建時代にはこの料理は非常に高貴で、上流階級の宴会にのみ登場しました。1958年、ウォック・レ村のゾー・チャ「トゥエン・タイン」ブランドの製品はフランスに輸出されていました。補助金期間中、ウォック・レのゾー・チャも高級料理と見なされていました。

ホアン・バ・ホップさんの家族は、3世代にわたってゾー・チャ生産業を継承し発展させてきたウォック・レ村の典型的な例です。下の娘ホアン・ティ・オアンさんは、4つの生産施設を備えた有名なスアン・フォン協同組合をハノイに創設した家族の伝統を引き継ぐ3代目です。「スアン・フォン」のゾー・チャ製品はハノイのOCOP(One Commune One Product)として認定されており、ハノイのスーパーマーケットや伝統的な市場で販売されています。また多くの外国人観光客がハノイに来るといつも持ち運び易いお土産として買っていきます。



春雨を作るク・ダ村。
撮影:ベトナムフォトジャーナル



ウォック・レ村でゾー・チャを作る工程で今でも使用されている石臼、木製乳棒、バナナの葉など。
撮影:カイン・ロン/ベトナムフォトジャーナル



ウォック・レ職業村の祖先を敬い、供えるゾー、チャ、バイン・チュン、バイン・ザイなどの各製品。
撮影:カイン・ロン/ベトナムフォトジャーナル



メ―・チ村でふるいにかけてきれいなコムを集める工程。
撮影:コン・ダット/ベトナムフォトジャーナル



メ―・チ村でコムを煎る工程。
撮影:コン・ダット/ベトナムフォトジャーナル



ロー・ケ村でバイン・チュンを作る工程。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



伝統的なバイン・チュン製造に60年以上もの経験があるバイン・チュン・バ・ライン協同組合グエン・ティ・ライン会長。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル


満月の日や休日の習慣として伝統的なおこわを買って線香をあげる人々。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル

 

現在、ウォック・レ村の約500世帯がゾー・チャを作っています。村人たちは仕事へのアイデンティティを持ち続け、ゾー・チャをベトナム全土に拡大し、さらには米国やフランスに住む多くのベトナム人のために作っています。

また、同様に長い年月にわたって継承されてきたドン・アイン県ローケ村のバイン・チュンも私たちの心に多くの思いを抱かせてくれます。ベトナム民族の起源に関わるバイン・チュンは、祖先フン王の命日(3月10日)に捧げられることが多く、テトの時に作られます。バイン・チュン・バ・ライン協同組合を訪問し、ここで忙しく働く人々のにぎやかな職場を見学しました。協同組合の責任者であるラインさんは「私の家族四世代がこの仕事をしています。バイン・チュンはロー・ケ村の誇りであり、この職業で暮らしてきた農民の誇りです。現在、ロー・ケ・バイン・チュンブランドはOCOPシステムの3つ星認定製品です」と述べました。

ハノイの首都中心部でさらに興味深く、馴染があるのは、フー・トゥオンおこわ村です。フー・トゥオンのおこわは数百年の歴史があり、2017年に正式にブランドとして認められ、地理的表示がなされています。2018年にフー・トゥオン伝統工芸村協会が誕生し、首都中心部にある村の文化遺産としての価値が認定さました。現在、フー・トゥオン村の約600世帯がおこわを作っています。家族四世代でおこわを生産している家庭に生まれた青年アン・チエンさんは「私はおこわのチェーン店を展開し、IT技術を使ってフー・トゥオンおこわ料理の価値を海外の観光客に広めました。私の家はアメリカ、フランス、オーストラリア、イギリスからの多くの観光客を迎え、おこわ作りの体験をしてもらっています」と述べました。


「千年もの間、見知らぬ土地に連れて行かれても、ハノイの美味しいものを決して忘れることができない私はまだベトナム人です。」

ヴ―・バン作家の本「ハノイのおいしい料理」から。
ハノイにはコムを作る2つの有名な場所、ヴォン村(カウ・ザイ区)とメー・チ村(ナム・トゥ・リエム区)があります。コムは青い稲から作られています。青い稲の皮を剥き、煎って搗き、ふるいにかけるという多くの段階を経て、新しい米の香りのある若い緑色のコムを作ります。コムのシーズンにヴォン村に来ると、村の門に着いた瞬間から、緑色の米の香りが広がるのを感じることができます。ここの人々は今でも完全に手作業でコムを作るという伝統的なノウハウを守っているので、各家庭に足を踏み入れると、コム作りのプロセスを非常に興味深く体験できます。

屋台の料理

都市周辺の料理が村を超え、街にやって来て、誰もが楽しく味わうことができる場所として屋台という食文化の連鎖を形成しました。特に最近、アメリカCNNの料理テレビチャンネルがベトナムにやって来て、世界中の人々にハノイ料理を紹介するために多くのルポルタージュを行いました。

おそらく、ハノイこそが現在世界的に知られているベトナム料理の文化空間であるということは誇張ではありません。フォーは世界の多くの場所で作られているでしょうが、最も繊細なフォーを味わえる場所はハノイだけです。

ハノイのフォーがいつ登場したかは誰にも分かりません。ただ分かっているのは、ハノイの年長者が成長してから、この料理が人生と詩の中にあることを知ります。簡単に言えば、フォーは栄養たっぷりのおいしい料理というだけでなく、ハノイの人々の洗練された料理文化も含まれているからです。



観光客がとても簡単に見つけることができる、ハノイ旧市街のハノイ名物料理。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



 タ・ヒエン歩行者通りでハノイ料理を楽しむ観光客。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



ハノイの朝食メニューに欠かせないフォー。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



通りで実演販売されているクアイ。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



ハノイに来た外国人観光客のお気に入り料理バイン・ミー25。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



ダオ・ズイ・トゥ歩行者通りで伝統的なハノイ料理を楽しむ観光客。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



2016年、米国大統領バラク・オバマがベトナムへの公式訪問中にブン・チャを食べたレ・ヴァン・ヒュー通りのレストラン「フォン・リエン」。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



美味しいハノイの各種料理を作ることがレストラン「クアン・ゴーン・ハノイ」のスタッフの仕事。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



伝統的なウォック・レ村のチャとゾー。
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル



メー・チ村のコム。
撮影:コン・ダット/ベトナムフォトジャーナル

 

現在、ハノイに住んで仕事をしている作家のマルコ・ニコニック氏(セルビア人)は「私はベトナムを旅して、ハノイの食べ物が本当に素晴らしいと感じました。 放課後、ヴォン村のコムを食べに行こうと興奮している高校生のグループの姿はいつも印象深く感じます。 暇な時には、よく通りに出てタイン・チ村のバイン・クオンを食べながら、人々がゆっくりと通りを歩いているのを眺めます。 ハノイでの生活はこのような平和な瞬間に『高い価値』があります」と語りました。

「食はハノイを世界に知らしめる最短の道」
マルコ氏だけでなく、ベトナムを訪れる多くの外国人は、おいしい料理がたくさんある大通りのお店や素敵な小さな屋台で職業村の料理を楽しむ機会がたくさんあります。代表的な所として、ファン・ボイ・チャウ通り18番地のレストラン「クアン・ゴン」ではブン・ジュウ、フォー・ガー、タイン・チ村のバイン・クオン、バイン・コム、チャー・ゾ、クアン・ガイのバイン・ザイなど、ハノイのアイデンティティを作った多くの伝統的な料理を味わうことができます。

昔のハノイの美しさを再現した古都の雰囲気を持つレストラン「クアン・ゴン」は、ハノイ中心部にある料理村の真髄を完全に体験できる典型的な店です。オーストラリアから来た観光客のナターシャさんは「村の料理から首都ハノイの街までの料理があり、非常に不思議な組み合わせです。例えば、チャ・クエと一緒に食べるバイン・クオン、ゾと一緒に食べるバイン・チュン、バイン・ザイです。これらの味はすべて、ベトナムの田舎の文化が染み込んでいるようで料理に命を吹き込みます」と話していました。

ハノイの旧市街を歩き回っていると、五感を刺激する美味しくて印象的な店を簡単に見つけることができます。ハノイの美味しい料理が国際的に評価されているのは偶然ではありません。ハノイのフォーはCNNの世界最高の料理ベスト50で25位に選ばれました。オーストラリアのフェアファクスメディアの旅行ウェブサイト「Traveler」では、ブン・ジュウ・クアが世界で最もおいしい料理21のリストに挙げられました。またチャ・ルオイはAFP通信社からハノイの冬のお気に入り名物料理として紹介されました。これは国際観光マップにおいてハノイ料理の文化的価値の高さが裏付けられています。

2016年、米国大統領バラク・オバマと故アンソニー・ボーディンはレ・ヴァン・ヒュー通りでブン・チャーを味わった。英国のウィリアム王子は旧市街で、フランスの元大統領フランソワ・オランドは2016年にマーメイ・ストリートでコーヒーを飲んだ。2018年、韓国の文在寅大統領夫妻はハノイの店でフォー・ボーを食べ、最近では2019年2月、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領が歩道のカフェでコーヒーを楽しんだ。

文:ビック・ヴァン
撮影:タイン・ザン、カイン・ロン、コン・ダットトベトナムフォトジャーナルの資料