美術、文化、民族史を20年以上研究してきたチャン・ハウ・イエン・テー博士は、ベトナムのNGHE(ゲ:日本の駒獅子、狛犬などに似た想像上の獣の像)の研究で成功を収めてきました。 科学的アプローチと多大な努力によって、文化的および学術的な観点からベトナムの生活におけるNGHEの価値を評価し、一般の人々がこの像に関心を持つように促し、それによって芸術、ファッション、建築、観光への幅広い応用に貢献しています。
チャン・ハウ・イエン・テー博士は恐らく、NGHEを研究し、生活の中に使われている小さな物からNghe House、Nghe Prana Villa and Spaなどの建築ブランドまでの多くの素材にNGHEのロゴを持ち込んだ最初の人物です。
また、チャン・ハウ・イエン・テー博士はベトナム発見ツアーで紹介するためにNGHEの踊りを復元した人でもあります。博士が献身的に、経験を積み重ねてきたNGHEに関する研究・調査を発表したことにより、科学界は国の多くの歴史的証拠に関連するNGHEの価値に気づき、認めるようになりました。最近では、笑顔のNGHEはSeagame31のマスコット候補として最終選考に残った3種のデザインの1つでした。
2005年から今まで、チャン・ハウ・イエン・テー博士はベトナムを何度も旅行し、NGHEの歴史的な画像を収集してきました。旅行中、地元の人々との接触があり、記録した資料のすべてのページに喜び、悲しみ、そして澱みが染み込んでいます。博士によると、NGHEは何世紀にもわたってベトナム人の精神生活の中で生きている像であるため、多くの所へ行けば行くほど、より興味深い魅力があり、さらに深く探求したくなります。ある神社や寺院を訪問すると、そこに28頭のNGHEがあり、非常に驚いたそうです。
民間のアーティストによって作られたNGHEには、釣りを楽しむNGHE、イヤリングを付けたNGHE、真珠を銜えたNGHE、大笑いのNGHEなどの様々な姿でが、複雑な表情があります。NGHEは決まった形の動物ではなく、常に横に座って待つ位置にあり、NGHEの外観とサイズには標準がないので、アーティストが自らの創造性を昇華させる要因となっています。NGHEがベトナムの民間芸術においてベトナムの魂の創造に貢献していることも興味深いことです。
文:ビック・ヴァン
撮影:チャン・タイン・ザン