多くの研究者の意見によると、世界中に、ベトナムのように国の祖父の命日記念式典がある国がほとんどないという。数千年にわたって、フン王の崇拝宗教はベトナムにおいて依然として永続的に強固に存在している。したがって、人類の遺産に値すると思われる。
歴史ドキュメントと伝説は次のように語った。BC・2000年以上の前に、ラック・ロン・クアン（竜、男）とアウ・コー（魚、女）の美しい愛情は100人の子供を生んで、その中で、50人は父親に続いて海に降りて、50人が母親に続いて山に登った。母に続いた長男はフォンチャウ（現在フートー県）に滞在し、ヴァンラング国を建設して、フンヴォンのタイトルを取った。そして、それ以降、後の王の玉座は全てフンヴォンのタイトルを取った。また、それ以降、フェアリーとドラゴンのレースの物語とベトナムの国家建設の歴史が形成された。
 毎年、旧暦の10月3日に、あらゆるところから人々はフート省のフン王寺に戻って、フン王の命日記念式典に出席する。 撮影：ホアン•クアンハ  2012年に、600万人以上の人がフートー県のフン王寺に戻って、フン王の命日記念式典に出席した。 撮影：チン・ヴァン・ボ |
フン王の話についての概要はだいたい上記のようで、民間で何千年もの間存在している。そして、フン王はベトナム人の祖父と考えられていた。過去から現在まで、フン王とヴァンラング国のイメージは国の建設と保護過程においてベトナム人の強い精神の「心の支え」になってきた。特に、祖先崇拝の伝統と「水を飲んだら、その水源を思い出す」という孝行から、民間でフン王の国の建設に恩返しをする目的でフン王を礼拝する風習が早く形成された。その中でもっとも典型的なのは毎年の旧暦3月10日にフート県のフン寺で行われるフン王の命日記念式典である。
 フン王に奉納する供物の参拝行列の団体。撮影：ホアン•クアンハ  フン王の命日記念式典で方丈の旗を行列している団体。撮影：チン・ヴァン・ボ |
 5色の旗はフン王の命日記念式典で舞っている。 撮影：ホアン•クアンハ |
 フン王の命日記念式典における伝統的な参拝行列の儀式。撮影：ホアン•クアンハ |
研究者によると、フン王の崇拝の習慣は非常に古代から由来して約15世紀に明確に形成された。典型的に、1470年に、レー・タン・トン王はフン王の年代記を作らせて、フン王を「ベトナムの何千世帯の偉大な王」として表彰した。これにより、レー・タン・トン王は、正式にフン王の「国の祖父」の役割をする人だと見られた。または、グエン王朝（１９世紀）には、王朝は毎年の10月3日（旧暦）に国家崇拝日に設定して、各グエン王が崇拝用の餅米を作るために、自分で3つのブッシェル（約18キロ）の香り米を持って来る必要がある。また、フート省でのフン寺院遺跡地域において、トオン寺院、チュン寺院、ジエン寺院、フン王廟など、フン王の崇拝に関する、紀元前3世紀の多くの古代の遺跡がまだ存在している。これらすべての遺跡は組み合わさり上記のコメントはすべて根拠があるとさらに確認した。
民間ではフン王の崇拝宗教は各時代の文化発展の流れ及び国家と民族の拡大範囲に応じて、村の範囲から全国的範囲まで幅広く成長してきた。フン王を尊敬しているベトナム国家と民族はかなり早い時期から、特定かつ伝統的な文化的アイデンティティに相応しい儀式を構築して、フン王の崇拝の基盤を作った。
例えば、昔から、ラムタオ地域の周りの人々はフン王を村の神様として扱い、毎年、ギャアリン山の寺院から村まで行列して人民と一緒に正月の祝いを過ごしてもらった。また、10月3日（旧暦）の近くに、フートー省の他の地域（例：フンロー、チューホア、ティエンキエン、ヒクオンなどのコミューン）における人民はフン寺院までの行列式を行い、フン王様に供物を奉納する。過去からの仕来たりに従って、美しくて試合で勝ったみこしだけは10月3日（旧暦）の朝に開催される式でフン王に提供するのに使われるバインチュン、バインザイの供物をギャアリン山まで奉納行列することになる。より低い賞を受賞したみこしはお祭り地域の周りの人の前で行列し、お祭りの堂々とした雰囲気を作る。フン王を崇拝することに加えて、民衆は擁護者、軍隊幹部、フン王の妻、フン王の息子も崇拝する。これらの儀式はこれまでまだそのまま相変わらず習慣として残っている。
 フートー県のフン寺院歴史遺跡の領域におけるラック・ロン・クアン寺院での国の祖父ラック・ロン・クアンの命日記念式典。撮影：チン・ヴァン・ボ  国の祖父ラック・ロン・クアンの命日記念の儀式。撮影：ホアン•クアンハ  国の祖父ラック・ロン・クアンの命日記念の儀式。撮影：ホアン•クアンハ  フートー県のフン王寺院歴史的な遺跡領域におけるアウコー寺院での国の祖母アウ・コーの命日記念式典。 撮影：チン・ヴァン・ボ  フートー県のフン王寺院歴史的な遺跡領域におけるアウコー寺院での国の祖母アウ・コーの命日記念式典。 撮影：チン・ヴァン・ボ  国の祖母アウ・コーの命日記念の儀式。撮影：チン・ヴァン・ボ  国の祖母アウ・コーの命日記念の儀式。撮影：チン・ヴァン・ボ |
フン王の崇拝宗教に関連付けられるものとして、現時点のフート地方の住民はまだ伝説、習慣、儀式、お祭り、食文化、民俗の遊びなどのように、多くの関連する文化遺産を含む巨大な宝を保持できている。典型的にはスアン歌の芸術（すでにユネスコにより緊急保護が必要な無形文化遺産と認められた）、トーサコミューンでのチョチャム祭り、キムドックコミューンでのバインチュン包みコンテスト、餅つきコンテストなどである。
今日、フン王の命日記念式典とフン寺のお祭りはまだ継承され、強く発揮されている。毎年、旧暦の10月3日に来ると、国内外からの何百万人もの人々はフートー省のフン寺へ巡礼してフン王の命日記念式典に参加する。この機会に、全国のほとんどの各地方及び海外からのベトナム人は競技、宗教に関係なく、自分の能力に応じて、一心に尊敬してフン王の命日記念式典を行う。文化・スポーツ・観光省の統計によると、フート省でのフン寺に加えて、全国において、フン王及びフン王時代に関わる人物を崇拝する遺跡は全部で1417箇所あるという。その中、主にフート省（326箇所）、ハノイ（425箇所）、バクニン県（168箇所）、ビンフック県（62箇所）、ホーチミン市（14箇所）に集中している。
長年にわたり、人々の願望に答えるために、ベトナム政府はフン王の命日記念日のアイデンティティ及び重要性を維持し、さらに発展するために、いくつかの重要な決定を発行した。例えば、フン王の命日記念日が国の5つの主要な祝日の一つであることを規定したこと、フン王の命日記念式典を国家レベルで開催する提案を承認したこと、従業員をフン王の命日記念日（旧暦3月10日）に有給とさせたことなどである。それだけでなく、国家は国民と一緒にこの重要なイベントのために大きな関心を持って投資している。したがって、毎年、フート省では、フン王の命日記念式典は拝礼音楽、儀式や拝礼服を十分に整えた国家の儀式で厳粛でかつ尊重の心で行わている。
最近フート省で開催された2012年のフン王の命日記念式典及びフン寺祭りにて、600万人以上の人が熱心に参加して、2011年に比べて約1万人も増えた。これはフン王の崇拝宗教が強い信心力を持ち、国内外でのベトナム民族のコミュニティで広範囲に広がっていることを示す。
この機会に、世界中の22ヶ国の地域に過ごしているベトナム人を代表する代表団はフート省の巡礼に参加した。ロシア連邦に住んでいるレー•ティ•フォンマイ氏は次のように言った：「故郷を離れてから30年後にまた故郷に帰って、フン寺に行って焼香することができて、私たちと故郷との間のギャップがなくなったように感じた。それは私たちを強く励ましてくれた。私たちがどこへ行っても、心は故郷の土地に向かっている。」
フン王の命日記念日をはじめ、フン王の崇拝宗教が世界的で際立った値はこの信念が世代から世代へ精神的で独自の価値で継続され完全に保持・継承されこと、かつ多数のコミュニティの自発的な参加を集めることであろう。それはユネスコの要求に満たした基準である。特に現在の統合時代に。したがって、フン王の崇拝宗教はユネスコへ人類の代表無形文化遺産の表彰・認証を申請するプロファイルもベトナム政府により準備された。
 フン王への供物としてのバンチュンの包みコンテスト。撮影：チン・ヴァン・ボ  フン寺祭りで銅鑼のドラムを叩いている。撮影：ホアン•クアン  世界文化遺産であるスアン歌はフン王の崇拝宗教に関連したアートの一種。撮影：ホアン•クアンハ |
 フン王への供物としての餅つきコンテスト。 撮影：ホアン•クアンハ |
 民衆はおとぎ話の人物にメクアップしてフン 寺祭りに出席する。撮影：：ホアン•クアンハ |
よく覚えていることは、フン王の崇拝宗教について議論した時に、ベトナムのリーディングした歴史家で、また世界中でも有名になった故教授トラン・クオック・ヴォンは次のように言った：「フン寺院は祖先を崇拝するところであるが、祖先は一つの家族、一つの族、一つの村、一つの領域のことではなく、全国のことを意味とする。フン寺祭りもただ祖先の命日記念日、祖先のことの思い出、先祖の土地、神聖な土地、最初の王朝の起地に巡礼する旅だけに止まることではなくて、本当に「起源に戻って、元の民族を探すこと、さらにベトナムの文化からより正確に言うと、民族の起源に戻る」という精神的緊迫感となっている。」
上記のような推論的な説明で、ベトナムのフン王の崇拝宗教のプロファイルが近いうちにユネスコによって認証され、表彰されるように期待している。そうすると、人類の文化宝庫はしてきたもう一つの何千もの歴史に渡ってしっかりとした活気に満ちた貴重な存在遺産を追加できるようになる。
文：トック・ヒエン
撮影：ホアン・クアン・ハ、チン・ヴァン・ボ
