11/12/2020 10:56 GMT+7 Email Print Like 0

育成者権を持つ温帯果樹:ソン・ラ省農産物の競争力に利

ソン・ラ省はベトナム北部最大の果樹栽培地域の一つですが、現在、オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)は生産技術の近代化と農業への通信技術の適用、そして商品分野におけるバリューチェーン拡大のために多くのプロジェクトを展開しています。特に、「ベトナム北部における温帯果樹産業の指導・調整・経済発展強化」プロジェクトではプラム、桃、梨、アボカドなどの温帯果樹発展の支援イニシアチブを実施しています。
ダ川流域にあるモック・チャウ高原は亜熱帯気候で、石灰岩の上に腐植土の量が多いフェラリット土壌があるので質が高く、おいしい果物が栽培されています。プラム、もも、梨、アボカドなどの温帯果樹や亜熱帯果樹はこの数十年間、ソンラ省において競争力が高いことから、省の農業発展のために優先されてきました。これらの果樹は農業システムの多様化、傾斜地での浸食防止、また農家の収入増加にも貢献しています。

しかし、ソンラ省における温帯果樹産業の発展過程では果樹の価格が上昇するとすぐに農民たちが生産規模を拡大させる傾向が強く、価格が上昇する度に供給が需要を上まわり、製品の価格が下がるという課題に直面していました。加工業界については果物の消費につながることから生鮮果物市場での価格安定に役ちますが、現在、ソンラ省では加工製品(主に乾燥果物とジャム)の多様性が不足し、ソンラ省の加工施設が小規模で、最新の機械や技術がまだ導入されていません。

ソンラ省のもう一つの道は製品の多様性を高め、収穫を引延ばすために様々な温帯果樹の品種を開発することです。しかし、ソンラ省には新品種育成者の権利を保護する仕組みがまだないため、法的に育成者権を持つ新しい品種にアクセスすることは困難です。

以上の問題を解決するために、オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)のプロジェクトはソンラ省政府と民間部門の関係者と協力し、ソンラ省に温帯果樹協会を設立するための二つの相互支援イニシアチブを実施し、2018年から現在まで育成者権で保護された温帯果樹の種苗を紹介しました。

 

ソンラ温帯果樹協会会長マイ・ドゥック・ティンが社長を務める農業開発サービス協同組合(5月19日)の乾燥製品加工に収穫されたプルーン。


2018年、ソンラ温帯果樹協会会長のマイ・ドゥック・ティン会長、ソンラ植物品種・畜産・水産センターのハ・ヴァン・ラム所長、クエット・タインファームのファム・ヴァン・クエット社長、ソンラ省農業・農村発展局の副局長によるオーストラリアへの出張。
撮影:オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の資料



モックチャウのクエット・タインファームのファム・ヴァン・クエット農場主とオーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)プロジェクト責任者クイーンズランド大学のOleg Nicetic講師はオーストラリアのプラム園を訪問
撮影:オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の資料



数百ヘクタールに渡ってプラムが植わっているナカ(モック・チャウ県タン・タップ集落)はソンラ省のプラムの王国と呼ばれている


輸入されたプラムの種苗はソンラ植物品種・畜産・水産センターで地元の品種とかけ合わせ、気候と自然条件への適合性を調べる。当センターはオーストラリアからベトナムに育成者権で保護された4種類のプラムの種苗を輸入するプロジェクトに協力している。


 
クエット・タインファームのファム・ヴァン・クエット農場主は
モックチャウで最も有名な温帯果樹園のオーナーの一人で、ソンラ省温帯果樹協会創立当初からのメンバー。



ファム・ヴァン・クエット社長のクエット・タインファームでオーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の苗木から栽培された最初の柿


オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)から支援を受けたモン民族のヴァン・ティ・ホアさんはトウモロコシの栽培から傾斜地での温帯果樹に変えて、以前より高い収入がある。


作物への適応性を高めるために輸入された四品種のプラムを接ぎ木した地元のプラムの品種はソンラ植物品種・畜産・水産センターでテストされた。


ソンラ省で栽培される他の果樹より価値があり、競争力のあるプラムの木、約100本を栽培するパ・ケン村のチャン・ア・ズンさんの家族


プラムの熟した季節は家族が収穫、梱包、そして
消費者への発送に忙しいシーズン。



農場で収穫されたプラムは包装後、スタンプを押したシールが貼り付けられ、これらの農産物がモックチャウクリーン農産物協同組合のグエン・スアン・ヴァン会長の施設で集荷されたことが商標で証明される(パケン地区、モックチャウ・ファームタウン)。

 
ソンラ省に温帯果樹の協会を設立するというアイディアは、業界の持続可能な発展の促進にその様な組織が必要だと多くの人から認識されていたので、地元の農家や企業から歓迎されました。2020年6月初旬、地元の農家、種苗栽培園、協同組合、企業、貿易業者、加工部門からなるソンラ省温帯果樹協会が正式に設立されました。
ソンラ省農業農村開発局のカム・ティ・フォン副局長は「ソンラ省温帯果樹協会は外国からの品種の輸入、著作権での管理に重要な役割を果たし、現地の農業発展に貢献しています。」と述べた。
ソンラ省温帯果樹協会は小規模で個々に活動する農家と温帯果樹栽培協同組合を結びつけ、また業界の関係者を結びつけ、果樹を栽培する技術とその市場についての情報交換の場になるよう支援することが期待されています。この協会は現地政府と緊密に連携し、政策立案プロセスに影響を与え、業界の戦略的な計画を策定し、同時に機関での研究と品質管理、特に品種の開発と導入を推進しています。


協会の設立に伴い、育成者権で保護された温帯果樹を導入し、生産物の多様化を図り、ソンラ省の温帯果樹の収穫を伸ばし、市場を拡大し、業界での競争力の優位性を高めています。
オーストラリア樹木改良会社(ANFIC)とソンラ農業農村開発との協力によるこのプロジェクトによって、しっかりした果肉、迅速な収穫、消費者の嗜好を満たし、収穫後のロスの減少という特徴を備えた育成者権で保護された4品種のプラムを省にもたらしました。輸入された四つのプラムの種苗は作物への適応性を強化させるために地元のプラムの苗木に接ぎ木されました。
クエット・タインファームのファム・ヴァン・クエット農場主は輸入されたプラムの品種をテストするためにACIARプロジェクトに協力した最初の農家で「私の農場で栽培されている接ぎ木したプラムはモックチャウの気候で順調に育ち、地元のプラムの木と同時に芽が出ます。しかし、私はまだもっと観察する必要があり、果物の品質が要求に達しているか、期待に叶っているかを確認するために収穫を待ちます。」と述べた。

現在、苗木の数が増え、2020年末までに省内の三つ異なる生態エリアにさらに1000本の樹木を植え、生産の適応性と持続可能性をテストし、成功すれば市場で販売することが期待されています。オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)のプロジェクト・リーダーであるクイーンズランド大学のオレグ・ナイスティック社長によると、これは育成者権の保護、管理、およびロイヤルティ徴収のメカニズムを確立するための実験です。将来、ソンラ省温帯果樹協会はベトナムで市販されている種苗を独占的に供給する機関になるでしょう。育成者権で保護された苗木の商品化は品種保護、版権料の管理、独占的なサプライチェーンの開発という三つの主な要素が柱となります。ACIARプロジェクトは今迄も、また今後もこれらの活動に好都合な条件を作り出す計画を立てています。


ソンラ省において、ACIARは地方自治体が農業部門の構造を変革し、輸出にメリットのある農産物の生産を支援してきました。現在、広大なトウモロコシの丘は1haで数億ドンの利益をもたらす果樹園に変わり、経済を発展させ、貧困からの脱却に寄与しています。

文:フオン・ハー―フエン・チャム
撮影:チョン・チンとACIAR資料