ゲアン省の海の恵みが詰まったクアローの焼き魚
ゲアン省のクアロー沿岸地域は、夏の観光地として人気があるだけでなく、素朴ながらも独特な食文化で訪れる人々を魅了しています。それは、真っ赤に熾った炭火でじっくり焼き上げ、海が育んだ自然の甘みをそのまま閉じ込める伝統的な「魚の炭火焼き」の技術です。
多くの沿岸地域では魚を冷凍保存したり、濃いめの味付けをしたりするのが一般的ですが、ギートゥイ、ギーハイ、ギータンなどクアロー沿岸の伝統工芸村の人々は、炭火でじっくりと焼き上げることで, 魚の鮮度を損なうことなく長持ちさせるという手法を選んでいます。
炭火の芳ばしい香りが、魚本来の濃厚な甘みと絶妙に絡み合い、やがてクアロー沿岸地域ならではの独特の食文化が確立されてきました。古くから伝わる民俗的な伝統から、焼き魚は伝統的な職業へと発展しました。毎朝、漁船が港に帰着すると、この地域の何十もの炭火が一斉に赤々と燃え上がり、省内外の市場へ向けて毎日数トンもの焼き魚が送り出されます。
極上の焼き魚を作るには、原材料の選別から火加減の技術に至るまで、調理過程の細部にわたって細心の注意を払う必要があります。
魚は必ずその日に水揚げされたもので、目が澄み、身が引き締まっているものでなければなりません。季節に応じて、伝統工芸村の人々はニシン、アジ、スギ、マグロなど様々な魚を焼きますが、観光客に最も人気があるのはやはりサバです。重さ2〜3kg以上のサバはきれいに処理された後、絶妙な厚さで斜め切りにされます。
クアローの焼き魚の一番の特徴は、調味料や保存料を一切使用していないことです。魚を薄い塩水でさっと洗うだけで、生臭さを取り除き、魚本来の風味を引き出します。
焼きに使用する炭は、煙が出ず、赤く燃える木炭でなければなりません。職人は熱い火のそばに立ち続け、手際よく魚の切り身を均等に裏返していきます。魚は外側が香ばしくきつね色に焼け、内側はしっとりとして柔らかく、本来の甘みと脂の旨味がそのまま閉じ込められるように70〜80%ほど焼き上げます。
この独特の焼き方のおかげで、クアローの焼き魚は豊かな甘みと引き締まった身を保ちながら、長期保存や遠方への輸送をも容易にします。ニシンやアジなどの小魚の場合、地元の人々は焼き立てをバインムオット(薄く蒸した米粉のシート)やライスペーパーで包み、ニンニクと唐辛子がピリッと効いた特製の魚醤にたっぷりつけて食べるのが一般的です。
一方、サバの炭火焼きは家庭の食卓を彩る風味豊かな最高の食材となります。購入したサバの切り身をカリッと揚げてディル風味の魚醤につけて食べるも良し、ベトナム伝統の土鍋で煮込むも良し、生のグリーンペッパー、ガランガルとレモングラスと一緒に煮込むも良し、炭火でじっくり焼くことで魚の身に調味料が染み込み、荷崩れしたりすることもなく、しっかりとした食感になります。
活気あふれる海辺の観光都市へと発展を遂げる中で、クアローで毎朝赤々と燃え上がる炭火は、地域住民の持続可能な暮らしを支えるだけでなく、太陽と風に育まれた中部地方の「食の魂」を今に伝えています。クアローを訪れ、まだ熱々の焼き魚を手に取り、海がもたらす豊かな風味を味わうとき、訪れた人々はこの郷土の産品に込められた、ゲアンの人々の真心と情熱を心から実感することでしょう。
文:チャン・タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル
撮影:タット・ソン/ベトナムフォトジャーナル









