ASEAN社会文化共同体:人々を結びつけ、利益をもたらす
第33回ASCC理事会では、過去10年間の発展の歩みを振り返り、2025年総合計画の行動項目の99%が効果的に実施され、人間志向、人間中心、社会的責任を有するASEAN共同体の実現に貢献したというASCCの成果を歓迎しました。
際立った成果の一つは、意思決定プロセスにおける関係者の実質的な参加レベルの向上であり、これにより組織の活動における質、代表性、専門性の向上を目指している点です。アジア開発銀行(ADB)のデータによると、人間開発指数(HDI)に関しては、現在までにASEAN加盟10か国すべてが中程度以上の開発レベルに位置しており、域内の生活の質において顕著な進展が見られます。
教育分野においては、ASCCの枠組みの中で、加盟国における社会的弱者層の教育へのアクセスを促進するための実践的な支援政策が多数実施されています。ブルネイでは、障害のある児童や特別な支援を必要とする児童は国家教育制度における特別支援の対象となっています。ラオスでは、少数民族や女性が教育政策および人材育成政策において優先されています。
そのほか、ベトナムではASCCの目標を国家の持続可能な開発に関する重点プログラムに組み込み、障害者向けの職業訓練プロジェクトなどを展開しています。代表的な例として、ハノイにあるインクルーシブ教育支援センターでは、障害者向けに縫製、情報技術、手工芸などの技能コースを提供し、企業への就職や起業を支援しています。
ASEAN社会文化共同体(ASCC)の5つの重点優先事項は以下の通りである。
価値の創出を通じて、文化と遺産を強化する。
AI環境、デジタル変革、グリーン雇用など未来の変化に対応するスキルと適応力を強化する。
ASEANの繁栄を築くためのASEANイニシアティブの実施を強化する。
若者とスポーツの可能性を活かし、成長、団結、高い成果を促進する。
持続可能な協力と責任の共有に向けて、気候変動対策を加速するためにASEANの共通の声を呼びかける。
社会開発と環境保護の促進に関しては、政策立案、研修、能力強化に重点を置いた362件の活動が実施され、そのうち63.3%が完了または進行中です。生物多様性保全に関する地域イニシアティブの数は、2016年から2019年の間に7件から20件へと増加しました。
気候変動に関して、ASEANは国連気候変動枠組条約、グローバル・グリーン成長研究所、地球環境ファシリティなどの国際機関の協力を得て、加盟国の国別貢献(NDCs)の実施を支援するための地域プロジェクトを多数展開してきました。
さらに、ASEAN域内の国々がより深く、り多様な分野で協力できるよう、多くの組織、フォーラム、イニシアティブが設立されました。例えば、ASEAN音楽産業協会(AMIA)、東南アジア学校校長フォーラム(SEASPF)、ASEAN退役軍人連盟(VECONAC)、ASEAN化粧品協会(ACA)、ASEAN植物油クラブ(AVOC)、ASEAN子どもフォーラム、ASEANユースフォーラムなどが挙げられます。
このように、ASCCは共通のアイデンティティ、連帯、そして人々を中心する発展を目指すASEAN共同体の形成過程において重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。設定された目標達成は依然としていばらの道ですが、ASCCがこれまでに築いてきた成果はASEANの将来に明るい展望をもたらし、社会文化分野におけるより実質的かつ深い協力の基盤を着実に築き上げています。
編集:ベトナムフォトジャーナル
撮影:ベトナム通信社