ベトナムー 世界中の学生の新たな留学先
近年、ベトナムの大学で学ぶ外国人留学生の数が急増する傾向があります。これは、ベトナムが安全で友好的で、多様性に富み、魅力的な文化を持つだけでなく、大学教育能力が世界水準に近づいていることを示しています。さらに、ベトナムにはトップクラスの大学がますます多くなり、ビザ、学費、奨学金、宿泊、通学への優遇措置、オープンで柔軟な政策などが外国人留学生を惹きつける要因となっています。
十数年前までは、ベトナムの大学は世界の教育地図においてほとんど知られていませんでしたが、今日ではその名前が国際的な大学ランキングにますます多く登場するようになっています。 Times Higher Education(THE)によると、2025年にはベトナムの11の大学が国際的に権威あるランキングに選ばれると予想されています。これらには、ホーチミン市経済大学、ズイタン大学、トンドゥックタン大学、ハノイ医科大学、グエンタットタイン大学、ホーチミン市オープン大学、ハノイ国家大学、ハノイ工科大学、フエ大学、ホーチミン市国家大学、ダナン大学が含まれています。
ベトナムの大学における国際的な研究発表の件数は、毎年平均15〜20%の割合で増加しています。多くのベトナムの研究グループが、国連、世界銀行、欧州連合などが支援する地域プロジェクトへの参加を要請されています。 これは単なる数字ではなく、大学の運営、研究活動、教育プログラムの国際化への力強い変革のプロセスの成果です。
実際、現在のベトナムの大学キャンパスは、単なる教育の場にとどまらず、イノベーションの中心地でもあります。 北部では、ハノイ国家大学のホアラックキャンパスが、近代的で緑豊か、かつスマートな「大学都市」として整備されています。 南部では、トンドゥックタン大学、FPT大学、ホーチミン市国家大学が、電子図書館、国際学生寮、オープンリサーチセンターなどを備えた模範的なモデルとなっています。 トンドゥックタン大学では、過去5年間で1万人以上の留学生が学び、インターンシップに参加し、文化交流を行っています。 2023〜2024年度だけでも、2,065人の留学生を受け入れており、ベトナムが徐々に地域の教育拠点として成長しつつあることを示しています。
最近、金融マーケティング大学のブイ・ミン・ギア修士による研究が、電子版『政治理論ジャーナル』に掲載されました。この研究によると、ベトナムは教育分野において外国からの投資プロジェクトを605件誘致しており、総投資額は45億7千万米ドルを超えています。 また、国内の65の大学教育機関で、約430件の国際共同教育プログラムが実施されており、外資系高等教育機関が5校あります。特に大学レベルでは、全国で外国と提携した教育プログラムが408件あります。ベトナムと多くの連携プログラムを持つ国と地域は、英国が101件、米国が59件、フランスが53件、オーストラリアが37件、韓国が27件となっています。
そのほかにも、ベトナムでは多くの国際的な教育・指導機関が活動しています。たとえば、ビジネススクールおよびプログラム認定評議会(ACBSP)、エンジニアリング・テクノロジー認定機構(ABET)、ドイツ認定・認証・品質保証機構(ACQUIN)などが挙げられます。
これは、ベトナムの大学教育が力強く発展し、ビジネスと経済、コンピューターサイエンス、教育研究、エンジニアリング、生命科学、医療と健健康、物理科学、社会科学などいくつかの分野や教育専攻は国際水準に近づきつつあり、世界から高く評価されていることを示しています。
ハノイ国家大学のホアン・ミン・ソン准教授は、世界クラスの大学モデルはすでに多くの国で導入されており、その成功の鍵となる3つの要素は「豊富なリソース」「円滑なガバナンス」「優秀な人材の集結」であると述べています。 ベトナムにとって、アジア地域で先進的な教育水準に達し、世界をリードする一員になるためには、「公平性」「包摂性」「現代性」「質の高さ」を兼ね備えた教育システムの構築が必要とされています。
このような力強い発展を背景に、ベトナムは世界各国の学生にとって、新鮮で魅力的な留学先となりつつあります。 ベトナム教育訓練省の統計によると、2024年末時点で、国内の教育機関に在籍する外国人留学生は約2万2千人に達しています。そのうち、約4千人は政府間協定に基づく留学生で、残りは大学や地方自治体レベルの二国間協定に基づく私費留学生です。ベトナムで学ぶ留学生の出身国は非常に多様で、数十か国に及びます。特に留学生数が多い国としては、ラオス、カンボジア、ミャンマー、中国、韓国、日本、イギリス、フランス、アメリカ、ニュージーランド、ウクライナ、インド、ナイジェリア、スイス、スペイン、デンマークなどが挙げられます。人気のある分野は、医学、薬学、経済学、ビジネス、文化、言語などです。
ハノイ工科大学の卒業式で、カンボジアからの留学生たちは晴れの日の喜びを隠しきれない様子でした。 奨学金を受けたことのあるハン・ソッケンさんは次のように語っています。「ここでは生活費の支援を受けることができ、先生方や友人たちがいつも助けてくれました。私の成功は学問だけでなく、よりオープンで自信に満ちた人生を送るこにも繋がりました。ベトナムは私たちにとって正に第二の故郷です。」
国際大学(ハノイ国家大学)では、あらゆる教室の中に文化的多様性が息づいています。インド、ナイジェリア、日本、韓国、スイスなどからの学生たちが共に議論し、研究し、創造活動に取り組んでいます。 国際学生のComaan De(インド)、Demy Warloxx(ナイジェリア)、そしてベトナム人学生のグエン・ティ・ハイ・イェンとドー・ミン・ホアンが共同開発したプロジェクト「Helio空気清浄装置」は、IStartup2024コンテストで第3位を獲得しました。Demy Warloxxさんは「ベトナムの学生と一緒に働くことで、粘り強さや創造力、そしてチームワークにおけるプロフェッショナルな取り組み方を学ぶことができました。ここでは、アイデアは常に耳を傾けられ、評価され、実践的な学びが最大限に活かされます」と述べていました。
外国語大学(ハノイ国家大学)のベトナムおよび東南アジア言語文化学科では、語学クラブやサッカークラブなどが、韓国、日本、中国、米国などからの留学生にとって「文化交流の場」となっています。さらに 、ベトナム語の授業はどれも、民謡を歌ったり、書道をしたり、フォーの調理方法を学ぶことができるなど、ベトナム文化を探求する旅でもあります。学科長のチャン・フー・チー博士には、ここでは留学生はベトナム語を学ぶだけでなく、文化、人々、そして素朴で誠実なライフスタイルに至るまで、この国を愛することを学んでいると述べていました。
南部では、国際大学(ホーチミン市国家大学)が、世界の有名大学から700人以上の留学生を受け入れ、国際大学が提供する単位交換プログラムや研修プログラムに参加しています。
特に、COVID-19パンデミック以降、同大学では外国人留学生の数が急増しており、380名を超え、前期比15%増となっています。 アデレード大学(オーストラリアGroup of 8)、シンガポール国立大学(QSランキング2025世界第8位)、そしてヨーロッパの歴史ある大学など、世界的に評価の高い大学からの留学生を受け入れていることは、ますます効果的かつ広範囲に展開している国際化の流れが、いかに魅力的であるかを示しています。
ベトナムに研究や学習のために訪れる外国人留学生が増えたことで、活気に満ちた多文化的な学習環境
生まれ、多国籍連携活動を促進し、ベトナムの高品質な教育能力を反映しています。 彼らはまさに知識と文化の架け橋であり、ベトナムの教育の姿を世界の知識地図により力強く広めることに貢献しています。
文:ビック・ヴァン
撮影:チャン・タイン・ザン、トン・ハイ/ベトナムフォトジャーナルと資料























