知的財産権侵害への厳しい対応はベトナムの一貫した政策

知的財産権侵害への厳しい対応はベトナムの一貫した政策

知的財産権侵害の行為がますます複雑化し、手口も巧妙化している状況において、ベトナムは世界の多くの国々と同様に、知的財産権の侵害に対して断固として取り締まり、厳正に処罰している。これは健全で透明性の高いビジネス環境を構築し、科学技術、イノベーション、デジタル変革を主要な原動力とする成長モデルへと転換することを目指すベトナムにとって最優先事項であり、一貫した政策である。

5月1日、ベトナム外務省のファム・トゥ・ハン報道官は、米国が知的財産権の世界的な保護および執行状況に関する年次報告書の中で、ベトナムを「優先外国」と指定したことに対するベトナムの反応について記者から質問を受けた際、次のように述べた。 

これまでベトナムは長年にわたり、知的財産の保護に最大限の努力を重ねてきた。法制度の整備、国民の意識向上、世界知的所有権機関(WIPO)や米国をはじめとする多くの国々との国際協力の強化、そして知的財産権の侵害に対する断固たる闘いと厳正な処罰など、多岐にわたる取り組みを行ってきた。これは健全で透明性の高いビジネス環境を構築と、科学技術、イノベーション、デジタル変革を主要な原動力とする成長モデルへの転換を目指すベトナムにとって最優先事項であり、一貫した政策でもある。 


国会は、2025年改正の知的財産法の一部条項を修正・補足する法案について審議した。 撮影:ベトナム通信社

知的財産はベトナムの発展政策において常に優先事項とされてきた。

世界経済が知識とイノベーションに基づくモデルへと急速に移行している中、ベトナムは科学技術、イノベーション、デジタル変革を国家発展戦略の三本柱として位置づけ、2045年の建国100周年までに先進的な高所得国となることを目指している。その中でも、知的財産は国家イノベーション戦略において極めて重要な役割を果たしている。知的財産は透明性と健全な市場環境を創出する法的基盤であるだけでなく、発明家、企業、そして社会全体が安心してイノベーションに取り組み、貢献できる精神的な原動力として機能するするからである。 

そのため、ベトナムは政策メカニズムの整備、制度改革の推進、申請処理プロセスの近代化、知的財産に関する知識の普及に努め、企業が知的資産を保護し、ブランドを構築し、競争力を高め、投資を誘致するために、知的財産を 有効な手段へと転換しようとしている。

 

ベトナムは世界知的所有権機関(WIPO)と協力し、知的財産管理能力の向上に取り組む。撮影:ベトナム通信社

また、世界知的所有権機関(WIPO)をはじめとする多くの国際協力イニシアティブも進められており、ベトナムが先進的な知的財産管理モデルにアクセスし、知的財産資産の商業化を促進し、社会におけるイノベーションの流れを活性化することを支援している。 

実際、ベトナムのビジネス界では、特にブランド戦略や国際市場への進出において、知的財産権がますます積極的に活用されるようになっている。

現在、国内では約100万件の商標が登録されており、その大部分は国内企業によるものである。Vinamilk、Viettel、Trung Nguyenなどの有名な国産ブランドは、米国、EU、日本などの国際市場で知的財産権を登録し、事業拡大と紛争防止を図っている。 

商標、地理的表示、意匠などの知的財産権を効果的に活用することは、製品価値の向上に寄与するだけでなく、グローバル化の進む環境において企業や地域の起源、信頼性、アイデンティティを保護することにもつながっている。 

 

ベトナムは、インドネシアのバリ島で開催された第78回ASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC 78)に参加し、これまでの知的財産協力の成果を評価するとともに、2026年から2030年に向けた新たな戦略を策定した。  撮影:ドー・クエン-ベトナム通信社

制度を絶えず改善し、実施効果を高める。 

近年、ベトナムの知的財産に関する法制度は著しく進歩を遂げてきた。2005年に制定された知的財産法は、知的財産権の確立、保護、執行に関する包括的な枠組みを初めて確立した重要な法的基盤である。

その後、この法律は2009年、2019年、2022年、そして直近の2025年に改正と補足が行われてきた。これらの改正はいずれも経済や技術環境の急速な変化を反映させつつ、国際基準との整合性を図ることを目的としている。 


ベトナムは国民および企業に対して知的財産の保護と執行に関する知識の普及を強化する。  撮影:ベトナム通信社

2025年改正の知的財産法は、行政手続きの改革とデジタル化の促進に焦点を当てた重要な前進として評価されている。 

これにより、工業所有権出願の処理期間が大幅に短縮された。特に、改正法では特定のケースにおいては、特許および商標登録出願の内容をわずか3か月以内で迅速に審査する仕組みが追加された。多くの国ではこのような仕組みは広く採用されていない。 

2025年改正の知的財産法におけるもう一つの注目点は、製品の構成要素であるグラフィックインターフェース、デジタルアイコン、またデザインなど、非物理的な製品も含む新たな対象への保護範囲である。さらに注目すべきは、人工知能(AI)に関連する問題が初めて法律で明確に言及されたことである。 

広報活動と並行して、ベトナムは商業詐欺や知的財産権侵害行為に対する検査・監視・厳正な処理も強化している。  撮影:ベトナム通信社

制度の整備と並行して、ベトナムは知的財産権の執行にも力を入れている。中央から地方までのおらゆるレベルの関係機関が、特に電子商取引、偽造品、模倣品といったデリケートな分野において、監査、検査、違反措置を強化している。 

注目すべき点として、ベトナムがハノイとホーチミン市に知的財産専門裁判所を設立したことであり、紛争解決の専門性と効率性の向上に寄与している。 

民事的な制裁措置の追加に基づき、2025年改正の知的財産法では、裁判所が強力な措置を適用できるようになった。具体的には、サイバー空間上の違反コンテンツの削除やアクセス遮断、関連するアカウントやアプリケーションの一時的な無効化などが可能となる。 

制度改革と知的財産権執行に関するこれまでの努力は、顕著な成果をもたらしている。2021年から2025年の間に、ベトナムでは42万3千件を超える工業所有権出願が受理され、前期比で26%以上増加した。処理件数は43万6千件を超え、約70%増加し、発行された保護証明書は25万5千件を超え、55%以上の増加となった。2025年だけでも、25万件以上の工業所有権出願が処理され、8万3千件以上の証明書が発行された。 

商業詐欺や著作権・知的財産権を侵害した製品が公開展示され、国民や企業が迅速に把握できるようにしている。  撮影:ベトナム通信社

実際には、知的財産権の侵害行為は依然として複雑な様相を呈しており、その手口もますます巧妙化している。しかし、これはベトナムに限らず、地域全体や世界に共通する課題である。重要なのは、ベトナムが常に知的財産権の侵害との闘いと厳正な処罰に常に断固として取り組んできたこと、知的財産政策の枠組みが絶えず着実に整備されていること、そして執行および処理能力も向上されていることを認識することが極めて重要である。これらは、関係者の正当な権利と利益を保護するとともに、国家競争力の向上、そしてグローバルスタンダードに沿った透明で持続可能な成長モデルへの移行のための基盤を築いている。

文:タイン・ホア
撮影:ベトナム通信社



Top