ラグライ族の新米を祝う祭り

ラグライ族の新米を祝う祭り

ラグライ族は南中部地域(主にカインホア省とニントゥアン省の山岳地帯)に古くから居住している少数民族コミュニティです。彼らは、叙事詩、民話、民謡、慣習法、そして文化的アイデンティティが染み付いた多くの独特な祭りなど、豊かな民俗知識を持つ民族です。その中で、新米を祝う祭りは最も重要な祭りの一つであり、ラグライ族が自然、神々、祖先に感謝する心を表しています。特に、この祭りは2023年に国家無形文化遺産として認定されました。


新米を祝う祭りはニントゥアン省のラグライ族の大きな祭りの中で、最も重要かつ古い祭りの一つ。



 

新米を祝う祭りは通常、収穫期の終わり(毎年新暦の3月か4月頃)に行われます。ラグライ族の考えによれば、米やトウモロコシを収穫した後、すぐに食べることはできず、まず祭りを開いて天と地、神と先祖に豊かな収獲を与えてくれたことに感謝しなければなりません。この祭りはまた、人々が集い、喜びを分かち合い、一年の苦労の末に得られた成果を楽しむ機会でもあります。

祭りが行われる前の日、ラグライ族の人々は「ネウの木」を立て、とても手の込んだ供物を準備します。ネウの木は神々が住む場所だと信じられているので、美しく装飾されています。供物には、最高品質の米で炊かれた新しいご飯、豚肉、鶏肉、壺酒、鶏卵などがあります。特に、多くの民族が雄鶏を捧げるのに対し、ラグライ族は雌鶏を選びます。また、お供えの盆には祖先とのつながりを象徴する聖なる火が欠かせません。


 

新米を祝う祭りは毎年、収穫期が終わったばかりの新暦3月または4月頃に行われる。



祭りは通常2〜3日間続き、多くの重要な儀式が行われます。最初に、神々と祖先の魂を招いて子孫と共に楽しむ儀式が行われます。続いて、感謝の儀式や健康、幸運、繁栄を祈願する儀式が行われます。供物の儀式は「ネウの木」の下で祈祷師が執り行います。祈祷師は村人に代わって祈りの言葉を唱え、神聖な祈願の儀式を行います。ラグライ族は母系制のため、女性は家庭やコミュニティにおいて重要な役割を果たしています。新米を祝う祭りでは、彼女たちが最初に崇拝され、また収穫物を最初に享受する人々です。このことは、ラグライ族文化における女性の特別な役割と地位を表しています。



祭りの儀式が終わった後、皆で一緒に食べたり飲んだり、歌い踊って遊んだりする。


厳かな儀式の後、歌や踊りなど賑やかな雰囲気の中で祭りが行なわれます。皆で一緒に壺酒を飲み、サラケルという笛、大太鼓、打楽器マーラーの音楽に合わせて歌ったり踊ったりします。賑やかな笑い声と芳醇な酒の香りが祭りの雰囲気をさらに盛り上げます。



新米を祝う祭りは、ラグライ族の人々にとって神々や祖先に感謝の気持ちを表すと同時に、地域社会の絆を深める機会です。歌声が響き、壺酒の温かな香りと活気ある伝統舞踊が織りなす賑やかな雰囲気の中で、この祭りは自然と寄り添い、ルーツへの思い巡らす象徴とります。国の無形文化遺産として認定されたこの祭りは、ラグライ族のアイデンティティを守り伝えるとともに、ベトナム文化の豊かさを彩る役割を果たしています。


  • 文、撮影:ヴィエット・クオン/ベトナムフォトジャーナル

 



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