ベトナム漆をこよなく愛する安藤彩英子画家

ベトナム漆をこよなく愛する安藤彩英子画家

1995年にベトナムに来た日本人の安藤彩英子画家は、30年近くを漆芸とベトナムの伝統的な絵画工芸の職業に捧げてきました。彼女は現在、ハノイ美術協会の会員であり、自然塗料を研究し、ベトナムの漆技術と組み合わせて使用​​する現代アーティストとして知られています。

日越外交関係樹立50周年記念にあたり、日本文化交流センター(ハノイ)で開催された展覧会「月」で安藤彩英子画家が作品を発表し、ベトナムフォトジャーナルの記者が安藤彩英子画家とベトナムの漆工芸の研究と制作のプロセスについて対談しました。


記者:ベトナムに住み続けて働くことを決めた理由は何ですか?

安藤彩英子画家:1995年にベトナムに来て、ベトナムの漆が大好きだったこともあり、ベトナムに長く滞在しましたが、ベトナムは私にとって理想的な環境でもありました。ハノイに来た当初は漆の技術を勉強していたのですが、自分のライフスタイルに合ったハノイが大好きになりました。しかしその後、ハノイが変わり始め、生活のペースが速くなり、ホーチミン市に行きました。2年後、ホイアンに移住し、今に至ります。この場所はとても静かで、ゆっくりとした生活のペースが私の漆絵の研究と創作に適しているためです。

記者:なぜベトナムの漆工芸に情熱を注ぐのですか?

 

安藤彩英子画家:ベトナムの漆は他の国にはない独特で魅力的な特徴を持っています。例えば日本では、漆の技法によって光沢があり滑らかな製品が生み出され、埃がつかないことを学びました。しかし、昆虫がたくさんいる小さな家でグエン・チー・チュン先生から漆の技術を学ぶためにベトナムに来たとき、制作中に時々虫が絵にとまり、どうしたらよいかわかりませんでした。グエン・チー・チュン先生は笑って、それは自然なパターンだと言いました。不思議に思うのですが、絵についた虫のシミには、筆を持つ本人には思いつかないような芸術的なアイデアが込められていることがあります。それ以来、私は気持ちよく絵を描いていて、たくさんの「昆虫アーティスト」が私と一緒に働いているように感じました。

ベトナム漆を学び、30年近く創作活動を続けた結果、多くの新しい技術を発見しました。たとえば、ベトナムの芸術家は絵画に漆を塗るだけでなく、陶器、木、竹、籐などにも漆を塗ります。伝統的な手法だけでなく、現代芸術に合わせた新しい手法も取り入れています。私のスタジオは絵を描くだけでなく、自分の技法を自由に創造できる実験室のようなものです。

 

ホイアンのスタジオで働く安藤彩英子画家。

ソース:安藤彩英子画家

職人のラム・フー・チンさんから漆の技術を学ぶ安藤彩英子画家。

ソース:安藤彩英子画家

記者:あなたの作品はいつもどこからインスピレーションを得ていますか?

安藤彩英子画家:テーマやインスピレーションは常に自然や偶然から生まれ、枠組みはありません。たとえば、2021年の新型コロナウイルスによる社会的距離の期間中に、6か月以内に制作した展覧会「月」の作品を見ることができます。日本に帰れなかった間、私はホイアンに住んで毎日空の月を見ていました。ホイアンには高い建物がないので、見上げると綺麗な月が見えるので「月」展のために制作し、日越外交関係樹立50周年を記念して、芸術を愛する一般の人々に紹介されました。

記者:作曲中に難しく感じて、諦めて日本に帰りたいと思ったことはありますか?

 

安藤彩英子画家:当初、私は数年間勉強して日本に帰国するつもりでベトナムに来ました。しかし、年々、学ぶ必要のある新しい技術があることがわかります。そんな感じで、自分でも気づかないうちにベトナム人になってしまったような気がして、日本に帰ると日本を旅行している外国人のような気分になることもあります。

記者:30年近くベトナム漆絵に情熱を注いでいますが、このタイプのベトナム芸術を国際美術界の芸術家に宣伝する展覧会を開催したことがありますか?

安藤彩英子画家:アジアやヨーロッパの多くの国からの漆愛好家の共同体があり、定期的にセミナーや展示会も開催しています。2022年には、同じく日本文化交流センターのスペースで、他の芸術家がベトナムの漆技術を見て体験できる展覧会を開催する予定です。

記者:安藤彩英子さん、興味深い対談をありがとうございました。




文:ガン・ハー

撮影:カイン・ロンと資料

訳者:ソン・タム・クエン




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