ディン・コン村の銀細工

ディン・コン村の銀細工

ハノイのディン・コン村を訪れた人は誰でも、首都ハノイの人々の生活に関連し、長い歴史を持つ平穏な集会所の前を通ります。集会所には金細工の祖先を祀る寺院とディン・コン銀工房があり、非常に才能のある控えめで口数の少ない若い職人たちがいます。彼らは、ベトナム人だけでなく海外の人々にも愛されている洗練された銀製品を黙々と作り続けています。

ディン・コン村の宝石業の祖先を祀る寺院内にある銀工房で製品のデザインをしているオーナーのクアック・トゥアン・アイン職人。写真:タイン・ザン

 

昔、ハノイには「イェン・タイ村のリン・ホア生地、バッ・チャン村の陶器、ディン・コン村の金細工、グー・サ村の銅細工」と言われているように、四つの有名な真髄を極めた職業がありました。ディン・コン村の金細工師は輝かしい発展を遂げてきましたが、この職業にも浮き沈みがあり、衰退していきます。現在、ディン・コン村の銀細工はディン・コー村のクアック家によって守られています。職人のクアック・ヴァン・チュオンさん、クアック・トゥアン・アインさん、クアック・ヴァン・ヒュウさんの家族はディン・コン銀工芸村への愛の証です。彼らはこの仕事を守り伝え、徐々に銀細工の職業を市場にもたらし、同時に銀細工師が自信を持って自分の工芸品で生きていけるように訓練し、芸術的美しさ、文化的意義に溢れた銀製品を社会に提供し、顧客を美しく飾っています。

クアック・トゥアン・アイン職人の家族の銀工房は、宝石業の先祖を祀る寺院の中にあります。現在、工房には六名の若手職人が働いています。ここの銀細工師は誰もが控えめで無駄口をたたかず、テーブルの隅に座り続け、製品を作り、完成させます。トゥアン・アインさんは次のように述べています。彼は父親であるクアック・ヴァン・チュオン職人から銀細工の職業を引き継ぎました。彼は幼い頃からこの職業に触れ、父親が銀を鋳造し、形をデザインし、銀を線にして銀製品を作るのを見ていました。銀線を編み込んで製品化する銀細工は、職人の忍耐と熟練を必要とします。銀製品を完成させるために、職人は製品のデザイン(手描き)、銀の鋳造(銀の棒を火の鍋に入れる)、銀の圧延、銀線を巻いて組み合わせ、バーナーでろう付け加工、製品のモデルに合わせて成形、研磨して明るくするという多くの工程を経なければなりません。


熟練した職人になるのは簡単なことではなく、少なくとも学びと実践には二年間の努力が必要です。2003年、トゥアン・アインさんは父親の工房を引き継ぎました。仕事をマスターし、家族の伝統的な銀細工の風格を作り出す道は簡単ではありません。また、彼はデザイナー、製品販売そして職人の指導もしなければなりません。

先祖代々の寺院の中で働く銀細工師。写真:コン・ダット

その上、彼は銀製品を消費者に届けるために市場の動向を見極める仕事もしなければなりません。彼は次のように述べています。「銀細工師は忍耐力、勤勉さ、細心の注意、創造性を備えていますが、製品の販売方法や紹介方法については非常に不器用です。大量生産が可能な工業用銀製品とは異なり、村の銀製品は手作業で作られることが多いため、模様は非常に精巧です。リング、ネックレス、イヤリングなどの人気商品は一貫して行い、一つの模様を完成するまでに三日かかります。銀絵画に関しては完成までに数か月かかります。銀細工師はそれを手早く、また気軽に行うことはできません。彼らは製品が成功するまで細心の注意を払って作業しているので、その製品が完成するまでは新しい製品に取りかかることはありません」。


 

銀細工師のレー・ヴァン・ソンさん(1996年生まれ)は「私は3年間この仕事を勉強してきました。花や葉のような簡単な模様から始めました。私のような職人がもっと増えて、一緒に勉強し、試作品を共有し、一緒に成長し、村の仕事を守り伝える銀細工師のコミュニティができたらいいのにと思います」と述べています。またディン・コン銀工房の若い職人たち、チエンさん、ダットさん、ソンさん、ナムさんも職業を広く発展させる方法について同じ考えを持っていて、彼らの作った製品は美しく耐久性があり、市場で好評を博しています。

指輪、ネックレス、イヤリング、ブレスレット、ブローチ、ヘアブローチなどの人気の銀製品に加えて、トゥアン・アインさんは文化的イメージを関連付けた銀の絵画である贈答品シリーズをさらに開発しました。クエ・ヴァン・カック遺跡、ルア塔、旧市街などのハノイのシンボルを絵画に使用し、魂の平和と静けさを意味する銀の蓮の花のように、平和で暖かいことを願っています。

ディン・コン銀工房には、顧客の好みに沿った模様と、職人がデザインした銀製品の模様が多数あります。すべてが伝統的な銀製品の洗練さ、独創性、スタイルを反映しています。ディン・コン村の銀細工師のは多くの工房を開いて発展させることに情熱を注いでいます。さらに、彼らはベトナムの母国の文化的美しさを各銀製品に込めて広めたいと考えています

 

 



文:ビック・ヴァン、写真:コン・ダット、タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル

翻訳者:ホアン・ミン・フオン



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