タイソン・トゥオン・ダオ 武術の地

タイソン・トゥオン・ダオ 武術の地

白龍武術派の有名な技「鉄霊錘」を弟子たちに教えるタイ・ミン・クアン師範。
撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル

タイソントゥオンダオはタイソン三兄弟が最初に集結し、兵力を集め、反乱の旗を掲げる場所として選んだ土地です。したがって、この場所は「武夷赤旗」軍の多くの痕跡を保存しているだけでなく、多くの有名な伝統武術宗派、特にタイソン王朝の武術宗派の発祥の地でもあります。

17世紀半ば、チン王朝ーグエン王朝の紛争があった時代、西山(タイソン)はアンケー峠(ザライ省とビンディン省の境界にある長くて危険な峠)の西部と東部を含むクイニョン地区に属していました。土地の東部にはタイソンハ・ダオ(西山下道)と呼ばれるなだらかな地形があり、現在はタイソン県(ビンディン省)に属しています。西部にはタイソン・トゥオン・ダオ(西山上道)と呼ばれる起伏の多い地形となだらかな山々があり、現在はアンケー市とコンチロ県、ダックポー県、クバン県(ザライ省)に属しています。

白龍はタイソン川上流域のタイソン武術の宗派から
多くの真髄を受け継いでいる伝統武術の一つ。

撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル 

当時、タイソンハ・ダオ(西山下道)から西山上道までは、高い峠と非常に危険な深い峡谷のあるアンケー峠を通る道が1本しかありませんでした。そのため、グエン・ニャック、グエン・フエ、グエン・ルーのタイソン三兄弟は、事をなす最初の拠点としてタイソントゥオンダオの地を選び、兵士を募集して訓練し、軍隊を創設、蜂起を起こしました。 その後、己酉年(1789年)の春にゴックホイ - ドンダ戦で20万人以上の清の侵略者を破り、有名な勝利を収めました。 

現在、ザライ県アンケー市にあるタイソントゥオンダオ国定公園にはアン・ケー・ディン、アン・ケー・チュオン、アン・ケー・ルイ、ゴー・チョなどのタイソン朝の痕跡が数多く残っています。

タイソントゥオンダオ遺跡にある「西山(タイソン)三傑」寺院で、グエン・ニャック、グエン・フエ、グエン・ルーの3人の英雄を追悼し、うやうやしく焼香する白龍派の世代を超えた武術の師範や弟子たち。

撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル 

タイソン・トゥオン・ダオとは、ザライ省の有名な武道の地を指します。と言うのは、ここは兵士を募集して訓練するためにタイソン王朝がこの地を選んだという経緯で形成されたタイソン時代に遡る伝統的な武術の宗派が生み出された場所だからです。1975年以降、アンケーの伝統武術運動は、この地域の武術の達人やビン・ディン省の有名な武術の達人によって設立された多くの武術道場のおかげで、非常に強力に発展しました。

タイソン・トゥオン・ダオの白龍武術派の武術家。

撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル

アンケーの地には様々な伝統武術の宗派が存在しますが、これらの宗派は基本的にすべて、タイ・ソン時代から形成されたベトナムの有名な武術宗派であるタイソン-ビンディン武術に由来しているか、或いはそこから大きな影響を受けています。したがって、これらの宗派には、独自の動きや機能に加えて、タイソン-ビンディン武術に由来する共通の型や技もあります。

「双龍府」という打撃の型を持つアンケー-タイソントゥオンダオ伝統武術協会会長の
タイ・ヴァン・ニャン師範 。

撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル 

前世紀の90年代、アンケーの伝統武術運動は、全国の武術界に一定の評判と影響力を持つ世代を超えた優秀で名声ある武術の達人たちによって最も力強く発展しました。典型的な例は、ザライ省伝統武術協会の元副会長である武道の達人ドアン・トー・ソン氏(1953年~2007年)です。1998年には全国伝統武道選手権大会の拳術で金メダルを獲得しました。2001年には、ドイツ連邦共和国で開催された世界文化・スポーツフェスティバルにベトナム伝統武術連盟から派遣されました。

ベトナム伝統武術の10の有名な武術の型の一つ「独爐槍」。

撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル

特に、ドアン・トー・ソン師範は、武術「独爐槍」を保存し、指導することに成功した人物です。 伝説によると、この「独爐槍」は、西山上道で兵士を訓練するために、タイソン三兄弟によって編纂されたものであるとされています。

「鉄霊錘」によりベトナムの国家と地方の大会で
多くの受賞を得た有名な白龍派のタイ・ミン・クアン師範。

撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル

「独爐槍」という型は3つのパート、166の動きからなり、守備時には堅実さと慎重さを、攻撃時には素早さと意外性があり、攻撃と防御の間で調和してお互いを補い合います。この武道は、ベトナム伝統武術連盟の規定に基づく10の標準武術演習の内の他の9つの武術演習とともに、現在、国内外の伝統武道の公式指導および実践カリキュラムに組み込まれています。

西山(タイソン)三傑の軍歴に関連する有名な遺跡、
アンケ武道場で武道の練習をする白龍派の学生たち。
撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル

武道の伝統を持つタイソン・トゥオン・ダオと今日のアンケーの古代武術の地は、全国の武術業界で素晴らしい競技成績を収め、多くのメダルを獲得する多くの有名な武道家や武道家を育成しました。

今日、アンケーの武術の達人や武道家は、先人たちを引き継いでタイソントゥオン・ダオ武術の地に栄光をもたらすだけでなく、先祖が残した貴重な武術の知識の保存と普及にも貢献しています。 

  • 文、撮影:タイン・ホア/ベトナムフォトジャーナル
    訳者:ソン・タム・クエン


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