ダナンの黄色い花の季節とアカアシドゥクラングール
毎年、3月から4月にかけて、ダナンのソンチャ半島の森はリムゼットの花で鮮やかな黄色に染まります。この時期は森の木々の成長が著しく、多くの新芽が出るため、葉を食べる動物たちが餌を求めて集まります。特に、「霊長類の女王」と称される美しい動物、アカアシドゥクラングールが目を引きます。
アカアシドゥクラングール(Pygathrix nemaeus)は葉食性のサルのグループですが、季節によっては果物や種子を食べることもあります。
アカアシドゥクラングールは通常、森の木々の上でのみ生活し移動しますが、時々地面に降りて水を飲んだり、ミネラルを補うために土を食べることもあります。
アカアシドゥクラングールはインドシナ地域にのみ生息する希少な固有の霊長類で、ベトナムとIUCNのレッドブックにおいて絶滅危惧種に指定されています。 ベトナム中部・西原地域の生物多様性保全に取り組んでいる生物多様性保全センター「GreenViet」によると、ダナンのソンチャでは現在、1,300頭以上の野生のアカアシドゥクラングールが生息しており、これはこの種において最大かつ最も持続可能な個体群です。
地域によって、アカアシドゥクラングールにはさまざな名前があります。例えば、「七色猿」、「兵士猿」、「教皇猿」、「頭を隠して尻尾を出す猿」、「垂直猿」「花猿」などです。色鮮やかで高貴な毛並みをしていることから「教皇猿」と呼ぶ地域もあれば、毛の色が7色もあることから「七色猿」と呼ぶ地域もあります。また、あまり一般的ではありませんが、頭に兵士のベレー帽のような黒い毛の帯があることから「兵士猿」と呼ぶ地域もあります。 さらに面白いことに、「頭を隠して尻尾を出す猿」とも呼ぶ地域もあります。これは、群れが人を見かけると顔を葉で隠すものの、長い尻尾はぶらぶらと垂らしているので、すぐに見つかってしまうからです。
私たちの観察によると、ソンチャのアカアシドゥクラングールの群れのほとんどには幼い個体がいます。大きな群れでは、複数の幼い個体が見られることもあります。これは、ラングールがこの地域の環境に適応し、順調に成長していることを示しています。
最近の遺伝子解析研究により、アカアシドゥクラングールの進化の歴史が100万年以上前に遡ることが判明しました。また、この種はクロアシドゥクラングールよりもハイアシドゥクラングールに近いことが分かりました。
アカアシドゥクラングールは、1771年に科学者リンネによって「Simia nemaeus」という名前で初めて記載されました。 ソンチャ半島では、この種の個体群が1969年にヴァン・ピーネンとその共同研究者によって発見されました。
アカアシドゥクラングールは昼行性の動物で、主に樹上で生活します。群れは通常、高くて大きく、葉が茂った木を寝床として選びます。特に、洞窟や岩場では決して眠らず、風を避けられる場所の木を好み、何度も同じ木に戻って寝ます。
ソンチャでは、アカアシドゥクラングールの個体群を適切に保護することにより、この特別な保護区の生態系が豊かになるだけでなく、海洋観光が強みであるこの地域において、野生の自然を探索するエコツーリズムの魅力も生み出しています。
文、撮影:タイン・ホア