「モック フオン」持続可能な美を育むベトナムハーブの精華
数ある化粧品の選択肢の中で、モックフオンはハーブ由来の純ベトナム産美容製品として新しい風を吹き込んでいます。 単なるローカルのグリーンコスメブランドではなく、モックフオンは伝統的な価値への敬意、ベトナムの豊かな天然資源への誇り、そしてベトナムの人々のために健康的で持続可能な美しさを育むという願いを込めた物語なのです。
在来のハーブや草木への旅路
モックフオン誕生の転機は、創業者ホアン・ティ・タイン・フエン氏の困難な体験から始まりました。彼女はこう語りました。「出産時、祖父母の貴重な助言を無視し、産後の養生をせず、民間療法も信じていませんでした。その結果、心身ともに徐々に衰弱してしまいました。現代医学でも改善されず、絶望しかけていた時、幸運にも博識な東洋医学の師と出会ったのです。先生の言葉が私を目覚めさせました。『ベトナムの薬草は、まさにベトナム人のために生まれたもの。なぜなら、我々の体質や気候は西洋とは違うからです』」
その瞬間から、タイン・フエンさんは自然の力に立ち返ることを決意しました。 グレープフルーツの皮での洗髪、生姜やウコンを使った入浴、そして子ども向けのスイカズラの葉など、伝統的な療法が驚くべき変化をもたらしました。彼女の健康は徐々に回復し、子どもたちもより元気になり、育児も楽になったのです。
その深い個人的な体験は、タイン・フエンさんにとって、祖先から受け継がれてきた生薬の知識の価値に対する揺るぎない信念をさらに強めることとなりました。 「私は気づいたのです。ベトナムの薬草は単に優れているだけでなく、母なる大地からの至宝でもあるのだと。しかし、この“宝”が本来の力を最大限に発揮するには、体系的に、正しい方法で、そして適した土地で栽培・活用される必要があるのです」と、タイン・フエンさんは力強く語りました。
その信念のもと、タイン・フエンさんは各地の田舎をくまなく巡り、奥深い森にまで分け入って、貴重な薬草を探し求めました。 その旅の途中で、古代の森から採取されたツバキの実から抽出されたオイルが腎臓結石の溶解に効果があるとか、湿気の多い地域に住む人々がヨモギの葉を使った薬草風呂で骨や関節の病気を予防しているなど、薬草の神秘的な力にまつわる数々の話を耳にしました。
数々の豊かな体験を通じて、タイン・フエンさんは、ベトナムに受け継がれてきた伝統的価値や「宝」が徐々に失われつつあることに気づきました。 その愁いこそが、モックフオン誕生の原動力となったのです。このローカル発のグリーンコスメブランドは、単にハーブ由来の美容製品を作っているだけでなく、先人たちが残した真髄を守り、広めていくという使命を担っています。
モックフオンの製品に詰まったベトナムの精華
ベトナムの草木や薬草への深い愛情、そして安全でやさしい美容製品への思いから、モックフオンの創業チームは長年にわたり研究を重ねてきました。 彼らは、ムクロジ、バジル、レモングラス、グレープフルーツの皮、ウコン、緑茶などのベトナム伝統のハーブの驚くべき効果を探求してきました。これらの素材は、ベトナムの暮らしや文化に深く根ざしているだけでなく、肌や髪にとっても貴重な栄養源となるのです。
「ローカルグリーンコスメ」を理念に掲げるモックフオンは、自然からの原材料の持続可能な収穫と、細心の注意を払った製造工程を組み合わせ、天地の真髄守ることに全力を注いでいます。 原材料の厳選から、抽出・調合・パッケージングに至るまで、すべての工程は厳格に管理され、最高水準の安全性と品質基準を徹底して遵守しています。
モックフオンのヘアケア製品ラインは、伝統的なムクロジのシャンプー、爽やかなバジルのコンディショナー、そして心地よい香りのグレープフルーツピールヘアローションで広く知られています。 これらの製品は、髪と頭皮を自然に洗浄し、健やかで艶やかな髪を育み、切れ毛や抜け毛を減らすのに役立ちます。
さらに、モックフオンのスキンケア製品も、その優しさと効果の高さで多くのユーザーの心を掴んでいます。 緑茶洗顔料、ローズウォーター、ウコンのフェイスマスク、そして貴重なハーブから作られたスキンクリームなどは、肌をやさしく洗浄し、水分バランスを整え、明るく健やかな肌にし、さまざまな肌トラブルを自然なかたちでケアします。
モックフオンは、ヘアケアやスキンケア製品にとどまらず、ハーブ入りボディソープ、天然石けん、ピュアエッセンシャルオイルなど、多彩な製品ラインを展開しています。 「グリーン」と「ローカル」という哲学がすべてに浸透し、包括的かつ安全なボディケアを目指しています。
モックフオンの最大の特徴は、各原材料の徹底した「ローカライズ」です。 他の多くのグリーンコスメブランドが輸入原材料に頼る中、モックフオンはベトナム人の暮らしに身近な薬草を自信を持って活用しています。これにより、製造コストの最適化だけでなく、ベトナムらしさを強く印象づけるブランドストーリーという、他にはない競争優位性が生み出されるのです。
この「ローカライリゼーション」は、古き良き価値を大切にする中高年層の心を掴むだけでなく、意味のあるストーリー、明確な原産地、そして強い個性を持つ製品を重視するZ世代の若者たちの共感も呼んでいます。 モックフオンは、伝統的な価値観と現代のライフスタイルを見事に調和させることに成功したのです。
モックフオンは単なる化粧品ブランドではなく、本来の価値を探し求める旅であり、人と自然の深いつながり、そしてベトナムの美しさへの誇りなのです。
文:タオ・ヴィー/ベトナムフォトジャーナル
撮影:コック・フォン