国際統合への旅路でベトナム映画に「火を灯す」人物
カメラの前に姿を現すことは少ないものの、ゴー・フオン・ラン博士は舞台裏で粘り強く立ち、ベトナム映画の国際統合への道を静かに「火を灯す」人物です。最近、彼女はフランス共和国文化省から芸術文化勲章オフィシエ(士官)を授与されました。この名誉ある勲章は、文化・芸術分野における特別な貢献や国際文化協力の促進に寄与した個人を称えるものです。
芸術一家に生まれたゴー・フオン・ラン氏は、父親がベトナムアニメーションの礎を築いた人民芸術家ゴー・マイン・ラン氏、母親が映画女優で人民芸術家ファン・ゴック・ラン氏という家庭環境の中で育ちました。そのため、映画は彼女にとって幼い頃からの情熱であり、人生の理想となりました。
20代でゴー・フオン・ラン氏はハノイを離れ、ソビエト連邦のモスクワにあるVGIK国立映画大学に留学しました。そこで世界映画の古典的作品に触れる機会を得て、フランソワ・トリュフォーやアラン・レネといった独自の視点を持つ映画監督たちの影響を受けながら、批評的思考を徐々に育んでいきました。
フランス共和国文化大臣ラシダ・ダティ氏とベトナム文化・スポーツ・観光省常任副大臣
レ・ハイ・ビン氏がゴー・フオン・ラン氏に花束を贈り、祝意を表した。
撮影:チャン・タイン・ザン
ベトナムに帰国後、文化・スポーツ・観光省映画局に勤務し、国内映画産業の発展に全力を注ぎました。その後、映画局長として、民間部門の積極的な参入によって業界が大きく変化する中、ベトナム映画界に新たな風を吹き込みました。
映画局での勤務期間中、ゴー・フオン・ラン氏が国際映画祭での審査員としての活動、研究プロジェクト、教育活動、そして多くの専門機関で積極的に活動してきたことは、情熱と献身に満ちた持続的な貢献の軌跡の明確な証であり、芸術的な質だけでなく、ダイナミックな経済的発展という側面においても、ベトナム映画の地位を確立する一助となっています。
最も際立った功績の一つは、在ベトナムフランス大使館、サン・マロ市当局、そして、クロード・ルルーシュ氏、レジ・ヴァルニエ氏などの著名な映画監督を含むフランスの文化・映画活動家たちとの協力により、フランスのサン・マロで開催されたベトナム映画祭を成功裏に開催したことです。この映画祭では、厳選されたベトナム映画およびベトナムを題材としたフランス映画を紹介し、表彰しました。
彼女は退職後、行政機関と専門家の橋渡し役としてベトナム映画振興発展協会を設立し、新たな誘致政策を展開して各省や都市が撮影地となるよう積極的に促進しています。
2023年、彼女はベトナム初の定期映画祭であるダナン・アジア映画祭(DANAFF)を創設しました。第2回では、フランスとベトナムの映画界の関係を称えるセミナーや特別上映会を開催しました。
ゴー・フオン・ラン氏主宰で開催されたベトナム映画振興発展協会の会合。
撮影:チャン・タイン・ザン
ベトナムとフランスの映画界の架け橋としての尽力、そしてベトナム映画界における若手人材の育成と発展への貢献が評価され、最近、フランス共和国より芸術文化勲章オフィシエ(士官)が授与されました。
フランス共和国文化大臣のラシダ・ダティ氏は「この高貴な勲章は、あらゆる限界と障壁を乗り越え、映画に情熱を注いできた一人の女性の並外れた歩みを称えるものです。ゴー・フオン・ラン氏の影響はベトナムの国境を越えて広がり、ベトナムとフランスの強固な関係を象徴する生きた存在となっています」と述べました。
フランス共和国文化大臣より芸術文化勲章オフィシエ(士官)を授与されたゴー・フオン・ラン氏は「過去20年近くにわたり、ベトナム映画は市場の成長と作品の質の向上を中心に発展を続けてきました。今後、ベトナムの若く才能ある映画制作者の育成と発展のために、フランス文化省、外務省、フランス学院から、より継続的かつ効果的な支援が得られることを心より願っています」と述べました。
文:ガン・ハー
撮影:チャン・タイン・ザンと資料