リノ・スペンスさん ジュエリーで語るベトナムの物語
リノ・スペンスさんは南アフリカからハノイまで世界の半分を旅し、各製品モデルでベトナム文化の物語を伝えることに情熱をかけるデザインスタジオ兼ハンドメイドジュエリーブランド「Aurient Gold」 を開きました。
リノ・スペンスさんは南アフリカのケープ・ペニンシュラ工科大学でジュエリーのデザインと製作を学びました。彼は外向的で学ぶことに熱心で、大学卒業後、各国のジュエリー デザイン分野の文化を体験するために1年間の旅に出ました。まずは中国、次にベトナムに行きました。
ベトナムでの途中降機によって、この国ではクラフトジュエリー業界に携わる人がほとんどいないことを知りました。これは、ベトナムを起業する場として検討した機会でもあったのです。2017年にハノイに住んで働くことを決め、暫く英語を教えた後、2018年に小さなワークショップを借りてジュエリーのデザインと製作を始めました。その後、2020年から2021年までの2年間、新型コロナウイルス感染症の影響により、独立してオンラインでのみジュエリーを販売していました。
偶然に、また縁があって建築家のファム・ヒエップさんと出会い、親しいベトナム人の友人が出来ました。ファム・ヒエップさんと彼は製品をハノイで紹介するショールーム「Aurient Gold」を併設した、より大きくより美しいジュエリーデザイン・ワークショップを開設しました。
リノ・スペンスさんが製作するジュエリーの特徴は、ベトナムで集められた非常に原始的な道具と材料を使って完全に手作りされていることです。手作りだからこそなのか、見ているだけで精巧さ、ディテール、個性が伝わってきます。指輪、ブレスレット、イヤリング、ネックレス、パールネックレスにはすべて、彼によってベトナムの文化生活の物語とイメージが与えられています。それはイヤリングやリングに描いた蓮の花の咲く季節、ネックレスに描かれたハノイのパゴダや寺院のイメージ、そしてベトナムの美しさを持つ伝統的なモチーフなど、恐らくハノイからのインスピレーションなのでしょう。
リノ・スペンスさんはジュエリーのデザインと製作だけでなく、ジュエリーから多くの芸術作品を制作しました。指輪、シルバーリング、イヤリング、ネックレスなどの彼の製品はベトナムの人々の日常生活の中での伝統的な美しさを表現しています。それ以来、彼は海外の友人に勧めたジュエリーを通してベトナムの文化を広めてきました。例えば、ファム・ミン医師(ヒエップ建築家の祖父)が持っていた昔の切手コレクションを用いました。ミン医者が収集した2千近くのセットで、ベトナムの歴史を遡った各時代のイメージをテーマにした切手です。リノ・スペンスさんはネックレスや宝石をちりばめたネックレスに取り付ける最も特色のあるモデルを選びました。彼のこのジュエリーセットはベトナムの人々が歴史的瞬間を祝う特別な意味を持っています。
ジュエリーのデザインと製作に加え、ベトナムの手作りジュエリーのプロジェクトも実施しました。このプロジェクトは環境、母なる自然、海というメッセージの三つの部分で構成されています。リノ・スペンスさんは正にこれらのメッセージのモデルと言える写真家でもあります。「Irradiate」と呼ばれるプロジェクトはジュエリーデザイン業界で文化的に大きな意義を持つ作品として、南アフリカで名誉ある賞を受賞しました。
リノ・スペンスさんのジュエリーはその創造的なデザインが強い個性、自信、スタイルを表現しているため、外国人のコミュニティ、そしてベトナムの人々からも愛されています。