ユネスコ世界遺産「イェントゥー=ヴィンギエム=コンソン・キエップバック」の世界的な価値を発揮する
ユネスコにより世界文化遺産として登録されたイェントゥー=ヴィンギエム=コンソン・キエップバック遺跡・景観群は、ベトナムを代表する文化的、精神的空間です。チャン・ニャン・トン仏教皇帝(1258~1308)の宗教生活やチュックラム(竹林)禅宗に深く結びついたこの遺産は、歴史的、宗教的、そして景観的価値を兼ね備え、平和と持続可能な発展のための原動力として活用が推進されています。
イェントゥーのルーツから生まれた「生きた遺産」
11世紀から14世紀にかけて形成されたチュックラム禅宗は、チャン王朝の歴代皇帝と当時の知識人によって国家を結びつけるイデオロギーとして創始されました。イェントゥー山脈を源とするこの禅宗は、仏教の精髄と土着信仰を融合させ、調和、寛容、社会的責任を重んじる人生哲学を形成しました。
ユネスコベトナム事務所代表ジョナサン・ベーカー氏は、この遺産の世界的意義を強調し、「この遺跡群は、ベトナム独自の禅宗伝統であるチュックラム禅宗の誕生と永続する遺産の継承を示す特別な証です。これは過去の遺跡にとどまらず、「生きた遺産」として精神生活と文化継承の中心的存在となっています」と述べました。
実際、イェントゥー、ヴィンギエム寺、コンソン・キエップバックなどでは、巡礼、祭り、宗教的実践が世代を超えて途切れることなく行われてきました。この継承こそが「生きた遺産」を形成し、過去が閉じ込められることなく、現在の生活の中に息づいています。
途切れることなき空間とグローバルな価値
この遺跡群は、クアンニン省、バクニン省、ハイフォン市の三地域にわたる12の地点から成る連続的な体系を構成しています。各遺跡は一つのピースとして、チュックラム禅宗の形成、発展、そして普及の過程を余すところなく映し出しています。
この遺産の卓越した世界的価値は、場所、宗教的信仰、そして政治的権力の有機的な相互作用にあります。イェントゥー山脈はその源泉であり、チャン王朝(1225年~1400年)は創造の主体、そしてチュックラム禅宗は社会生活を形づけた結びつきの糸です。この融合は国家の強化と独立を守るための共同体の結束、そして地域全体に平和と協調の価値の普及に貢献しました。
さらに、この遺跡群は人間と自然が調和した関係を示す代表的な証でもあります。森に包まれた寺院、山々を越える巡礼路、そして何世紀にもわたる資源の持続可能な利用が、自然が精神生活に不可欠な要素となる独自の文化的景観を創りだしてきました。
遺産の完全性と真正性は、厳格な保護体制によって確保されています。建造物は元の位置、機能、そして多くの要素を保持しており、宗教的行事や祭りも継続的に行われています。さらに、各地域間の広域的な管理調整も、国際的な基準に適合した効果的なモデルとなっています。
イェントゥー=ヴィンギエム=コンソン・キエップバック遺跡群の卓越した世界的価値を促進することは、単に遺跡を保存するだけでなく、チュックラム禅宗の精神、すなわち知恵、調和、そして責任の精神を広めることでもあります。世界が多くの課題に直面する現代において、これらの価値観は一層重要な意味を持ち、持続可能な発展の原動力としての文化の役割を確固たるものにすることに貢献しています。
国家の精神的空間から生まれたこの遺産は、今日ではベトナムと世界をつなぐ架け橋となり、時を超えた価値観が今もなお呼び覚まされ、広がり続けています。
文:ヴィエット・クオン/ベトナムフォトジャーナル
撮影:トン・ティエン/ベトナムフォトジャーナル、ミン・ドゥック/ベトナム通信社















