「ザウ寺」 キンバック地方の特別国家遺跡
バクニン省チークア区タインクオン村に位置するザウ寺はベトナム最古の仏教寺院の一つで、紀元2世紀に建立されました。ここはベトナム仏教発祥の地とされ、数々の貴重な文化財を所蔵する場所でもあり、特別国家遺跡としてふさわしい価値を有しています。
史料によると、ザウ寺はかつてルイラウと呼ばれていた土地に建立されました。ルイラウは当時、政治・経済・文化の主要な中心地の一つでした。この地こそが、インドから古代の交易路を通じて伝来した仏教と、ベトナム固有の民間信仰が融合し、「四法信仰」すなわち天候を司る四柱の女神、法雲(雲)、法雨(雨)、法雷(雷)、法電(稲妻)が誕生した場所でもあります。四法信仰を崇拝する寺院群の中で、ザウ寺は中心的な役割を果たしており、「祖寺」として、古くからベトナム人の精神生活において神聖な存在となっています。
約二千年の間に数多くの修復を経てもなお、ザウ寺は「内工外口」形式と呼ばれる伝統的な建築様式を保ち続けています。この様式に基づいて、三門、和豊塔、前堂、焼香、上殿、後堂、回廊、祖師堂などが巧みに配置され、調和のとれた寺院建築群を形成しています。すべての建築物が精緻に配置され、古雅で荘厳な礼拝空間を生み出しています。
この寺院の建築における特徴的なハイライトの一つが和豊塔です。焼きレンガで造られたこの象徴的な建造物は、現在3層が残っており、高さはおよそ17メートルに達します。各層は上に向かって次第に小さくなり、屋根は緩やかな曲線を描き、頂上には仏教における清らかさの象徴である甘露水の壺を模した装飾が施されています。塔の内部には四天王像のほか、仏具である鉦や銅鑼も安置されており、それらは黎中興時代の建築様式を色濃く反映し、寺院の歴史的な深みと卓越した芸術性を示しています。
ザウ寺はまた、際立った法像群でも知られています。中でも「四法」のうちの二柱である法雲と法雨の木像は、国宝に指定されています。これらの像は貴重な木材から彫られ、精緻な彫刻によってその神々しい姿が表現され、仏教的な荘厳さと民間信仰の色彩が見事に融合しています。
さらに、ザウ寺には国宝に指定されている「古代仏教経典の木版」も保存されています。貴重な紫檀の木に刻まれたこれらの木版には、数多くの価値ある仏典が収められ、ベトナムの仏教文化、言語、歴史の研究にとって極めて重要な資料とされています。
歴史・建築・芸術の面で際立つ価値を持つザウ寺は、特別国家遺跡に指定されています。それは、2千年近くにわたり民族文化の流れと密接に関係してきた古刹にふさわしい評価と言えるでしょう。
現在、ザウ寺は全国の仏教徒にとって神聖な巡礼地であるだけでなく、多くの観光客を惹きつける魅力的なスポットにもなっています。特に、歌手ホア・ミンジーの音楽ビデオに登場し、YouTubeで1億5千万回以上再生されたことで、その知名度と親しみやすさが一気に高まりました。この効果を活かして、バクニン省の観光部門はMVに登場した名所を巡る無料体験ツアーを展開しており、その中でもザウ寺は特に際立った立ち寄りスポットとなっています。この取り組みは、千年の歴史を持つ文化遺産が一般の人々、特に若い世代により身近な存在となるとともに、キンバック地方の宗教建築物としての地位を確立することに貢献しています。
文、撮影:ヴィエット・クオン/ベトナムフォトジャーナル