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Arts

日越EPA-戦略的パートナーシップの新たな原動力

ベトナムと日本は12月25日、東京において日越経済連携協定(EPA)の署名を行った。これは、日本がシンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ等と調印した10番目の協定であり、ベトナムが世界貿易機関(WTO)に加盟後、べトナム初の双方自由貿易協定である。


協定を署名する中曽根弘文外相とヴー・フイ・ホアン商工相


調印式典後、握手を交わすホアン商工相と中曽根外相、二階俊博経産相


2008年12月26日に行われた
協定調印式に際し、麻生太郎
首相と会見するホアン商工相


駐日ベトナム大使館により
行われた日越EPA歓迎式典
に出席した福田康夫前首相

ベトナムと日本は12月25日、東京において日越経済連携協定(EPA)の署名を行った。これは、日本がシンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ等と調印した10番目の協定であり、ベトナムが世界貿易機関(WTO)に加盟後、べトナム初の双方自由貿易協定である。

ベトナムのヴー・フイ・ホアン(Vu Huy Hoang)商工相は、日越経済連携協定(EPA)署名に際し、「本協定は安定的な法的基盤を作り出し、ベトナムと日本との経済・貿易・投資関係を新たなレベルに進展させることに貢献します。世界経済が衰退している中、ベトナムが日本と双方自由貿易協定を結ぶことは、より一層重要な意義を有するものでしょう」と述べた。経済の各専門家によると、これまでの日本とアセアン諸国とのEPAと同様、日越EPAはベトナムと日本だけでなく、アセアン全地域にも大きなメリットをもたらすとしている。

日越EPAの基盤

日本とベトナムは 1973年9月21日に外交関係を樹立した。それから35年、日本はベトナム最大の貿易パートナーとなっている。二国間の貿易総額は、2000年の48.71億米ドルから2005年には85.10億米ドルまで約2倍増加した。さらに、2007年には約120.5億米ドルに達し、2006年比26.1%増で、その内、ベトナムから日本への輸出額は約65億米ドルに達している(16.7%増)。一方、日本からの輸入額は約60億米ドルに達した(38.2%増)。以前、両国は2010年に貿易額を150億米ドルにまで引き上げる目標を掲げたが、すでに昨年(2008年)には160億米ドルに達し、期限前に目標を達成したことになる。

駐日ベトナム商務局の分析では、ベトナムと日本との輸出入製品のシステムが「相互補完」という性質を有しているため、今後、ベトナムは輸出黒字を維持できる可能性が高いという。ベトナムの主要輸出品目は、水産物、織物、原油、電気ケーブル、木製製品等であり、主要輸入品目は機械製品、鉄鋼、電子製品、バイク、織物の材料、革製品等である。近年、日本へのベトナムの輸出製品がはっきりと変わってきており、新鮮の花、高級衣類、加工食品、機械、造船等の軽工業製品等を日本へ輸出できるようになってきた。

日本は貿易のみならず、ベトナムに対して最大のODA(政府開発援助)を援助国でもある。1992年~2007年の期間、日本がベトナムに援助公約したODA総額は130億米ドルに達し、世界各国からの援助総額の30%を占めている。また、外国直接投資では、2008年9月までにベトナムにおいて効力のある日本の直接投資プロジェクトは計928プロジェクトで、登録投資総額が90億3000万米ドルで、対ベトナム投資国・地域の第4位に位置する。しかしながら、投資実行総額は52億米ドルに達しており、日本は各国を抑えてトップに立っている。特に注目すべきことは、2005年頃から、ベトナムはヤマハ発動機(4800万米ドル)、ニッポン(1億4500万米ドル)、キャノン(7000万米ドル)といった日本の大手企業から多くの大規模プロジェクトを受け入れたことであろう。日本の投資家は、徐々に中国への投資をベトナムに移す傾向があり、特に、運輸機械部品(23%)、電子製品部品(18%)等の分野である。2007年12月から、ベトナムの投資環境および競争力向上を目指し、三角地域と東西回廊の発展および大メコン圏(GMS- Greater Mekong Subregion)内の協力を促進するために、両国は「ベトナムにおける投資環境改善に関する日越共同イニシアティブ」を展開した。

一方、現在までにベトナムは、日本に投資する5つのプロジェクトを展開したが、それらはGemasa Corp合弁企業(海運)、Yasaka-Saigon合弁企業、越日旅行レストランサービス合弁企業(ホテル・旅行)、Vijasgate Japan(ソフトウェア共同開発)、FPT Japan株式会社である。日本への投資総額は210万米ドルで、その内、投資実行額は40万米ドルである。さらに、観光分野では、日本はつねにベトナムの5つの最大市場のリストに入っており、近年、訪越する日本人観光客数は外国人観光客数の10%を占めている。

戦略的パートナーシップの新たな原動力

2006年10月、日越EPAは、ベトナム政府のグエン・タン・ズン(Nguyen Tan Dung)首相の公式訪日に際し、安部晋三総理大臣(当時)との会談の中での重要事項の一つであった。その後、2007年1月から両国は日越EPA交渉会合をスタートさせ、19ヶ月間に9回の交渉の後、2008年9月29日に両国は日越EPA交渉の大筋合意に署名し、同年12月25日に正式調印するに至った。

グエン・フー・ビン(Nguyen Phu Binh)駐日ベトナム特命全権大使は、「本協定が日越外交関係樹立35周年の本年に調印されたことは、より重要な意義を持つでしょう。日越EPAの実現は、両国の関係を新たなレベルに引き上げ、戦略的パートナーシップに関する両国間の合意書にふさわしいものと言えます」と述べた。発効後、日越EPAは10年間にわたる両国の全面的な双方自由貿易地域の設立に貢献することが期待されている。本協定の柱となる内容の一つとして、農業、工業、貿易と投資、人材開発、観光、環境、交通運輸等、多くの分野にわたる経済協力を強化することである。

同協定の初期段階では、両国は日本における看護師の育成、医療分野におけるスタッフの能力検定システムの構築(特に看護師および介護士)、縫製、建設、裾野産業分野の企業対話システムの構築、食品安全衛生検査の能力向上や品質基準体系整備の支援等、ベトナムに対する援助プロジェクトを展開することになっている。

ヴー・フイ・ホアン工商大臣は、「日越EPAにより、発効時点から10年間、日本はベトナムからの日本への輸出製品の94%を免税とします。特に、ベトナムの輸出用農産品の86%を免税することになっています。これは、アセアン諸国の中で日本が公約する最も高い比率だといえます。知的所有権およびサービス貿易分野では、日本に対するベトナムの公約とベトナムに対する日本の公約は、ベトナムがWTOに加盟時に提出した公約より高くありません」としている。

いずれにしても、本協定がもたらす絶好の機会を有効に活用するためには、「ベトナム企業は積極的に協定の文書にアプローチして、その内容を検討しながらあらゆるチャンスを十分開拓できるように詳細な計画を立案しなければなりません」と、同商工相は明確に今後を見据えた。

文:ダオ・タイン・トゥン (Dao Thanh Tung)/
ベトナム通信社東京支局長

ダオ・タイン・トゥン (Dao Thanh Tung)/ベトナム通信社東京支局長


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