ザオ族の伝説によると、バン・ブオンは元々ロン・フエン・バン・ホーという名前でした。彼はカオ・ブオンという侵略者を殺したという大きな功績で、ビン・ブオン王から重宝され、王女と結婚しました。 バン・ブオンと王女は6人の息子と6人の娘を出産し、ビン・ブオン王はそれぞれに名前を付け、ザオ族の最初の12の名字となりました。 ビン・ブオン王が亡くなると、バン・ブオンはザオ族の王になりました。
ハー・ザン省ホアン・スー・フィー郡のザオ族の村では、バン・ブオン王の死の物語は次のように伝わっています。陰暦2月にバン・ブオン王は山に行って狩りをし、カモシカを追いかけましたが、不幸にもカモシカにより蹴られ、サッサフラスの木に倒れこんで死にました。それ以来、ザオ族は陰暦2月にバン・ブオン王の命日に儀式を行なってきました。
ドラムと角笛を鳴らし、バン・ヴオン王の儀式の始まりを告げるホアン・スー・フィー郡のザオ族の人々。写真:ヴィエット・クオン/ VNP
バン・ブオン王を祀る日に最も美しい衣装を着るザオ族の人々。写真:ヴィエット・クオン
酒と豚肉はバン・ブオン王の儀式に欠かせない神々への供物。写真:ヴィエット・クオン/ VNP
儀式でダオ族の祀る者が使う銅のベル。写真:ヴィエット・クオン/ VNP
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通常、バン・ヴオン王は神々と共にザオ族の各家庭の祖先の祭壇で祀られています。成人式、先祖への感謝の儀式などの主要な儀式では、自分たちのルーツを思い出すためにバン・ブオン王を祀る場面があります。上記以外に、ザオ族の人々はコミュニティで独自の大規模なバン・ブオン王を祀る儀式を開催します。各家系の条件や規則に応じて、それぞれ定期的にを行います。3年に1回の家系もあれば、12年、20年或いはそれ以上の家系もあります。
バン・ブオン王を祀る儀式はザオ族を創造し、守ってくれた祖先に感謝すると同時に、子供たちや孫たちに豊かな作物と幸福を永遠にもたらす雨と風に恵まれるよう祈ります。供物を準備した後、バン・ブオンを祀る儀式は祭壇を設置し、礼拝の絵を掛ける手順から始まります。それからシャーマンはその周辺に聖水をかけて清めます。儀式の初めに、シャーマンはバン・ブオン王と土地の神々や先祖を呼び出して儀式の理由を宣言するために供物の儀式を行います。次はバン・ブオン王を迎える儀式です。特にこの儀礼ではバン・ブオン王を祝福する祈りをあげることに加えて、ホアン・ス・ピのシャーマンはバン・ブオン王の生から死までの伝記と体つきについても簡単に語ります。また、海を渡り、故郷を離れてハー・ザン省に住み、定住するための新しい場所を見つけたという伝説を繰り返し話します。
儀式の最後には別れの式典があり、シャーマンは奉納紙を燃やして、バン・ブオン王、先祖、そしてあの世の神々を見送ります。儀式の間、シャーマンは角笛を吹く儀式、線香をあげる儀式、剣舞、鐘の踊り、そして独特なカメの舞も行います。
人類に染み込んだ精神的活動の儀式として、ザオ族のルーツについて教え育むとともに、バン・ブオン王を祀る儀式は人々を結びつけ、コミュニティの力を生み出します。
文、写真:ヴィエット・クオン