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文化

ベトナム最小のマホガニー製「ディン」の模型

大工仕事で50年以上の経験を持つファン・ラック・フンさんは5年間にわたる研究と製作活動の末、マホガニーを使用し、ハノイのタック・タット県フウ・バン村のディン(村の中心的な存在で村の魂を持つ集会所)の非常にユニークな1/1000スケールの模型を完成しました。
67歳の職人ファン・ラック・フンさんはハノイのタック・タット県フウ・バン郡チュア集落セン村で生まれ育ちました。この村は古くから大工仕事と高品質の木製家具で全国に知れ渡っています。

どの学校にも行かず、50年以上も大工仕事をしてきたフンさんの腕前を村の誰もが知っています。年寄になったフンさんは次の世代に仕事を譲るために大工をやめました。そして彼自身と彼の子孫の生活にちなんだ作品の作ろうという意図に燃え始めました。そこは村のディンの屋根、幼い頃に愛着のあった場所、彼の人生の系譜です。

もう一つ言うなら、フウ・バン村のディンは築350年近くになり、多くの歴史的痕跡を残しているものの、元の外観を維持していることをフンさんは大きな誇りとしています。彼は模型に使う木材の種類をマホガニーとしました。マホガニーはなかなか手に入らない木材ですが、耐久性に富み、保存状態が良好であれば何百年も維持できる可能性があります。



ハノイのタック・タット県フウ・バン村の小さなディンをマホガニーで作ったファン・ラック・フンさん。



ディンの床で体操をするたびに、ディンの細部に注意を払い模型製作に役立てたフンさん。



才能のある大工が全ての段階を自分の手と道具を使って製作した模型。


注意深く測定し、1:1000のスケールに従って計算して作られた建物の細部。


フンさんが細心の注意を払って製作した細部。



実物の空間と何ら変わりがない建物の外からの眺め。



95%の精度で作られている建物の周りの壁などの細部。



フンさんがとても気に入っている実物のように開閉できる扉。



本革で作られたディンの模型の太鼓。



非常に繊細に作られているディンの屋根の模様。



実物とまったく同じように作られている屋根の空間や内部の木製の柱。



村のディンの屋根に彫られた龍。



ファン・ラック・フンさんが作った傑作、フウ・バン村のディンの静かな片隅。


ファン・ラック・フン職人が村のディンへの愛と熱意を持って5年近く研究した成果。


マホガニーでできたフウ・バン村のディンの傑作を見にフンさんの家を訪れる村の人々。



ベトナムで最小の木造ディン模型に興味を抱き、熱心に研究する訪問者たち。
 

アイデアを思いついてから5年間、1日6〜8時間の作業を経て、フンさんはマホガニーで作られた重量60kgのフウ・バン村のディンの模型を完成させました。これは、ベトナムで最小のマホガニー製のディンの模型と見なされています。

フンさんは製作過程での難しさについて、自分のやり方は多くの人々の様に製作前にドラフトやデザインを描くのではなく、青写真無しで行うことだと述べました。さらに、細部に至るまで細心の注意を払う必要があり、実物と同じになる様に屋根の模様、外縁、中庭のタイルも慎重に測定して計算したそうです。多くの人はマホガニーで作った90~95%の精度のフウ・バンディンの仕事を高く評価していますが、まだ実現していない細部がたくさんあるため、彼自身は完全には満足していません。

他の多くの細かい部分、例えば村のディンの太鼓の皮も本革で作られています。現在、村のディンの模型は家の礼拝室に展示しています。ラジオで聞いた人から模型を売って欲しいと頼まれたが販売しなかったそうです。
フンさんは故郷の古い村のディンの建築を保存し、村の伝統的な文化的美しさを子供たちに理解させ、地元の文化や観光を推進したいという自身の希望からフウ・バン村のディンの模型を製作したと語りました。

文、撮影:ヴィエット・クオン-カイン・ロン

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