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G7、途上国にワクチン10億回分提供…首脳宣言に明記へ

(VOVWORLD) -先進7か国首脳会議(G7サミット)で議長を務めるジョンソン英首相は10日、声明を出し、G7各国が、2022年末までに少なくとも10億回分の新型コロナウイルスワクチンを途上国などに供与することで合意するとの見通しを明らかにしました。

英国で11日午後(日本時間11日夜)に3日間の日程で開幕するG7サミットで、首脳宣言に明記される方向です。
声明では、供与される10億回分は、現物の提供と資金の拠出の両方を含むとしています。G7として、中国やロシアが進める「ワクチン外交」も意識し、世界的な新型コロナの感染収束を主導する姿勢を示すものです。
ジョンソン氏は、英国は少なくとも1億回分で貢献するとし、「来年末までに世界全体でワクチン接種ができるよう、G7の指導者が英国と同じように約束することを望む」と強調しました。このうち500万回分は9月末までに提供します。全体の8割はワクチンの共同購入・分配の国際的枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて配布し、残りは2国間で譲渡するといいます。

サミットでは、10億回分の目標達成に向けた製造能力の強化についても話し合います。ジョンソン氏は、非営利でのワクチン製造を製薬会社に働きかけるよう、各国に提案する予定です。

米国のバイデン大統領も10日、英国での演説で、ワクチン5億回分を途上国などに提供する計画を正式に表明しました。これまでに海外向けに提供するとしてきたのは8000万回分で、大幅な上積みとなります。米国には、自国内での接種を最優先し、ワクチンを独占してきたとの批判もありました。

バイデン氏は「多くの命を救うことは、我々の価値観に基づく責務だ。米国は新型コロナとの戦いにおいて、世界のワクチンの倉庫になる」と表明しました。

ワクチン供与については、「ひも付きではない。我々は見返りや譲歩を求めて圧力をかけることはない」と強調しました。中南米の一部の国に対し、ワクチンの提供を材料に台湾との関係を見直すよう働きかけている中国を念頭に置いた発言です。

日本政府は今月2日、国内での接種を見合わせている英アストラゼネカ製を念頭に3000万回分を提供するなどの方針を示しています。G7サミットの場では、さらなる積極貢献を求められる可能性があります。

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