ベトナム通信社創立80周年(1945年9月15日〜2025年9月15日)を記念し、ベトナム通信社党委員会書記兼社長のヴー・ヴィエット・チャン氏は、国家建設と防衛におけるベトナム通信社の重要な貢献、また技術革新やメディアのトレンドの変化に対応するための業界の主要な方向性について語り、新たな時代における主要通信機関および国営メディアとしての地位を堅持し続けると述べました。
ベトナム通信社創立80周年(1945年9月15日〜2025年9月15日)を記念し、ベトナム通信社党委員会書記兼社長のヴー・ヴィエット・チャン氏は、国家建設と防衛におけるベトナム通信社の重要な貢献、また技術革新やメディアのトレンドの変化に対応するための業界の主要な方向性について語り、新たな時代における主要通信機関および国営メディアとしての地位を堅持し続けると述べました。
国家と共に歩んだ80年の軌跡
* 記者:社長に伺います。過去80年間にわたり祖国と共に歩んできたベトナム通信社は、革命事業、国家建設および国防において、どのように重要な貢献を果たしてきたのでしょうか?
* ヴー・ヴィエット・チャン社長:
1945年9月15日、国家の歴史的な秋に、ホー・チ・ミン主席によって命名されたベトナム通信社(Việt Nam Thông tấn xã ;VNTTX、現 Thông tấn xã Việt Nam;TTXVN)は、バクマイ放送局からベトナム語、英語、フランス語の3言語で独立宣言と臨時政府構成員名簿を世界に向けて発信し、ベトナム民主共和国の誕生を知らせました。この歴史的な日は、ベトナム通信社の設立、建設、発展の過程における重要な節目であり、国営通信社の伝統的な記念日なりました。
1945年9月15日、ホー・チ・ミン主席が命名したベトナム通信社(VNTTX)は、
独立宣言全文とベトナム民主共和国臨時政府の名簿をベトナム語、英語、フランス語の3言語でニュース速報として放送した。この神聖な瞬間は、ベトナム通信社の創立記念日となっている。
撮影:ベトナム通信社
フランス植民地主義者およびアメリカ帝国主義者に対する二度の抵抗戦争(1945年〜1975年)、さらに南西国境と北部国境の防衛戦やラオスとカンボジアでの国際任務遂行において、ベトナム通信社(VNTTX)の職員、記者、技術スタッフたちは、単なるジャーナリストではなく、真の戦士でもありました。ホー・チ・ミン主席がベトナム通信社に贈った言葉「ニュースが速ければ速いほど、抵抗戦争の勝利も早まる」に鼓舞され、彼らはあらゆる道と戦場に赴き、戦闘に参加しながら、党中央委員会、政府および報道機関に提供するための歴史的なニュースや映像を記録する任務を果たしました。
1954年のディエンビエンフー作戦、ジュネーブ会議、1968年の戊申のテト攻勢と蜂起、そして1975年の歴史的なホーチミン作戦に関するニュースや写真は、ベトナム通信社の記者と兵士たちの勇敢な精神を鮮明に刻み込みました。1975年4月30日、ベトナム通信社(VNTTX)は勝利のニュースを伝える栄誉に浴し、南部解放の瞬間、アメリカに対する救国戦争の勝利、南北統一の時代の幕開け、そして国全体が社会主義への道を歩み始める歴史的瞬間を象徴するものでした。
その歩みの中で、ベトナム通信社の記者、技術者、職員約260名が勇敢に命を捧げました。ベトナム通信社(VNTTX)の初代責任者であるジャーナリスト、チャン・キム・スエン氏は、1947年にハタイ省チュオンミー県ゴクソン村のダムセン地区(現在のハノイ市チュオンミー区)で殉職し、ベトナム革命報道界初の烈士となりました。
ベトナム通信社が米国に対する救国戦争の時代に刻んだ輝かしい歴史の中で、南部におけるベトナム通信社(VNTTX)の支線であった解放通信社(TTXGP)の地位と役割は欠かすことができません。15年間(1960年〜1975年)の活動期間中、解放通信社とベトナム通信社(VNTTX)はあらる戦闘において兵士や民衆と肩を並べ、戦争の苛烈さや南部解放軍の兵士、南部の人々の愛国精神を伝えるニュースや写真を発信し続けました。
祖国統一後、ベトナム通信社(VNTTX)と解放通信社はベトナム通信社(VNTTX)として統合され、後にベトナム通信社(TTXVN)へ名称変更されました。それ以来、ベトナム通信社は全国の各省市に配置した駐在記者ネットワークと多数の海外駐在事務所を擁する国営通信社として、新たな建設と発展の時代を迎えています。組織体制、幹部、記者、編集者、職員の陣容は強化され、技術設備も段階的に近代化が進められています。
1973年、解放通信社への支援を行ったベトナム通信社の車両部隊。
撮影:ミン・ロック/ベトナム通信社
社会主義祖国の建設と防衛の時期、そしてドイモイ(刷新)期において、ベトナム通信社はあらゆる面で力強く発展を遂げ、党と国家の信頼される戦略的情報機関として、国内外の報道機関に対して公式かつ信頼性の高い情報源としての使命を果たし、誤った主張に対して反論、反撃を行い、国家の歴史的意義のある輝かしい勝利に貢献し、国の刷新プロセスの基盤を築きました。
かつては報道機関向けにニュースや写真を配信するのみだったベトナム通信社は、一般市民に向けて直接情報を提供するようになり、当時の報道界に大きな反響を呼ぶ数々の出版物を発行しました。1982年には「スポーツと文化新聞」が創刊され、続いて1983年には「週刊ニュース」および「科学技術と世界経済週報」が登場しました。1990年代初頭には、「Vietnam News」「Le Courrier du Vietnam」「Vietnam Law and Legal Forum」に加え、「夕刊ニュース」や「山岳民族写真ニュース」が発刊されました。
1998年8月19日、ベトナム通信社はウェブサイト「www.vnanet.net」を開設し、インターネット上で活動するベトナム最初の報道機関の一つとなりました。これにより、独立宣言が最初のニュース速報となって以来53年間続いた短波による対外ニュース放送に終止符を打ちました。
21世紀に入り、ベトナム通信社は、印刷新聞、電子新聞、テレビ、報道写真、ポッドキャスト、グラフィックなど、あらゆるメディア形式を備えたマルチメディア通信グループへと発展し、すべてのプラットフォームに対応する体制を整えました。現在、ベトナム通信社の記者ネットワークは国内のすべての省と市に広がっているだけでなく、世界の戦略的に重要な30地域にも展開し、ベトナムの願いを世界に届けると同時に、世界とベトナムの距離を縮めています。
ニュースの現場では、自然災害、台風、疫病、激しい戦闘地域、遠隔の島嶼や国境地帯など、数々の危険に直面しながらも、ベトナム通信社の報道記者たちは命の危険を顧みず、ニュースや写真を届け続けています。彼らの献身的な姿勢、地域と人々との深い結びつき、取材プロセスへの先進技術の積極的な導入、そしてジャーナリズムの核心的価値への揺るぎない姿勢が、ベトナム通信社に高品質な報道作品を生み出させ、国内外の報道賞において最高位の栄誉を獲得する原動力となっています。
組織再編とデジタル変革は、現代ジャーナリズムの「流れ」を再構築する二つの大きな波となっています。その歩みにおいて、ベトナム通信社は傍観することなく、果敢に向き合い、適応し、そして自ら突破口を切り開く選択をしました。決議18号の初期段階の実施にあたっては、心理的な衝撃や葛藤を避けることはできませんでした。組織の統合、再構築、拠点の集約は、まさに不安に満ちた「大手術」のようなものでしたが、それは不可欠でもありました。
ベトナム通信社の指導部は、共感と勇気を持って、職員や労働者に寄り添う努力によって、課題を原動力へと変え、合理的な解決策を打ち出し、組織を再編し、「ニュースと民族新聞」「Vietnam News and Law」「デジタルコンテンツ・メディアセンター」などの新たな部門に統合しました。これらの部門は直ちに内部体制の整備に着手し、政治的任務の中断を招くことなく、効率的な運営体制を確立しました。
国家と共に歩んできた80年の歴史の中で、ベトナム通信社は、党、国家、そして国民から認められ、刷新期労働英雄(2001年)と二つの人民軍英雄(2005年にベトナム通信社、2020年に解放通信社)、以上三つの英雄称号を授与されました。さらに、ベトナム通信社は金星勲章、ホー・チ・ミン勲章3回、一等独立勲章2回など、数々の栄誉ある賞を受けています。
創立80周年を記念して、党と国家はベトナム通信社に対し、3度目となるホー・チ・ミン勲章を授与する決定を下しました。これは、ベトナム通信社が党と国家の革命事業に貢献してきたことを称える名誉ある賞です。同時に、報道機関のすべての幹部、記者、編集者に対する激励の言葉でもあり、政治的任務の遂行に引き続き尽力し、党の革命事業および国民の正確かつ迅速な情報へのニーズに力強く応えるよう促すものです。
ベトナム通信社は、デジタル変革と情報制作の最適化において先駆的な役割を果たす
* 記者:現在の技術革新とメディアの潮流の変化に対して、ベトナム通信社は今後どのように適応し、新たな状況の中でその地位を引き続き確立していくのでしょうか?
* ヴー・ヴィエット・チャン社長:
これまでの成果を踏まえ、新たな段階において、ベトナム通信社指導部は各業務プログラムの実施を効果的に指導し、政治的任務を的確に遂行することを目指しています。それにより、ベトナム通信社はベトナム革命報道体制の中での役割と地位を確認し、強化させていく方針を明確にしています。
ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領にインタビューし、
質問をしたベトナム通信社のヴ・ヴィエット・チャン社長。
撮影:クアン・ヴィンベトナム通信社
2025~2030年期の第27回ベトナム通信社党大会におけるファム・ミン・チン首相の指導に基づき、ベトナム通信社は国家通信機関としての輝かしい伝統をさらに発揮し、団結を堅持し、民主の推進、思考の刷新、創造性の向上をもって各種プログラムや行動計画を展開していきます。党と国民の信頼、そして報道機関としての栄光ある伝統にふさわしい存在であり続けることを目指しています。
さらに、ベトナム通信社は引き続きイデオロギーにおける先駆者として模範を示し、党を守り、政治体制を擁護し、国家と国民の利益に奉仕する姿勢を貫いています。また、祖国の建設と防衛という二つの戦略的任務の遂行に貢献するとともに、科学技術の応用、革新、創造、デジタル変革、国際統合の分野でも先頭に立ち、党と国民の革命事業と歩調を合わせて進んでいます。
ベトナム通信社は、地域および世界において高い信頼性を持つ国家通信機関としての発展を継続することを目指しています。国内外のメディアシステムと一般市民に対して、正確で信頼性が高く、豊富な情報源となり、国内外の広報活動において高い効果を発揮し、党の指導および国家の管理に貢献します。さらに、最新の技術基盤と、ますます専門性を高めた記者と編集者のチームを備え、安定した収益源の確保を図ります。
ベトナム通信社は、データセンター、サーバーシステム、高速イントラネット、データ通信網および衛星ネットワークを導入し、国内外における24/7の情報の制作と配信を可能にしています。あわせて、インフラのアップグレードを行い、処理能力とストレージ容量を倍増し、インターネットの帯域幅も拡大しました。専用のデータ通信網とコンテンツ配信サービス(CDN)は最適化され、クラウドコンピューティングと多層型セキュリティ技術も導入され、柔軟性、安定性、高可用性を備えたインフラ基盤を構築しました。
特に、ベトナム通信社は国営通信社の戦略的情報任務の遂行において、大きな変化を推進し、創出します。政治、経済、文化、社会、科学技術生活のあらゆる側面を網羅する質の高い報道資料を制作し、提供する能力を持ちます。党、国家、研究機関、国内外の報道機関やメディアシステムの指導と指揮に役立つ情報を提供する「銀行」となり、広く普及する報道資料を制作する能力を持ちます。
ベトナム通信社は課題を克服し、あらゆる状況に適応する
* 記者:新たな状況の中で、ベトナム通信社はどのような課題に直面しており、それらを克服するためにどのような解決策があるのでしょうか?
*ヴー・ヴィエット・チャン社長:重点目標の実現過程において、ベトナム通信社は多くの困難と課題に直面しています。その中でも、最大の課題は人的、財政的資源の不足です。近年、ベトナム通信社の自主予算は大幅に削減され、限られた公共投資の中で技術インフラやテクノロジーの整備を進めなければなりません。また、限られた予算のために、現代のジャーナリズムの要件を満たす多くの若手人材の採用も困難を極めています。
同時に、ベトナム通信社をはじめとする国内外の多くの報道機関は、誤情報やフェイクニュース、そして人工知能(AI)を活用した情報による課題に直面しています。デジタル技術とAIの急速な発展により、虚偽の情報や誤解を招くニュースの管理がますます困難になっており、真実と虚構が混在する状況を生み出し、国民に情報の混乱を招く事態を引き起こしています。
困難に直面しても、ベトナム通信社の報道関係者たちは決して立ち止まることはありません。実際、通信員たちは常に団結し、責任感を持ち、創造性を発揮し、あらゆる状況に柔軟に適応する力を備えています。
人材面では、ベトナム通信社の数百名にのぼる記者、編集者、職員が国内外で専門知識や業務スキルを高めるための研修や、政治理論の向上を目的とした講座に参加しています。現代的なジャーナリズムのスキルの共有も業界内で定期的かつ継続的に行われています。その結果、ベトナム通信社は常に質の高い報道記事を数多く掲載し、公式かつ正確な情報を多様なプラットフォームを通じて迅速に発信することで、党、国家、各省庁、部門、機関、地方自治体の指導者、そして何よりも広範な一般市民からの信頼を獲得しています。
国際協力活動も、実効的かつ効果的に推進され、ベトナム通信社の情報源は多様化し、対外情報を様々なプラットフォームで発信できるようになりました。ベトナム通信社のすべての部門は、党の革命事業と国家と民族の利益に力強く貢献するために、現在および今後の重要任務を着実に遂行し、かつ卓越した成果を挙げることを目指しています。
科学技術の発展に対応するため、ベトナム通信社の指導部は各情報部門に対し、最新技術の探究と試験的導入を指示し、読者へのアクセス向上を図っています。各部門は、テクノロジーやデータジャーナリズムを応用した製品を開発しており、拡張現実(AR)やインタラクティブ3D技術を取り入れたものもあります。デスクトップ画面での直接操作やスマートフォンでのスワイプ操作による3Dジャーナリズム製品は、特に若者層を中心に新鮮で魅力的な体験を提供しています。
国家成果展示会「独立、自由、幸福の80年の歩み」(2025年)の
ベトナム通信社の展示ブースで読者と交流するグエン・ティ・スー副総局長。
撮影:ミン・クエット/ベトナム通信社
ベトナム通信社は現在、データソースの拡充を図るとともに、データ処理ツールのアップグレード、共有データエコシステムの構築を目指しています。こうしたデータは、実用的な成果をもたらし、質の高い魅力的な報道コンテンツを創出するためのデジタル変革プロセスの基盤となります。現代の人々は、単に情報を探して読むだけでなく、最新の報道機能を体験したいと望んでおり、これは、現在そして将来においても、ベトナム通信社にとっての必須要件です。
三度にわたり英雄称号を授与された報道機関の輝かしい歴史を継承
* 記者:創立80周年記念は、国全体が新たな時代、飛躍の時代へと踏み出す節目として、極めて重要な意味を持ちます。この機会に、ベトナム通信社の社長として何かメッセージをお寄せいただけますか。
* ヴー・ヴィエット・チャン社長:
ベトナム通信社の創立80周年(1945年9月15日〜2025年9月15日)を迎えるにあたり、党委員会および通信社の指導部を代表して、ベトナム通信社の永続的な発展のために自らの命を犠牲にし、生涯を捧げ、多大な貢献をしてくださった歴代の業界指導者、戦傷病者、烈士のご遺族、世代を超えた幹部、記者、編集者、技術者、職員の皆様に、心より深く感謝の意を表します。
感謝と敬意を込めて、私はベトナム通信社の報道関係者の皆さんの努力、人力、献身、そして責任感あふれる職務姿勢を高く評価いたします。皆様の貢献は非常に貴重であり、質の高く印象的な報道作品の創出につながっています。これにより、報道機関としての政治的使命を果たし、党の革命事業に貢献し、正確かつ迅速な情報を求める国民のニーズに応えることができています。
今日の報道関係者は、先人たちの輝かしい歴史に誇りを持ち、祖国の独立、主権の擁護、党の思想的基盤を守る闘争、そして国家の建設と発展において、その足跡を刻み続けています。揺るぎない伝統、絶え間ない革新の精神、そして新たな地平を目指す強い志を胸に、ベトナム通信社は今後も努力を重ね、主力通信社、国家の報道機関、党と国家の戦略的情報センターとしての地位を揺るぎないものにするために、今後も努力を続けてまいります。
「ベトナム通信社は国とともに新たな時代へ進む」という精神のもと、私はベトナム通信社のすべての役員と職員が引き続き団結し、決意を持って革新に取り組み、業務の効率を高め、情報発信の任務を果たし、情報戦線における戦士としての役割を果たし、手を携えて新時代の英雄的通信社の輝かしい歴史の1ページを書き続けていくことを強く信じています。
記者:ありがとうございました。