発見

真珠の島の住民一人ひとりが文化大使

APEC2027に向けた施設が、フーコック経済特区で次々と形を現しつつある。空港は拡張され、国際会議センターは建設が加速し、新しい道路が島の縦横に伸びている。これらの工事の背後には、何万人もの人々の準備がある。漁師、観光業に携わる人々から外国語を学ぶ若者まで、一人ひとりが真珠の島に世界を迎える旅路に貢献している。 


フーコック経済特区のハムニンの朝は、太陽がまだ完全に昇りきらないうちに始まる。漁船が一晩の漁を終えて次々と港へ戻り、エンジン音や魚を運ぶ人々の声が、海辺の漁村の日常のリズムに溶け込む。島ならではの暮らしは、今も昔と変わらず素朴な姿を保っている。海は変わらない。人々も変わらない。しかし、こうした馴染み深い生活の裏側で、この土地は発展の歴史における特別な時期を迎えようとしている。 

APEC2027に向けた施設の一つであるフーコック空港。撮影:コン・ダット/ベトナム通信社 

ハムニンに住む漁師グエン・ヴァン・ハイさん(通称サウ・ハイ、60歳過ぎ)は、潮の香りが残る網のそばで、来年の国際会議について尋ねられるとにっこり笑った。 「正直に言うとね、私たち漁師は魚やエビのことしか知らなくて、国際会議なんて縁がないと思っていたんだ。でもメディアの情報で、来年は世界の21か国がこの島に集まって会議を開くと知ったよ。省は施設を建てたり道路を整備したりしているけど、私たちは海をきれいに保ち、正直に商売して、値段をふっかけず、ゴミを捨てないようにしている。漁師仲間とはこう話しているんだ。漁師本来の仕事をしている以上、海の人間らしい誠実さと暖かい笑顔で外国のお客さんを迎えようと思ってる。そうすれば、フーコックの人々がどれほど文明的で親切であるかを感じてもらえるはずだってね。」

 

その漁師は、「真珠の島」の最も大きな変化のほとんどを経験してきた。国家電力網がなく、船便に頼っていた時代から、国際空港が開港し観光が急速に発展する現在まで。彼にとってAPEC2027はまったく新しい出来事だ。しかし、その国際的な会議は、彼が生涯にわたって関わってきたこの土地で開催される。ハムニンの人々の物語は、フーコックの発展の歩みをより鮮明に映し出している。多くの人々は成長率の数字を知らず、外交戦略について語ることもほとんどない。彼らが感じ取っているのは、道路が整備され、生活がより安定し、商機が増えたという実感だ。こうした変化の中で、島民たちはAPECが真珠の島に新たな扉を開くことを理解し始めている。 

 

APEC2027に向けた準備作業部会において、中央政府の指導者たちは、友好的で文明的、かつもてなしの心にあふれたベトナムというイメージづくりの重要性を何度も強調している。そのイメージは、建設された施設や成果報告によって生まれるものではなく、人々のふるまいによって築かれるべきである。 

 

その意味で、フーコックの一人ひとりの住民こそが、自らが暮らすこの土地の親善大使なのである。 

 

今日の真珠の島では、APECに向けた準備が建設現場だけで進められているわけではない。語学教室やホテル、レストラン、観光サービスの現場など、あらゆる場所で準備が広がっている。多くの若者が新しい機会を迎えるために、自ら進んでスキルアップに励んでいる。多くの観光関連企業では、外国語やコミュニケーションスキル、国際的な接客マナーの研修が以前より頻繁に行われるようになった。多くの人々にとって、APEC2027は単なる外交イベントではなく、スキルアップ、雇用機会の拡大、そして国際社会への適応に向けた準備の機会でもある。 

 

バイチュオンのリゾートで受付を務める24歳のラム・ミー・スエンさんは、「職業訓練や外国語の無料講座の登録手続きがとてもスムーズで、私のような若者も外交とサービス専門の短期英語集中コースに参加できました。APEC2027は、国際基準の環境で自分の力を試す絶好のチャンスです。さらに、遠くへ行かなくても故郷フーコックでより良い仕事に就ける可能性も高まります」と語った。 ミー・スエンさんは、フーコックの発展とともに育った世代を代表している。彼らは島が年々変わっていく姿を目の当たりにしてきた。そして、APECが観光、サービス、商業、国際交流などの分野で多くのキャリアチャンスをもたらすことも理解している。 

APEC2027国家委員会の第2回会合で、ファム・ミン・チン首相はAPECの準備作業において「機会の最大限の活用」を目指すべきだと強調した。フーコックの人々にとって、これらの機会は遠い概念ではない。それは、学びの機会、雇用の機会、収入を高める機会、そしてより専門的な職場環境に触れる機会なのである。 

こうした視点から見ると、APECはもはや代表団の集まりやハイレベル会議の物語ではない。APECは、若者たちが新しい外国語を学ぼうとする決意の中に存在している。より現代的な職場で働きたいという願いの中にも存在している。そして、故郷の姿を世界の友人たちに紹介したいという思いの中にも存在している。これらは静かではあるが、真珠の島の未来にとって長期的な意味を持つ動きである。 

APEC2027は限られた期間で開催される。各国の代表団はやがてフーコックを離れ、会議も幕を閉じるだろう。だが、このイベントが開催地にもたらす価値はその後も残り続ける。フーコック経済特区で伝統的な魚醤製造施設の事業主、ダン・タイン・ディエム氏は、地元企業の展望について「私たちは現在、フーコックの魚醤を国際会議の来賓向け特産ギフトとして提供できるように、包装工程の改良や英語ラベル入りの新しいデザインに力を入れています。APECは大きな追い風であり、ブランドを世界へ押し上げる跳躍台です。2027年以降もフーコックの伝統的な魚醤が力強く成長を続け、世界市場に進出できるよう、今日から入念に準備を進めています」と述べた。 

夜の街に灯る語学教室の明かりから、漁村で微笑む漁師の塩気を帯びた笑顔まで、フーコック島の人々は、素朴な誇りと自信を胸に、APEC2027の中心へと歩みを進めている。彼らこそが、フーコック島が海外の人々を自信を持って迎え入れるための根幹であり、固有の資源であり、最も活気に満ちた文化的な名刺なのだ。島の各集落や街区で今も続く人々の粘り強い準備と、心に流れる国際化への血潮こそが、これから始まるAPEC2027のハイレベル会議に向けた真の準備なのである。 

要人を乗せた車列が去り、各国の国旗が降ろされた後も、整備されたインフラと新世代のグローバル市民はこの島に残り、新たな飛躍の力となるだろう。APEC2027はどのような長期的遺産を残し、この土地はその機会をどのように百年にわたる原動力へと変えていくのか。その答えは、今日この真珠の島で、行政と何万人もの住民が心を一つにしている姿にある。 

文:ソン・タム・クエン


top