これに対し、マドブーリー首相は、ベトナム・エジプト自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉開始の検討、ベトナム・アラブビジネス評議会の設立を提案しました。また、ベトナム企業のエジプトでの事業展開を支援し、エジプトのイスラム大学を含む各教育機関へのベトナム人学生の受け入れにも前向きな姿勢を示しました。さらに、2025年10月にハノイで開催される予定の国連サイバー犯罪条約の署名式に代表団を派遣する意向も表明しました。
同日午後、ルオン・クオン国家主席はガマール・アブドゥル・ナーセル博物館を訪問しました。同館は、20世紀、アラブ世界で最も影響力を持った政治家の一人、故ガマール・アブドゥル・ナーセル元大統領を顕彰するエジプトの重要な文化・歴史施設です。展示エリアには、1960年代初頭、両国が外交関係を樹立した時期にホーチミン主席がナーセル大統領に贈った肖像画も展示されています。
これに先立つ5日午前、首都カイロでの首脳会談後、ルオン・クオン国家主席とエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は共同記者会見を行い、会談の成功を確認しました。
両首脳は、両国関係を包括的パートナーシップへと格上げすることで一致し、とくに農業、工業、貿易、投資といった分野における協力の可能性をより効果的に活用していく方針を明らかにしました。
ルオン・クオン主席は、包括的パートナーシップは新たな時代における両国関係の高度な発展を示すものであり、政治的信頼の深化と多岐にわたる分野での実質的かつ広範な協力の象徴であると強調しました。
ルオン・クオン主席は、次のように述べました。
(VOVWORLD)
(テープ)
「両国には相互補完性があり、協力の可能性は非常に大きいと認識しています。我々は今後、二国間貿易額を10億米ドルに引き上げる決意です。双方はそれぞれの強みである農産物の市場開放に向けて条件整備を進めることで合意し、ベトナム・エジプト自由貿易協定の交渉開始の可能性を検討していきます。また、工業、繊維、再生可能エネルギー、情報通信技術といった優先分野における投資機会の共有も強化していきます」
この機に、ルオン・クオン主席は、ガザ地区の紛争におけるエジプトの仲介・調停の役割を高く評価するとともに、国際法および国連決議に基づき、1967年の国境線を基礎とした主権を持つ独立国家パレスチナがイスラエルと平和的かつ安全に共存するという「二国家解決」へのベトナムの一貫した支持を改めて表明しました。