2026年は、世界が5G=第5世代移動通信から6G=第6世代移動通信システムのインフラへの準備段階へと移行する重要な転換点になると予測されています。この6G環境では、人工知能(AI)が単なるツールにとどまらず、ネットワークの核となる基盤層を担うことになります。
こうした中、ベトナムは世界の潮流に足並みを合わせ、グローバルな6Gエコシステムに深く関与することを目指しています。具体的には、2028年に6Gの試行運用を開始し、2029年から2030年頃にかけて実用化・商用化を実現するという目標を掲げています。
圧倒的な通信速度と数十億台規模のデバイス接続を可能にする6Gは、超高度なデジタル経済、または全面的なスマート製造、次世代スマートシティ、そして大規模なパーソナライズ・デジタルサービスといった新たな経済モデルを切り拓くと期待されています。そのため、早期に6Gエコシステムに参入する国は、グローバルなテクノロジー・サプライチェーンにおいて、高い付加価値を確保する上で大きな優位性に立つことになります。
これまで長年にわたり、ベトナムは2Gから4Gに至る通信技術を主に受け入れ、展開する立場に留まってきました。しかし、2024年から商用化が開始された5Gにおいて、そのアプローチは大きな変化を見せています。単なる利用者に留まらず、機器の研究・製造を段階的に進め、技術の一部を自国でマスターすることを目指しています。
ベトナムは、6Gの国際標準策定への参画や重要コア技術の習得、さらにはグローバル市場で競争力を持つ企業の育成を目指し、重点的な投資ロードマップを策定しています。その一環として、強みを持つ分野を優先し、5Gインフラの開発と整備を重要な足がかりとして進めています。
ベトナム科学技術省・情報技術産業局のグエン・カック・リック局長(写真:科学技術省)
ベトナム科学技術省・情報技術産業局のグエン・カック・リック局長は次のように述べています。
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「これは、戦略的技術や源泉技術、基幹技術における自律的な能力を段階的に構築するという一貫した精神に基づくものです。その目的は、戦略的技術の主要分野において、創造性と主導権を持ち、グローバルな競争力を備えたベトナムの企業、組織、そして人材を育成することにあります」
5G機器の設計、研究、製造をマスターするため、ベトナムは国際協力を推進し、標準規格を策定する連盟や組織への参画を深めています。これは、知識の習得と地位向上に向けた「最短経路」とされています。
この戦略は、ベトナム通信大手ベトテル(Viettel)とアメリカ・クアルコム(Qualcomm)の提携や、モビフォン(MobiFone)による導入の確約を通じて具現化されており、ベトナムは世界の新たな「オープン無線アクセスネットワーク」の拠点となりつつあります。
ベトテル・ハイテクのグエン・ミン・クアン総裁(写真:viettelhightech.vn)
ベトテル・ハイテクのグエン・ミン・クアン総裁は、次のように強調しました。
「ベトナムは2028年までに6Gの試行運用を開始する計画です。企業が海外進出をした際に、国際的なパートナーとの連携は不可欠であり、単独ではなく、信頼できるパートナーとの協力が求められています。こうした中、クアルコムは有力なパートナーの一社となっています。ベトテルとクアルコムは2022年から提携しており、両社はオープン無線アクセスネットワークの広域展開において重要な節目を迎えました。
一方、クアルコムのベトナム・ラオス・カンボジア担当総責任者、ティエウ・フォン・ナム氏は、今回の提携について次のように述べ、自信を示しました。
「ベトテルと当社の提携において、ベトナム製品の品質は世界トップレベルに引けを取らないと確信しています。何より重要なのは、両社が当初掲げた共通の目標を達成できたことです。5Gネットワークのインフラ製品には、極めて高い要件が求められます。具体的には、通信のアップロード・ダウンロード速度、多人数同時接続への対応能力、そして特に機器の安定性が極めて重要です。ベトテルとクアルコムのエンジニアによる設計・実施のプロセスにおいて、これらの基準はすべてクリアされました」
5Gの成功を足掛かりに、ベトナムは6Gの試行運用と展開を積極的に推進しています。現在、世界の6Gアライアンスには、ベトナムの通信・IT大手であるベトテル、FPT、VNGの3社が参画しています。
クアルコム・グループの最高財務責任者兼最高執行責任者であるアカシュ・パルキワラ氏は、次のように述べています。「ベトナムには多くの優れた人材やエンジニア、そして強固な技術基盤があります。これらはクアルコムが常に重視している要素であり、同社にとって、こうした強みを活用しながら大規模な技術展開を進める大きな機会となります。また、ベトナムは専門知識やインフラに加え、国家デジタルトランスフォーメーションに対する明確なビジョンを備えています」
ベトナムが世界の6Gエコシステムへの参入を目指すのは、国家競争力を高め、新たな産業革命の機会を捉えるための戦略的な選択です。テクノロジーが発展の秩序を再構築している現代において、早期から6G開発に主導的に関与することは、ベトナムが世界の潮流に追いつくだけでなく、さらなる飛躍を遂げ、世界の技術地図における自国の地位を確立することにつながります。
[VOVWORLD]