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トランプ氏、ホームレス排除に関する大統領令に署名 支援団体は懸念表明

連邦省庁間ホームレス対策評議会によりますと、昨年1年間でホームレス状態を経験した人は全米で77万1480人にのぼり、前の年に比べて18%増加しました。

アメリカのトランプ大統領は24日、都市部におけるホームレスの野営地を撤去し、ホームレスの人々をケア施設に移送するよう都市や州に求める大統領令に署名しました。これに対し、支援団体などからは、問題の悪化につながるとの批判の声が上がっています。

今回の大統領令では、州や連邦政府の判例、また自治体と結ばれた同意命令などによって制限されているホームレス野営地の撤去を可能にするため、司法省に対し、こうした規制の撤回を指示しています。ただし、司法長官が一方的に既存の判断を覆すことができるかどうかは明らかではありません。

連邦最高裁は昨年、自治体がホームレスの野営地を禁止できるとの判断を示しており、これを受けて今回の大統領令が出された形です。

一方、全米ホームレス連合はこの大統領令について、「ホームレスや精神疾患を抱える人々の法的な保護を損なうものである」として強く反発しています。

トランプ大統領は、野営地で生活するホームレスを精神疾患や薬物依存の治療が受けられる施設に送るべきだと主張していますが、治療施設の拡充や長期的な住居の提供といった具体的な支援策には言及していません。

連邦省庁間ホームレス対策評議会によりますと、昨年1年間でホームレス状態を経験した人は全米で77万1480人にのぼり、前の年に比べて18%増加しました。

専門家によりますと、アメリカでホームレスの数が急増した背景には、1960年代から70年代にかけて地域医療への転換を優先するため、精神病院が閉鎖されたことがあるとされています。しかし、地域医療への移行が予算不足などで十分に進まず、多くの重度の精神疾患を抱える人々が適切なケアや住まいを得られない状況に陥ったということです。

さらに、手頃な価格の住宅の不足や貧困の拡大、公営住宅支援プログラムの縮小なども、ホームレスの増加につながる要因とされています。(ロイター)

(VOVWORLD) 


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