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グエン・ティエン・タオ博士 - ベトナムの毒ヘビ研究の専門家

ベトナム自然博物館保存部長のグエン・ティエン・タオ(Nguyen Thien Tao)博士はベトナムの保健分野を支援する多くのプロジェクトに携わり、毒ヘビによる危険な病気を治療する血清の製造など、15年以上もヘビに関する研究を行っています。彼はまた、イタリアで開催された科学アカデミー第14回総会、第28回会議で2018年~2022年任期で世界科学アカデミーのメンバーに選ばれたベトナムの若手科学者でもあります。
自然博物館のグエン・ティエン・タオ博士の試験室にはキャビネット、瓶、ボトル、ボックスに入れられた何千もの毒ヘビの標本があり、ベトナムのヘビ研究のための多種多様な標本博物館と例えられています。ここにある約150種のヘビと20種の毒ヘビの標本はタオ氏が研究に取り組んできた15年以上もの間に、何百回もベトナムの森林を巡るフィールドトリップに行って集めてき結果です。


1982年生まれのグエン・ティエン・タオ博士は、子供の頃から庭や周辺の野原でヘビ、カエルなどの爬虫類を見つけるのが大好きでした。自然への愛情とヘビについて学ぶことへの情熱は、彼が生物学部(ハノイ科学大学)を専攻し、後にヘビの詳細な研究を行ったときも続きました。

現在、バック・マイ病院抗毒センターと協力し、抗毒素血清の研究と生産を進めている自然保護室(ベトナム自然博物館)にあるグエン・ティエン・タオ博士の研究チーム。
写真:ヴィエット・クオン
ヘビに関する約20〜30の研究報告を含む、100の貴重な国際的な報告を発表するグエン・ティエン・タオ博士。
写真:資料


ヘビに関する約20〜30の研究報告を含む、100の貴重な国際的な報告を発表するグエン・ティエン・タオ博士。
写真:資料

京都大学の日本人の同僚と毒ヘビの疫学に関する研究について情報交換をするグエン・ティエン・タオ博士。
写真:資料
キャビネット、瓶、ボトル、ボックスに入れられた毒ヘビの標本が置かれている
自然博物館のグエン・ティエン・タオ博士の研究室。写真:ヴィエット・クオン



タオ博士は現在までに、ヘビに関する30の詳細な研究を含む100の国際的な記事を公表している。ヘビに関する彼の他の研究成果も、日本と米国の多くの会議で紹介され、専門家から高く評価されている。現在、彼は京都大学客員准教授を務めている。
ベトナムではコブラ、サソリ、グリーンタイガーをはじめ、多くの種類の毒ヘビがいるため、これらのヘビに噛まれると即死する恐れがあります。毎年30万以上の人が毒ヘビに噛まれ、病院での治療は非常に高額です。そのため、ヘビに関する研究、特にヘビの毒を抽出して血清を生成する研究は、現在、ベトナムをはじめ世界100か国で行われています。
ベトナムでは200種以上のヘビがいますが、そのうち約25%が毒ヘビで、コブラ、バンブーバイパーなどのヘビに対する抗毒素血清の調製に成功していますが、他の多くの血清は輸入する必要があります。ベトナムでの蛇咬傷治療における抗毒素血清の生産は、保健省が長年提唱してきた長期的な戦略です。
現在、バック・マイ病院の抗毒センターは、毒ヘビ咬傷の治療に使用される粉砕コブラとカラスヘビの抗毒素血清を研究し、フェーズ3の段階です。博士は抗毒素血清の生産に関する研究を行いたいという強い情熱を持っていて、2014年からバック・マイ病院の毒物対策センターと協力関係を結びました。彼は毒ヘビの標準を定め、毒ヘビの毒が安定供給のためにすべてのマンパワーを動員し、実験室規模で製造プロセスを構築しています。



バック・マイ病院の毒物対策部門は医師が患者を最善の方法で治療するための評価とサポートを行うために、毎日、ヘビに噛まれた患者のサンプルをタオ博士に送っています。タオ博士はまた、ヘビに噛まれて重篤な状態にある患者を診断するために、医師と一緒に何度も病院を訪れました。現場からヘビに噛まれた患者のサンプルまでの長年の研究により、毒ヘビに関する初期データベースを構築し、一般的な毒ヘビの種を特定して、ヘビの抗毒素血清の研究と生産に重要な科学的根拠を提供しました。



ベトナムでヘビのサンプル収集のフィールドトリップに参加する
グエン・ティエン・タオ博士と専門家の国際チーム。写真:資料



ベトナムにおけるフィールドトリップでのグエン・ティエン・タオ博士。写真:資料

ヘビ咬傷の治療に役立てるために、15年以上も国内外の同僚と多くのフィールドトリップを行い、
ヘビについて研究してきたグエン・ティエン・タオ博士。写真:資料



抗毒素血清の研究と生産に関する研究のために毒ヘビのサンプルを採取するグエン・ティエン・タオ博士。写真:資料


ベトナム、ラオス、中国で数多くのフィールドトリップを行ったグエン・ティエン・タオ博士。写真:資料

グエン・ティエン・タオ博士の詳細な研究によって、いくつかの一般的な毒ヘビをスクリーニングすることができました。彼はベトナムの各ヘビ種の画像と詳細な分布に関するデータを構築しました。ヘビの撮影画像と毒ヘビの採取プロセスは、彼と国際的な専門家チームによって作成されました。専門家の熱心な支持者はロシア科学アカデミーのノロロフ教授です。これらはベトナムで唯一の著作権で保護されたヘビの画像であり、自然界のヘビや野生動物の撮影が難しい貴重な画像が数多くあります。

またタオ博士は生物学の分野で2018~2022期の世界科学アカデミーのメンバーとして選ばれた最初の若いベトナム人科学者です。ヘビと野生生物に関する科学フォーラムでのタオ博士のプレゼンテーションは、ベトナムにおける生物多様性保全のための新たな協力の機会を切り開いてきました。

現在、タオ博士と外国人の科学者たちのグループは、ベトナムの森林で多くのフィールドトリップ、調査、ヘビのサンプルの収集を行っています。このプロセス中に撮影されたフィルムや画像は、ナショナルジオグラフィックが著作権を博士から買った非常に貴重な資料です。タオ博士はこのフィルムの経験なキャラクターです。

グエン・ティエン・タオ博士の研究プロジェクト「アジアにおける脊椎動物種の多様性と保全」は2015年に中央青年連合のゴールデングローブ青年科学技術賞を受賞。
これは、2015年に外国人の科学者によって最も引用されたプロジェクトでもある(BioO2出版社、米国)。

文:ビック・ヴァン
写真:ヴィエット・クオン、資料


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