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「クックフォン」 アジアを代表する国立公園

クックフォンは2万2千ヘクタールの面積を持つベトナム初の国立公園で、世界の森林生態学の宝石の一つです。三年連続(2019年~2021年)ワールドトラベルアワードから、アジアを代表する国立公園として表彰されました。国立公園が設立されてから約60年の間に動植物の保護は大きな成功を収め、東南アジアで最大の野生生物保護地域として国際的に認められています。


クックフォン国立公園の多様な自然生態系

 

ワールドトラベルアワードを受賞した直後に、国立公園のグエン・ヴァン・チン所長はクックフォンがアジアを代表する国立公園として認められ続けている理由を詳しく説明してくれました。

典型的なカルスト地形のクックフォン原生林には豊富な考古学的、古生物学的、地質学・地形学的価値があります。人類の歴史の中で科学的価値のある多くの遺跡が発見されています。その中で最も注目されているのがコン・モーン洞窟とグイ・スア鍾乳洞です。さらに、何十もの乾燥した洞窟が発見され、探検ツアーが行なわれています。




クックフォンは世界で貴重な森林生態学の宝石の一つで、22,408haの面積を持つベトナム初の国立公園である。特に、過去三年連続(2019〜 2021年)アジアを代表する国立公園としてワールドトラベルアワードを受賞した。

撮影:ミン・ドゥック





野生に戻す前に霊長類の世話をするクックフォン絶滅危惧種霊長類保護センターの職員。

撮影:ミン・ドゥック





クックフォン国立公園の自然環境にいる霊長類。

撮影:ミン・ドゥック




クックフォン国立公園にいるウエスタンブラックブリッジリーフタートル。

撮影:ニン・マイン・タン





毎年4月から5月には蝶がここに来て妖精の様に舞うシーンが見られるクックフォン国立公園。

撮影:ミン・ドゥック





クックフォン国立公園の自然環境で育つジャコウネコ。

撮影:ミン・ドゥック





クックフォン国立公園にある樹齢千年の大木。

撮影:チュオン・フイ





クックフォン原生林に生息する2億年以上前のスラブ歯の爬虫類の化石。

撮影:チュオン・フイ





野生に戻す前にカメを診察するクックフォン国立公園の職員。

撮影:ミン・ドゥック



また、クックフォン国立公園は低地の常緑熱帯樹林で、石灰岩の山と土の山の中間的な生態系が特徴です。森林は主に低地(500m未満)と低い山(500m未満)の常緑熱帯密林で構成され、結晶片岩と石灰岩が風化しています。これらの森林植生タイプは石灰岩の生態系と高い生物多様性の特徴を出現させます。

クックフォン国立公園はニン・ビン省、ホア・ビン省、タイン・ホア省の3つの北西部の省、紅河デルタ、および北中部地域の地域の境界に位置する特殊用途の森林で自然保護区となっている。

特に、クックフォン国立公園は長い間、多くの国内および国際的な動植物保護団体の研究センターでした。

クックフォンの動物相は非常に豊かで多様です。脊椎動物に関しては35目、120科に属する669種があります。クックフォン国立公園における川や渓流に生息する動物の中には、初めて名前が付けられた新種がいくつかあります。クックフォンナマズ(学名はPterocrypis cucphuongensis)とクックフォンミズトカゲ(学名はPterocrypis cucphuongensis)です。無脊椎動物には3門、6綱、33目、169科に属する1,899種が生息しています。その中で、昆虫は甲虫目の454種、鱗翅目の378種、ハチ目の314種などが非常に多くを占めています。

グエン・ヴァン・チン所長はクックフォンの森の周りに住むコミュニティのほとんどはムオン族だと付け加えました。ムオン族はベトナムの文化的アイデンティティに大きく貢献している長年にわたる文化を持つ民族です。彼らは精神的な生活を通して森と強いつながりを持っています。これは、彼らが自然を保護するために国立公園の管理に参加することになったそもそもの理由です。クックフォンに来る人は誰でも原生林の手付かずの美しさを感じることができます。これは他の場所で見れないことです。


神秘的で驚くべき「迷宮」

 

ベトナム初の国立公園を訪れる多くの国内外の観光客は、クックフォンは「素晴らしい迷路」の様な広大で神秘的であることに驚きを隠せません。

 

チン所長は多様で豊かな生態系が確認された直後、クックフォン国立公園の管理委員会は常に3つの柱すべてを同時に実施してきたと断言しました。これらは生物多様性の保全に関連する森林保護と科学的研究、保全における国際協力、およびエコツーリズムの開発に関連する環境教育です。

 

 

植物の保護は1985年以来行われており、クックフォン国立公園は167ヘクタールの面積の植物園を建設しました。クックフォン植物園はベトナムの国立公園と自然保護区で最初に整然と建てられた植物園と見なされています。

 

現在、クックフォン国立公園はベトナムの絶滅危惧種および希少な霊長類の保護、小型の肉食動物と鱗甲目、淡水カメの保護、およびその他の野生生物種の保護という三つの保護プログラムを実施しています。現在、64種の野生動物2,700頭を保護しています。





定期的に園を点検、保護しているクックフォン国立公園パークレンジャー。

撮影:ニン・マイン・タン




ベトナムのフランクフルト動物福祉協会(ドイツ)の調査結果によると、ベトナムだけに生息し、クックフォン国立公園の18箇所に200頭以上いる白い胸のラングール。

撮影:ミン・ドゥック





クックフォンクマ保護センターで世話をされた後、野生に戻される違法取引で捕獲したクマ。

撮影:ミン・ドゥック





希少種のカメが半野生で出産する環境を整えるクックフォン国立公園の職員。

撮影:ミン・ドゥック




救助された霊長類の世話をするクックフォン絶滅危惧霊長類救助センターの職員。

撮影:ミン・ドゥック





原生林で救出した野生動物を自然に戻すクックフォン国立公園のスタッフ。

撮影:ニン・ドゥック・フオン





クックフォン国立公園に展示されているパンゴリンの標本。

撮影:ミン・ドゥック





クックフォン国立公園の鹿。

撮影:ニン・ドゥック・フオン



 

クックフォン国立公園で蝶を楽しむ海外からの観光客。

撮影:ミン・ドゥック





何年にもわたって、博物館は昆虫、蝶、クリッパー、トンボ、セミ、齧歯動物、鳥やクマ、ヒョウ、サル、ラングールなど何千もの動物の標本を収集し、研究、科学、観光に役立ててきたクックフォン国立公園敷地内のクックフォン博物館。

撮影:ミン・ドゥック





ドイツのBPとARANGOからの資金提供を受けて1996年に設立され、クックフォン国立公園の保全の重要性についての理解と認識を高めることを目的としたクックフォン保全プロジェクトの保全意識教育プログラム。

撮影:ミン・ドゥック



クックフォンには多くの野生生物救助センターとタートル保護プログラム、肉食動物とパンゴリン保護プログラム、霊長類救助と保護プログラムなどのプログラムがあります。

エコツーリズムは公園の開発の主な方向性であると考えられ、ニンビン省が2030年に向けて、2025年までのクックフォン国立公園の方向性を示す開発戦略でもあります。

5月頃から、クックフォン国立公園に来る機会があれば、多くの珍しく美しい蝶の種が集まる場所を発見する機会があります。そこはクックフォン国立公園の蝶の「お祭り」のようなものです。ここに記録された結果によると400種以上の蝶がいます。


7月から現在まで、クックフォン国立公園は観光客が、救助した野生動物を森に放ち「自然の家」に帰す体験ができる「帰宅」ツアーを行っている。


コミュニティベースの観光は近年ベトナムで非常に発展したモデルです。このツアーに参加した観光客はムオン族の独特の文化的特徴を発見し、文化交流に参加し、先住民の習慣について学ぶことができます。

新型コロナウイルス感染症の流行後、国が観光の回復を促進している中、クックフォン国立公園は新しいエコツーリズム商品を企画、制作、実施しています。


クックフォン国立公園に本部を置くベトナム野生生物保護センターのグエン・ヴァン・タイ所長は2021年に世界最大の環境賞であり、「グリーンノーベル」としても知られているゴールドマン環境賞を受賞した。

 

 



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