ベトナムとの友達

Facing the World :恵まれない子供たちに笑顔を届ける旅

私たちはロンドンのうだるような夏の午後にカトリン・カンデル氏を訪ねました。その暑さは彼女がハノイを思い出すほどでした。Facing the World (FTW) のボランティアCEOのロンドン中心部にある小さな家は美しい絵画で飾られ、その多くはベトナムからのもので、この家のオーナーならではという感じを与えてくれます。カトリン氏と話しをして、彼女のベトナムへの愛情

 

英国の慈善団体として、FTWは2007年以来、先天性頭蓋顔面異常を持つ何千人もの子供たちに笑顔と普通の生活をもたらすためにベトナムの医師と共に歩んできました。当初、FTWは一人あたり50万ポンドから100万ポンドの費用で、ベトナムの子供たちを英国に連れて行き手術をしていました。しかし、2008年以来、FTWは外国人医師の代表団をベトナムに派遣して、ベトナムの医師と協力して複雑な頭蓋顔面手術を行ってきました。それ以来、FTWは持続可能な戦略を実施することが出来るようになりました。

この持続可能な解決策は「魚の代わりに釣り竿を与える」という考え方に基づいているとカトリン氏は言います。小児科の患者を高額で海外に送る代わりに、組織はベトナムの医師を世界有数の医療センターに派遣し、頭蓋顔面異常の外科技術と治療法を学びます。これまでに100人以上のベトナム人医師がFTWから派遣され、英国、カナダ、米国、オーストラリアの主要な病院で研修を受けました。

 

Facing the Worldのカトリン・カンデルCEO- 撮影:ハイ・ヴァン・VNA

2019年に戦略的協力協定に署名したFacing the Worldのカトリン・カンデルCEO(左)とビングループのベトナムグランプリコーポレーションのレ・ゴック・チー社長。 撮影:Facing the Worldの資料

 

2018年から、FTWは毎年平均して2チームの医師をベトナムに派遣し、奨学金を提供し、ベトナム人医師を指導している病院に行き、ベトナム人の同僚と頭蓋顔面手術を行っています。また、訓練戦略の一環として遠隔医療を強化しています。FTWは遠隔医療組織のTeledocと提携して、ベトナムの医師が海外に行かなくても、定期的な相談やトレーニングのために世界トップの外科専門家とつながることができる技術、InTouchHealthプラットフォームを開発しました。

これまでのところ、FTWはベトナムの外科センターに総額240万ポンド(312万ドル)の遠隔医療機器と技術を援助してきました。FTWは現在、ホン・ゴック病院、108軍事中央病院およびヴィエット・ドゥック友好病院の三病院と提携し、2018年末にベトナム最初の頭蓋顔面および形成外科センターの設立を支援しました。8年間の運用後、当センターはベトナムの先天性頭蓋顔面奇形の子供たちの60%を治療することが期待されています。

 

新型コロナ感染症発生時にベトナムの病院の生存指数モニターのスポンサーにもなったFacing the World 組織。撮影:Facing the Worldの資料

201911月、Facing the World 医療チームのベトナムへの出張中に小児患者を診察するトロント小児病院(カナダ)頭蓋顔面外科医クリストファー・フォレスト氏。撮影:Facing the Worldの資料

2019 11月のFacing the World 医療チームのベトナム出張中に108病院の頭蓋顔面および形成外科センターの医師チームと一緒に子供たちを診察するトロント小児病院(カナダ)整形外科部長のクリストファー・フォレスト博士。撮影:Facing the Worldの資料

108軍事中央病院で手術が成功した後の少女の笑顔 。撮影:Facing the Worldの資料

 

今後5年間で、FTWはベトナムの医師による約40,000件の子供の頭蓋顔面奇形手術を支援します。また、トレーニングのために200人のベトナム人医師を海外に派遣することを計画しており、遠隔医療のための医療機器と技術を支援し続けます。FTWの貢献はベトナム政府に認められ、カトリン・カデル氏はベトナム国家主席から友好勲章を授与されました。彼女はまた、コミュニティに変化をもたらすのに役立だった個人やボランティア組織の貢献を認めるイギリス首相の2017年度ポイント・オブ・ライト賞(Points of Light)を受賞しました。

長期的にはベトナムが東南アジアにおける頭蓋顔面外科手術のトレーニングセンターとなり、現在ベトナムを支援している英国、米国やカナダのように地域の国々をトレーニングする上で重要な役割を果たすことをFTWは期待しています。カトリン氏は特に108病院とヴィエット・ドゥック病院が英国の主要な病院と同じレベルの専門知識のトレーニングを受け、英国の王立外科大学から公式に認められているという事実を踏まえて、ベトナムには頭蓋顔面外科手術の地域センターになる資格が十分にあると考えています。

 

2018年の出張中にヴィエット・ドゥック病院で子供たちを診察する医師たち。撮影:Facing the Worldの資料

2019年にヴィエット・ドゥック病院で顎顔面外科手術を行うベトナム人とイギリス人の医師。撮影:Photo Facing the Worldの資料

201911月に108病院の頭蓋顔面および形成外科センターで手術を行うカナダ人医師ベトナム人医師。撮影:Photo Facing the Worldの資料

 

カトリン氏は出会ったばかりの赤ちゃんの思い出を感動とともに語ってくれました。生後約6ヶ月の彼女は普通の人が目をそらすほど顔が奇形していました。ベトナム人医師と外国人医師による手術が奇跡を起こし、可愛らしい少女に生まれ変わりました。「人々から孤立した子供のを支援し、社会に復帰するのをこの眼で見るのは感動的です」とカトリン女史は語りました。

カトリン氏は子供たちはひどい奇形に苦しんでおり、家族の子供たちへの愛情が原動力となって、彼女とFTWがベトナムでの組織の使命を果たしていると言います。カトリン氏の家を後にして、私達は、人道的な動機から彼女とFTWは恵まれない子供たちとその家族に希望と幸福をもたらす旅が今後も多くの成功を収めると信じています。