国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の議長国ブラジルは21日、脱化石燃料に関する取り組みを削除した合意文書の素案を提示しました。
脱化石燃料は最大の懸案の1つでした。2年前のCOP28が示した化石燃料からの脱却に向けた「ロードマップ(行程表)」策定を求める声に対し、一部の国が反対していました。今週初めに公表された合意案の最初のバージョンでは、この問題に関する複数の文言の選択肢が盛り込まれていましたが、最新版ではこれらが完全に削除されました。
気候災害への対策資金については、2030年までに資金支援を2025年の3倍にするため、グローバルな取り組みを要請しています。ただし、その資金を拠出する主体が国なのか、開発銀行なのか、あるいは民間部門なのかは明記されていません。気候変動対応のインフラ整備は収益性が低く、民間投資が集まりにくいため、公的資金の提供についてより強固な保証を求めていた途上国にとっては期待外れの内容となっています。
素案には、次回以降の3回のCOP会合で、政府や世界貿易機関(WTO)が参画する気候変動と貿易に関する対話を実施することも盛り込まれています。以前から気候問題の国際会議で貿易を議題にすべきだとしていた中国などの意向が反映された形です。これまで気候変動と貿易を関連付けた議論では、二酸化炭素(CO2)排出量が多い一部製品の輸入に対し排出量に応じた負担を課す欧州連合(EU)の炭素国境調整措置(CBAM)が議論の的となり、インドや南アフリカが廃止を求めていました。(ロイター)
(VOVWORLD)