焦点

ベトナムは欧州委員会(EC)「イエローカード」の解除に強い決意

強い政治的意思、システム全体の合意、そして経済界や漁民の努力により、ベトナムは欧州委員会(EC)による「イエローカード」の解除に向けて力強く行動しており、水産資源の開発と生産に責任を持つ国家としての立場を改めて表明している。



強い政治的意思、システム全体の合意、そして経済界や漁民の努力により、ベトナムは欧州委員会(EC)による「イエローカード」の解除に向けて力強く行動しており、水産資源の開発と生産に責任を持つ国家としての立場を改めて表明している。

2017年10月、ベトナムが欧州委員会(EC)から「イエローカード」の警告を受けたことは、漁業管理体制の改善と違法・無報告・無規制(IUU)漁業の防止に対する厳しい警鐘となった。 この問題が是正されない場合、ベトナムは最も重要な市場の一つであるEUへの水産物輸出禁止という重大なリスクに直面する可能性がある。

2017年以前、EU市場はベトナムの水産物輸出総額の30~35%を占めていた。 しかし、「イエローカード」発令後、この割合は大幅に減少し、2024年にはわずか9~10%にまで落ち込み、水産業界および輸出企業にとって深刻な損失をもたらした。 


 

 

この警告の重大さと意味を深く認識したベトナム政府は、IUU漁業対策に対して強い政治的決意を示してきた。 ファム・ミン・チン首相は、IUU対策国家指導委員会の会議において繰り返し次のように強調した。「IUU漁業との戦い、ECのイエローカード解除という目標は変わらない。 これは、決して怠ることも、長引かせることもできない。国家の名誉、党と政府の信頼に関わる問題であり、いかなる犠牲を払ってでもやらなければならない。」

これを受けて、ベトナムは漁業管理に関する法的枠組みを見直し、修正・整備を進め、国際基準の遵守を確保した。 2017年に施行された「水産法」は多くの新しい内容を盛り込み、管理、監視、違反への対応のための確固たる法的基盤を構築した。 

IUU漁業防止啓発活動を行い、
船長や漁民に国旗を贈呈するヴァムラン国境警備検問所。

撮影:コン・チ/ベトナム通信社

ベトナム水産協会常任副会長であるグエン・チュ・ホイ准教授は「IUU漁業に関する規定の法制化は、違反行為を抑止するに足る強力な制裁を生み出す、タイムリーな一歩だ」と述べた。

ベトナム農業環境省によると、2025年10月末時点で、全国の漁船79,941隻のうち79,800隻(99.8%)が国家漁業データベース(VNFishbase)に登録・情報更新を完了している。 また、全長15メートル以上の漁船における航行監視装置(VMS)の設置率は99%を超えている。

VMSは漁船の位置と航行ルートをリアルタイムで追跡し、違反行為を迅速に検出するのに役立っている。 同時に、VNFishbaseは継続的に改良され、登録情報、漁業許可証、操業日誌、生産証明書などのデータを統合し、各省庁や地方自治体とのデータ連携を実現している。 

 

 

2017年以降、ベトナムはすべての漁港において、電子操業日誌・購買・輸送システム(e-logbook)および電子水産物トレーサビリティシステム(eCDT)を一体的に導入してきた。

水産・漁業監視局のヴー・ズエン・ハイ副局長は「私たちは、全長15メートル以上のすべての漁船が出入港時にeCDTシステムで申告するよう努めている」と述べた。

これに加えて、IUU漁業に対する厳格な処罰制度が適用されている。 ベトナム公安省の報告によると、2025年10月27日時点で違法操業に関連する事件が84件、被告人は130人にのぼる。 その結果、漁民の法令遵守意識は前向きに変化した。

タインホア省サムソン区の漁船TH 91434-TSの船主であるファム・ゴック・タム漁師は次のように語った。「以前はもっと自由に海に出られて、制約も少なかった。 しかし今は、IUU漁業対策の規定が厳しくなり、漁獲量の管理や漁場の把握も可能になった。 何よりも重要なのは、規則を守ることで自分たちの水産物が輸出でき、船も持続的に海に出られるようになったことだ。 私も地域の漁師たちも、漁業の未来のために正しく実践しようと努力している。」 

 

 

これらの取り組みは十分に成果を上げている。 最新の報告によると、2025年10月28日から11月4日までの1週間に、ベトナム漁船が外国海域で違反行為により処罰された事例は一件もなかった。

ECのイエローカードを解除することは、目先の経済的利益をもたらすだけでなく、 透明性、持続可能性、責任に向けて力強く転換しつつあるベトナム水産業の成熟を示すものでもある。

この取り組みの旅路は今も続いているが、これまでに達成さた成果により、 ベトナムは国際法を尊重し、環境に優しく持続可能な発展の道を揺るぎなく歩む、活力ある沿岸国家としての地位を国際市場において築きつつある。 

  •  

top