歴史の源から現代に至るまで、フン王の命日は単なる伝統行事を超え、民族の精神的象徴となっています。それは建国への感謝であると同時に、現在の国家に対する責任を再確認する機会でもあります。
旧暦3月10日のフン王の命日は、国内外に暮らすベトナム人が祖先に思いを馳せ、建国の祖とされるフン王の功績をしのぶ日です。発展と国際統合が進む中で、共通のルーツという価値は、民族の大団結を支える重要な精神的拠り所となっています。
ベトナムの歴史は、フン王が建国したとされるヴァンラン国(文郎国)の時代にさかのぼるとされています。古くから人々はフン王を民族の始祖として敬ってきたとされ、その信仰は過去と現在、個人と社会を結ぶ精神的な絆となっています。
国内外のつながり
現在、国内にはフン王やその時代に関連する遺跡が1,400か所以上あるとされ、各地で命日の行事が行われています。中でも、北部フート省のフン神社特別国家遺跡は中心的な場所とされており、全国から多くの人々が訪れ、参拝しています。
周辺の各村・地区によるフン神社特別国家遺跡への神輿行列(写真:Tạ Toàn/TTXVN)
こうした精神は、国家統一の過程や新型コロナウイルスの感染拡大、自然災害などの困難を乗り越える力ともなってきました。現在では、ハノイやホーチミン市、ダナン市にとどまらず、パリ、ベルリン、ニューヨーク、シドニーなど世界各地でも追悼行事が行われています。在外ベトナム人が祖国に思いを寄せる様子も見られます。
欧州在住ベトナム人連合会のホアン・ディン・タン会長は次のように語りました。
(テープ)
「私たちは伝統行事、とりわけフン王の命日を大切にしています。これは在外ベトナム人にとって、自分たちが同じルーツを持つことを再確認し、団結や助け合いの精神、民族の良き伝統を育む大切な機会です」
国家発展のための団結
フン王の命日の意義は、単なる儀礼にとどまりません。愛国心や団結意識、民族としての誇りを育む場でもあります。
現在、ベトナムは2030年のベトナム共産党創立100年、2045年の建国100年に向けた新たな発展段階にあります。「豊かな国民、強い国家、公正で文明的な社会」という目標の実現に向けては、グリーン化やデジタル化、科学技術、イノベーションなどが新たな原動力になるとみられています。その一方で、持続可能な発展の基盤となるのは、やはり団結の力です。
フン王の命日(フン王祭)・フン神社祭りにおける神輿行列、遺跡周辺の各地で数千年にわたり受け継がれてきた伝統儀礼(写真:Tạ Toàn/TTXVN)
国際社会においても、団結したベトナムが信頼や存在感を高めているとの見方が出ています。国会文化・社会委員会のブイ・ホアイ・ソン委員は次のように指摘しました。
(テープ)
「フン王をしのぶ信仰は、国内外を問わず団結と愛国心を生み出す力となっています。世界各地で命日の行事が行われることで、人々の心は祖国へと向けられ、そこから団結と愛国心が育まれ、ベトナムの大きな力となっています」
歴史の源から現代に至るまで、フン王の命日は単なる伝統行事を超え、民族の精神的象徴となっています。それは建国への感謝であると同時に、現在の国家に対する責任を再確認する機会でもあります。
こうした価値は、今後の発展と国際社会への歩みの中でも、民族の団結を支える確かな基盤の一つになると考えられています。
[VOVWORLD]