内視鏡下甲状腺手術前に術前カンファレンスを行うチャン・ゴック・ルオン准教授と中央内分泌病院の医師たち。 写真:タット・ソン/ベトナムフォトジャーナル
数十年前、内視鏡下甲状腺手術という発想は「非現実的」で「不可能」と見なされてきました。頸部には腹部や胸部のような自然な空間がなく、内視鏡器具を挿入することが難しいうえ、気管、食道、反回神経、副甲状腺などの重要な構造物が密接しており、損傷の危険が高いからです。しかし、腹腔鏡手術の豊富な経験を持つチャン・ゴック・ルオン准教授は、その課題に対する解決策を見出しました。彼は頸部にCO₂ガスを注入して安全な作業空間を作り、血管を画面上で鮮明に視覚化しながら容易に剥離できる方法を考案したのです。こうして、驚くほど優れた利点を持つ甲状腺疾患の内視鏡手術法が誕生し、世界の医学界で「ルオン医師の内視鏡手術技術」として知られるようになりました。
首に大きな傷跡を残す代わりに、腋窩と胸部からわずか0.5〜1ンチの小さな切開を行うアプローチを採用しました。これにより傷跡は容易に隠すことができ、時間の経過とともに薄れていくため、術後の美容効果が得られます。特筆すべきは、この技術が高価な専用機器を必要としないため、手術費用を大幅に抑えることができる点です。現在、ベトナムではこの手術の費用は1件あたり約300〜400米ドルですが、アジアの先進国では8千〜1万米ドルに達する場合もあります。
インドで患者を診察するチャン・ゴック・ルオン准教授。 写真:本人提供の資料
チャン・ゴック・ルオン准教授は、2024年に「バオソン賞」を受賞した。この賞は、学術的価値が高く、幅広く応用され、国家の持続可能な発展に実質的に貢献する科学技術、文学、芸術を顕彰するものである。 写真:本人提供の資料