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グエン・ファン・キエン博士  社会に役立つ数多くの製品の生みの親

地域社会に積極的に貢献した優れた個人といえば、ハノイ工科大学健康科学技術研究所の副所長であるグエン・ファン・キエン博士について言及しない訳にはいきません。この才能ある科学者は、商品化された40以上の有用な発明、また新型コロナウイルス感染症との戦いにおいて大いに役立った10の製品開発、さらに最近では多くの患者に希望をもたらしているチャン・トゥオン・クアン准教授と共同研究した骨・関節疾患治療の局所用ジェル「REVIVE BK」の生みの親です。彼の絶え間ない創造の旅は、科学を愛する若い世代にとって尽きることのないインスピレーションの源となっています。

 

 長い年月を経て、科学界でその名が広く知られるようになったグエン・ファン・キエン博士と会って、会話を交わす中で、彼の中にある素朴さ、ユーモア、そして科学への燃えるような情熱と愛情を変わらず感じることができます。キャリアの頂点にいるこの科学者の最大の変化は、おそらく成熟さ、実践的な思考、そして選んだ道に対するこれまで以上の揺るぎない意志と決意でしょう。


ハノイ工科大学健康科学技術研究所の副所長グエン・ファン・キエン博士は各教員の研究成果の出口戦略を模索するためにバイオマテリアルグループと会議を行った。
撮影:タット・ソン/ベトナムフォトジャーナル

1999年にハノイ工科大学電子通信学部で電子工学を専攻し卒業した彼は、2002年に同大学で電子通信分野学の修士号、2008年には日本の芝浦工業大学で博士号を取得しました。2010年以降、彼とその共同研究者たちが開発した蛍光灯用省エネ装置は、国内で主要な賞を連続して受賞し、彼の名前が科学界で広く知られるきっかけとなりました。しかし、彼が追求している分野はバイオメディカルエンジニアリングであり、ベトナムではまだ新しく発展したばかりの分野です。数々の困難に直面しながらも、科学への情熱、学習意欲、探究心、創造力、そして絶え間ない献身を持ち続けた彼は、ハノイ工科大学およびベトナムにおけるバイオメディカルエンジニアリング分野の構築における先駆者となりました。彼が生み出した有益な製品や解決策は、共同体と社会に貢献しています。この分野での多くの創造性と新しい視点を持つ彼は、ニュートン基金(Newton Fund)から資金援助を受けて英国王立工学アカデミーが主催する「Leaders in Innovation Fellowships(LIF)」プログラムに参加しました。このプログラムは若手科学者が研究のアイデアを商品化して、経済社会発展の課題解決に寄与すること支援するものです。


バーチャルリアリティ技術を活用して、脳卒中後の患者の回復度を測定するアプリケーションを開発するグエン・ファン・キエン博士と彼の学生たち。
撮影:タット・ソン/ベトナムフォトジャーナル


キエン博士にとって、彼が科学研究の道を追求する上で最大の原動力は、科学製品が実際に応用され、市場に受け入れられ、人々の生活をより良くすることです。したがって、コロナ禍の2年間は彼のみならず、その期間に研究に参加した全ての同僚や学生にとっても、最も記憶に残る時期であったと言えるでしょう。キエン博士は振り返ってこう語ります。「あの頃、私たちは技術的な解決策を議論するために、夜中の2~3時まで起きていました。そして朝は病院に提供する電気回路や機械の製造に一生懸命取り組みました。気道確保用のエアロゾル防止ボックス、自動手洗い装置、自動体温測定装置、さらには新型コロナウイルス感染症対策用の除菌装置など、10種類以上の製品が生まれました。これらの製品は医師や人々の消毒や新型コロナウイルス感染症の予防対策を効果的にサポートしました。確かに大変でしたが、科学技術者として、私たちが生み出した製品が実用化され、社会に貢献できたことが、何よりの喜びであり、最大の幸せでした。」


 

 キエン博士によれば、科学技術は特にベトナムの公共医療、そして一般的には生物医学工学の発展において、ますます重要な役割を果たしています。近年、ベトナムの科学技術は大きな進歩を遂げており、多くの医療支援製品が生み出されており、これは世界の他の多くの国々と同等かそれ以上の優れたヘルスケア製品によって実証されています。例えば、最近、ハノイ工科大学健康科学技術研究所の研究チーム(准教授チャン・トゥオン・クアン博士およびグエン・ファン・キエン博士)が開発した筋骨格系の痛みを軽減し回復を促進するクリーム「REVIVE BK」は、他の国にはない世界初の技術製品と言えるでしょう。また、新型コロナウイルス感染症の流行期間中に開発された密閉空間でSARS-CoV-2を殺菌する製品も、世界には類を見ない製品です。


新型コロナウイルス感染症の期間中に彼と同僚が研究した殺菌装置についてプレゼンテーションを行うグエン・ファン・キエン博士。
撮影:タット・ソン/ベトナムフォトジャーナル


 

 彼は科学研究に情熱を注ぎ、これまでに多くのプロジェクトを実施してきました。例えば、肉の品質を迅速に検査する装置、化学物質に汚染された野菜や果物を迅速に検出する携帯型装置、脳卒中患者のリハビリ用機器などの開発があります。さらに、医療分野での応用を目的とした製品の開発研究など、いくつかの重要な研究分野を追求しています。また、数多くの科学研究プロジェクトの実施や論文に参加し、多くの教科書を執筆した著者でもあり、それらは教育現場で使用されています。


グエン・ファン・キエン博士は、優れた科学者であるだけでなく、熱意あふれる教師でもあります。彼は、科学を愛する若い世代に情熱と創造性の「火」を灯し、「Made in Vietnam」として誇れる多くの技術製品を生み出すよう導く人物です。彼の貢献は社会に実用的な価値をもたらし、ベトナムの科学技術の発展に重要な役割を果たし続けています。


 

文:ダン・フエン
撮影:タット・ソン/ベトナムフォトジャーナルと資料
訳者:ソン・タム・クエン


 

 


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