ベトナムの生活

「ベトナムよ、翻れ」――国旗を届け、愛国の思いを込めて

 ベトナムの各地に「金星紅旗」という国旗を届け、国境の村の住民や離島の漁師たちに手渡していく若者たちがいます。「ベトナムよ、翻れ」――そう名付けられたプロジェクトの活動を取材しました。

夜7時近く、村長の朗々とした呼びかけが響き、各家庭を促しました。夕食の準備をしていた住民たちは最初、何が起きているのか分かりませんでしたが、しばらくすると顔をほころばせました。プロジェクトのメンバーたちから、思いがけない贈り物を受け取ったからです。

ここはトゥエンクアン省、石灰岩高原の国境の村メオバックにあるモン族のパー・ヴィ集落。「ベトナムよ、翻れ」プロジェクトの旗届けの旅の最終地点です。多くの家庭がすぐに古い旗を外して新しいものと掛け替え、これまで旗を持っていなかった家庭も嬉しそうにしまい込み、翌朝に掲げる場所を考えると話しました。観光客もいない静かな村の一日が、ハノイからやって来た若者たちの温かい気持ちによって急に活気づきました。

村に住むチャン・リン・ソンさんに話を聞きました。

「『ベトナムよ、翻れ』のプロジェクトは、とても意義深い取り組みだと思います。山岳地帯の村を訪れる際は、地域の文化や観光と結びついたコミュニティの村々をまわることをお勧めしたいですね。そうすることで、住民の意識も高まり、郷土や国への愛がさらに広く伝わっていくと思います。」

プロジェクトの初期メンバー
(左からミン・フオン、キム・フック、
フオン・ハン、グエン・タン)。

プロジェクトの初期メンバー (左からミン・フオン、キム・フック、 フオン・ハン、グエン・タン)。

「ベトナムよ、翻れ」プロジェクトを2025年に立ち上げたのは、3人の若者たちです。世界各地でパフォーマンスを披露してきたフリースタイルフットボール選手のドー・キム・フックさん、愛国的なダンス動画で知られるTikTokerのグエン・ミン・フオンさん、そして記者のグエン・フオン・ハンさんです。

プロジェクトが生まれるきっかけは、それ以前に行っていた「子どもたちに1,000個のボールを」という活動の途中で出会った、ある光景でした。グエン・フオン・ハンさんが話します。

「タインホア省の漁村に立ち寄ったとき、停泊している船の旗が台風でどれもボロボロになっていたんです。漁師さんたちが『旗がぼろぼろでも、ベトナムの船だと分かってもらうために、掲げ続けなければならない』とおっしゃっていて。その言葉に心を打たれて、1,000枚の旗を持って国中をまわろうと決めたんです。」

2025年9月、グループはザライ省のフークイ特区への初めての旅に出ました。旗を贈るだけでなく、漁師が旗を掲げるのも手伝いました。高さ4.5メートルにもなる旗竿は、街暮らしに慣れた若者たちにとって大きな挑戦でしたが、多くの苦労の末に漁船の旗をすべて新しくすることができました。

メンバーの一人、グエン・ミン・フオンさんは次のように話します。

「このプロジェクトの出発点は、やはり愛国心です。ベトナム人として、あの鮮やかな金星紅旗が好きだという、それだけのシンプルな思いから始まりました。旗を届ける旅を重ねるうち、受け取ってくださる方々の笑顔や誇らしげな表情を見るたびに、続けていく力が湧いてくるんです。」

プロジェクトが訪れた各地の様子はSNSにも投稿され、「ベトナムよ、翻れ」のチャンネルは数十万人のフォロワーを持つまでになりました。多くの動画が100万回以上再生され、活動への共感が全国に広がっています。メンバーの一人、ドー・キム・フックさんの話しです。

「最近は、若い人たちから『私も旗を贈りたい』という声をよくいただくようになりました。気がつけば、自分たちの活動が何か大切なものを広めているんだなと感じています。いつかベトナム全土が金星紅旗の色で染まる日が来たら、こんなに嬉しいことはないですね。

プロジェクトには著名な若者も参加するようになりました。山岳地帯の女性教師役で知られる女優のレー・ボンさんも、その一人です。

「参加のお誘いをいただいたとき、すぐに『行きます』と答えました。全国各地で国旗を新しくしていくという活動が、自分がずっと心に抱いてきた夢と重なったからです。旅を通じて、自分自身もたくさんの感動をもらいました。」

これまでにトゥエンクアン省の国境の村々へ1,000枚、フークイ特区に500枚、カオバン省やディエンビエン省など各地の国境・離島地帯にも数百から数千枚の旗が届けられました。国の最北端、ルンクー国旗掲揚台では54平方メートルの大旗も贈られました。

「ベトナムよ、翻れ」プロジェクトのメンバーたちは今後、春・夏・秋・冬それぞれの季節にさまざまなキャンペーンを展開し、すべてのベトナム家庭の心に愛国心と、翻る国旗を見上げる誇りを広めていきたいと話しています。

[VOVWORLD] 


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