11/12/2020 10:47 GMT+7 Email Print Like 0

グエン・トゥー画伯:シルクの絵に捧げた生涯

中国と日本を起源とする古代のシルクの絵がベトナムに伝わってきた時、国内の画家の創造性と画法によって常識を打ち破り、ベトナムの痕跡を残した一連の絵画を生み出しました。ベトナム美術短期大学(現在のベトナム美術大学)1957年-1962年の第一課程15人の学生の一人であるグエン・トゥー画伯はシルクの絵を描くために一生を捧げた数少ない芸術家の1人で、その独特な痕跡を作り出した画家として知られています。
ベトナムのシルクペインティング(シルクの絵)の芸術を発展させた最初の世代画家として認められているグエン・トゥー画伯は、8月革命後、ベトナムのシルクペインティングを発展させた最も有名な芸術家の一人です。
 
グエン・トゥー画伯はベトナムで初めて絵画を教えた講師、准教授で、パリ国家美術大学ではシルクペインティングを専門分野としています。
グエン・トゥー画伯は専門家からシルクペインティングの分野でユニークで独特な芸術家だと評価されています。このことはグエン・トゥー画伯の絵画のシンプルで穏やかな構成、まろやかで優しい色彩を通して見て取れます。彼は親しみやすくカジュアルな人物で、夢に出てくる詩のような朧げでバーチャルな空間を作り出すために自由な筆使いで描きます。描画技術の創造的な探究によって、グエン・トゥー画伯はシルクペインティングの画材のデメリットを低く抑えただけでなく、強く漂っていたデメリットが消え、他のどの素材においても見ることのできないメリットに変えることができました。

シルクペインティングに一生を捧げた数少ない画家の一人、グエン・トゥ-画伯


ハノイ美術大学のグエン・トゥ-画伯のギャラリーにいる韓国人学生


ハノイ美術大学大学院の学生にシルクペインティングの描き方を教えるグエン・トゥ-画伯


作品を描くグエン・トゥ-画伯


ベトナムの山岳地方をテーマにした作品を完成するグエン・トゥ-画伯

 

ハノイ美術大学のキャンプの近くにある私邸で、グエン・トゥー画伯はこの50年間に描いたすべての作品を私たちに見せてくれました。画伯によると、シルクペインティングのような特別なジャンルではその技術が非常に大きな役割を果たし、彼の場合では偶然に起きたちょっとした話がシルクペインティングを描く技術の探究に新たな窓を開いたそうです。
グエン・トゥー画伯はベトナム美術大学の元学長(1985 - 1991)、ベトナム美術協会第2期(1983 - 1989)執行委員会の
会員で、人民教師の称号を持っています。
1976年のある夜、グエン・トゥー画伯が「山の近くの村」という絵を仕上げていた時、彼の親友、後のクアン・ト人民芸術家が家に遊びにきました。薄暗い電灯の下、壁に掛かっている描きかけの絵を見て、「あやふやで、安っぽい絵だね....。」と感想を述べました。
その専門外の友人からの悪気のない評価は彼に強い衝撃を与えました。彼は完成間近の作品を持って水に浸け、描き直すために綺麗に擦りました。小さな毛筆を使い絵の上を何度も擦って色を落とし、絵を家に持って入り電球の下に照らしてみました。ぼんやりした光の下に、彼は突然とても面白い現象を発見しました。それは、シルク素材の縦横の繊維が非常にはっきりと現れたのです。

その後、グエン・トゥー画伯はベトナムのテトに飾るドンホー版画に使われる素材の一つ、スカラップを使い、山、屋根、人々の行列、竹藪などのイメージを修正し、描き直しました。そうすると絵の中の山の黒い色がはっきりと現れました。1979年、グエン・トゥー画伯はブルガリアのソフィアで開催された国際現実絵画展覧会にこの作品「山のそばの村」を出品しまし、その作品は外国人の画家に高い評価を受けました。グエン・トゥー画伯は「外国人の画家たちは私が黒いプレートをどのように処理したのか、そしてどうしてその絵が縦横の繊維にあるのか、なかなか分かりませんでした。」と回想しながら語りました。その年、彼のその作品は金賞を獲得しました。


グエン・トゥー画伯の作品「ヴォ―・グエン・ザップ大将」


グエン・トゥー画伯の作品「お茶屋」


グエン・トゥー画伯の作品「市場に行く」


グエン・トゥー画伯の作品「母と子」


グエン・トゥー画伯の作品「村の秋」


グエン・トゥー画伯の作品「子供時代」


グエン・トゥー画伯の作品「タイ民族の家」


グエン・トゥー画伯の作品「収穫シーズン」
 

絵画の世界で長く生きてきた多くの画家にとって、シルクペインティングは画家の感情を表現しにくく、創作中に昇華させるのが難しい素材と見なされています。しかし、グエン・トゥー画伯はそのデメリットをメリットに変えました。特に、シルクペインティングを描く技術を習得したことにより、グエン・トゥー画伯はそれぞれの絵の中で伝えたい感情やメッセージを自由に表現でき、ベトナムのシルクペインティングのジャンルの中で最も独特なスタイルを持つ画家になりました。


グエン・トゥー画伯はベトナム全国美術展覧会で獲得した賞は1980年A賞、1976年B賞、1990年銀メダル、1960年C賞。1979年、ブルガリアのソフィアで開催された第三回現代絵画美術展覧会では公式賞を獲得した。

 
文:タオ―・ヴィー
撮影:チン・ヴァン・ボ